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解っている人はちゃんとやっています。

ドレスシューズとは切っても切れない縁にあるソールやヒール。案外気づいていない方が多いのですが、靴のパーツの中で一番酷使されてしまうのは、何と言ってもここでしょう。道路の汚れや泥、細かい砂利や雨などの水滴、時にはガムのような厄介なものを踏みつけてしまっても、黙々と機能を果たす文字通りの「縁の下の力持ち」です。
 
レザーソールの手入れの仕方

ハイテク素材がいくら増えても、ドレスシューズの底材の王道は、やっぱりレザーソールでしょう。ただ、雨などで濡れたものをそのまま放置すると、このようにひび割れてしまい、結果的に交換の時期を早めてしまいます。


でも、その重要性を気付かれていないがゆえに、この部分をお手入れしている方はかなり少ないのが現実。逆に気付いている方の一部には、一見メンテナンスフリーのように思える、ラバーソール系のものを愛用するケースも暫し見られます。雨に濡れてしまうと乾きにくいし、汚れも取りにくいので、レザーソールは取り扱いが面倒臭そうな印象があるのかな?

ただ、自然な「しなり」があって弾力性に富み、通気性も抜群に優れていているので、どんなにハイテク系の底材が登場しても履いていて一番ホッとできるのは、やっぱりレザーソールの靴。上記の理由だけでそれを敬遠してしまうのは、あまりに勿体ない!そこで今回は、今後もドレスシューズの底材の王道であって欲しいレザーソールのお手入れについて、ちょっと考えてみたいと思います。
 

あっと驚くメラミンスポンジ!

レザーソールを敬遠される方の多くが理由に挙げるのが、「雨に濡れるとソールの接地面が汚れてしまうだけでなく、小石などがそれに凸凹に入り込んでしまい、変にザラザラした履き心地になってしまうのが耐えられない!」というもの。

雨や雪の日に履くと、ツルっと滑りやすい以上に、その後のメンテナンスがわからないから使いたくない、という心理は確かに理解できなくもありません。実際、雑巾での水拭きやアッパーに使うクリーナーだけでは、このような雨降り後の水垢系の汚れや食い込んだ小石までは思うように除去できませんし(通常のお手入れならばそれで十分なのですが)……。
 
レザーソールの手入れの仕方

台所でよく見かけるメラミンスポンジ。これがレザーソールの汚れを取るのに大変効果的なのです。大きさや形状は様々発売されていますので、皆さんが使いやすいものをお選びください。


ところがこれら、全く意外なもので笑ってしまうくらい簡単に除去できるんだなぁ!その必殺武器が、写真のようなメラミンスポンジ。水に浸けて擦ると、食器などに付いた汚れを正に捨て身で落としてくれる、よく100円ショップなどで売っている真っ白なアレ。

要は一種の水ヤスリで、1990年代初め頃から巷で見かけるようになったものです。これを用いた後、仕上げに雑巾で軽く水拭きすれば、食い込んだ小石は完璧に、ソールの濡れた面と濡れなかった面との境目に発生しがちな黒い汚れも、あまり気にならない程度まで除去可能です。

小生、以前勤めていた会社では、インスタントコーヒーの大瓶を一週間で飲みつくす、今から振り返れば想像を絶する「チェーンコーヒードランカー」だったのです。ある日、マグカップの底に付いた茶渋みたいな汚れをメラミンスポンジで落としていた時、「これなら革底の汚れも一網打尽できるかも?」とふと閃き、その晩実行に移したら大成功!

これに気付くまでは、何を隠そう小生も雨降り後のレザーソールは悩みの種だったのです。以来、雨天時にそれを用いることへの抵抗が格段に減りましたよ。

ただし、表面を黒や茶色に着色したいわゆる「カラス仕上げ」のレザーソールの場合、汚れと共にその「色」も取れてしまいますのでそれだけは十分に注意!まあ、ソールの色はそれ本来の性能とは若干意味が異なる「趣味」の領域ですし、汚れを取って乾燥させたあと、靴クリームやコバインキ等でいくらでも回復可能ですので、個人的にはそれほど神経質にならなくても…… と思っています。

メラミンスポンジは価格も言わずもがなですから、まずは騙されたと思って使い古しのレザーソールの靴で試されてみてください。
 

ミンクオイルで油分を補充!

汚れがそれほどひどくない場合は、以前の記事(スムースレザー靴の手入れ法と揃える道具一覧)と同様に。クリーナーや濡れ雑巾を用いて、雨を相当染み込ませてしまった時は、メラミンスポンジを併用して汚れを取った後、レザーソールには適度な油分を補給してあげましょう。

そこまで不要では?と言う意見も間々聴かれますが、ひび割れが確実に防げますし、個人的な経験では、ソールもちゃんとお手入れした方がオールソール交換までの期間が長く出来ますから、より経済的だと思います。ただし、スムースレザーのアッパーとはケアに最適なクリームが決定的に違います。

一言で申せば、例えばミンクオイルやデリケートクリームのような、蝋分のほとんど入っていないものでお手入れするのが適当です。別にピカピカ光らせる必要はない部分ですし、蝋分で正面を覆うことは滑りやすくなることも意味しますから、この場合通常の乳化性靴クリームの使用は経験上、正直危険。「カラス仕上げ」の底面を着色したい場合以外は用いない方がよろしいでしょう。
 
レザーソールの手入れの仕方

レザーソールの汚れを取った後は、ミンクオイルの系統で栄養を補充しましょう。昨今はこの商品のように主原料がアザラシの皮下脂肪など、ミンクのそれではないユニークなものも多いです。いずれにしても塗りすぎには注意。


ミンクオイルでお手入れした方が、デリケートクリームよりもソールの「しなり」が幾分増すような感がありますが、この辺りは個人のお好みや靴の性格で使い分けてみて下さい。

以前の記事(油分が肝心、オイルドレザーの革靴のケア!)でもちょっと書きましたが、このミンクオイルの系統は、ここ数年で主な原材料がミンクの皮下脂肪ではないユニークなものが続出していまして、上の写真のものは、なんとアザラシの皮下脂肪が原材料なのだとか。いやー、色々と考えますねぇ……。

気を付けたい事を1点だけ。ミンクオイルの類は効果てきめんな分、多量に用いるとレザーソールが柔らかくなり過ぎて型崩れを誘発したり、表面が滑りやすくなってしまいます(なんだかんだ言ってやはり「油」ですから)。なので用いる際は極力少なめ、あくまで感覚でよいので「多過ぎたかな?」と思ったら余分なものは拭き取ってしまいましょう。

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