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ジャーニーランは「自分探しの旅」(3ページ目)

フルマラソン完走者にも想像できない、100kmウルトラマラソンの世界。その100kmにも飽きたらず、もっと走りを長く楽しみたいというランナーたちのジャーニーランとは。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

大会前に70~80kmの練習を1、2回

日本山岳耐久レース年代の部で優勝。中央が青木さん
日本山岳耐久レース年代の部で優勝。中央が青木さん
「ある程度大会でしっかり走るためには、大会前に70~80kmの練習を1、2回しておくとレースで違います。月間の練習距離は300km程度。1回に走る距離は16~20kmぐらいになります」

通常の練習はそう多いわけではないようです。

シューズは大きめでクッションの良いものを

「シューズは、やや大きめのものを履いてます。ソールは厚くないとダメです。ウルトラマラソンだとアシックスのサロマを履いてます。トランスエゾ往復の1089kmは1足で済みました。でも、通常のトレーニングは3足をローテーションで履いてます。持ちが違いますね」

ウルトラ完走の極意は足に負担をかけない、路面に対してインパクトが少ない走法が必要だと思いますが、シューズが長持ちすると言うことはすなわちローインパクトで偏減りしない正しい着地をしているということでしょう。無理のない着地だからこそ故障もなく長い距離を走れるということになります。

食べ物は炭水化物中心で

「食べ物は、おにぎり、野菜ジュース、甘いもの、スポーツドリンクといったところ。特別な物は食べてないです。量も特別に多くはしないです」

10時間、20時間、数日の長時間行動するので、ゴールまでに必要とするエネルギーをスタート前に食い溜めするなんてとてもできません。それよりも体調を整え、消化器の調子を上げておいて、行動しながら食べるものをよく吸収することの方が大事だということでしょう。

生涯目標10万km目指して走り続ける

「よく走るようになった45歳の時から走った距離を記録しているんですが、今84000kmなんです。生涯目標を10万kmとしているんですよ」

すでに地球を2周半してあと16000km。月間300km走って53ヶ月かかります。大会で距離をかせげば、あと4年ぐらいで目標を達成できそうです。

順位もスピードも気にしない、完走を目標とするジャーニーランの魅力にはまっている青木さんですが、競技としてのランニングや短い距離の大会を否定するわけではありません。公認のジョギング指導員でもあり、東京陸協に加盟して公認審判員A級のライセンスをお持ちです。国際大会の役員も務めておられます。

ランニングにはいろいろな楽しみ方があります。青木さんにとっては100kmの大会は、順位が付く以上「レース」とのことですが、フルマラソンの距離でもジャーニーランの意識で完走を目標に出場している方も大勢いると思います。レースからジャーニーランまで、走るほどにランニングの楽しみ方のダイナミックレンジが広がるのかもしれません。

昔、まだランニングを始める前に九十九里浜を歩き通したことがありました。このくらいの距離になると小さな日本地図を見ても、自分の足跡を地図に示すことができます。いわば私の足のランドマーク。それが日本を横断したり北海道を縦断となれば、地球儀上の日本地図でさえ足跡を指させるでしょう。そのランドマークに残されるスケールの大きな旅の思い出。それがジャーニーランなのかと思います。

フルマラソンの完走はほんの一里塚、ランニングの世界は果てしなく広がっていくのです。



<関連リンク>
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