チャイ(インド・トルコ)
インドのチャイは日本で飲むそれとは、ひと味もふた味も違うから不思議
インドといえば、ダージリン、アッサム、ニルギリなど名立たる紅茶の産地を有する世界一の紅茶生産国。紅茶はミルクと砂糖を加えてお湯で煮出した「チャイ」と呼ばれるミルクティーで飲むのが一般的で、シナモンやショウガなどを加えた「マサラチャイ」もあります。街なかには多くのチャイ屋があり、1杯5ルピー(約10円)前後で味わえる庶民の味。濃厚で甘さたっぷりのチャイは人々の熱気と蒸し暑さのなかで飲んでこそ、その味が引き立つ気がします。旅の疲れや緊張もゆるりとほぐしてくれるでしょう。最近は少なくなっているようですが、なかにはグラスではなく、「クリ」と呼ばれる素焼きのコップを使うチャイ屋もあります。このクリは土に返る使い捨ての容器なので、飲み終わったらその辺に捨てても大丈夫です。
トルコのチャイは1杯1トルコリラ(約60円)前後
インドと同じ「チャイ」という名前を使っていても、飲み方がガラリと変わるのがトルコ。トルコはコーヒーも有名ですが、チャイ(紅茶)もよく飲まれています。ミルクは使わず、たっぷり砂糖を入れるのが特徴で、チャイダンルックと呼ばれる2段式のポットを使って湯を沸かします。チャイを出す昔ながらの喫茶店は「チャイハネ」と呼ばれ、基本的に男性の社交場。女性の姿はほとんど見かけません。ただ最近は、女性が入りやすいオシャレなカフェも増えています。
中国茶(中国・台湾)
工夫茶のための茶道具一式
中国茶とひとくちにいっても、発酵度合いによって6種(緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶)に分類されます。前述の通り、緑茶は不発酵で紅茶は全発酵、半発酵の烏龍茶は青茶に分類されます。黒茶とは一度製茶したものを後から発酵させた(後発酵)もので、プーアール茶などが類します。また白茶は弱発酵、黄茶は弱後発酵です。
中国茶というと日本では烏龍茶が人気ですが、実は中国で一番飲まれているのは緑茶の方。杭州の龍井茶(ロンジンチャ)はとくに有名です。また上記6種のほかに、花で香りを付けたり、花そのものとブレンドした「花茶」もあり、ジャスミン茶がその代表格。こうしたお茶は食事のお供にはもちろん、茶館や茶芸館と呼ばれる専門店で試すのもおすすめ。飲み方もいろいろありますが、烏龍茶などは「工夫茶」といって本格的な茶道具を使って楽しめる店が多いです。
バター茶(チベット)
チベットでは「酥油茶」(スウヨウチャ)と呼ばれるバター茶がよく飲まれています。緑茶などをレンガ状や円形に固めた中国の「磚茶」(タンチャ)を削って煮出したものに、ヤクなどのバターと塩を入れ、ドンモという筒状の道具で攪拌します。3,000m以上の高地では貴重な栄養源のひとつにもなっており、一日に何十杯も飲まれています。