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世紀末のアーティストたちが愛した宝石 10月の誕生石、オパール(2ページ目)

10月の誕生石とういと、今はピンクトルマリンが主流ですが、虹色の輝きを秘めたオパールも捨てがたいもの。

執筆者:本間 恵子

アーツ・アンド・クラフツ運動は、世紀末のフランスでは“アール・ヌーヴォー”として花開きました。ガラス工芸の作家ルネ・ラリックも、この時代はアール・ヌーヴォーのジュエリーデザイナーとして知られており、数多くのオパールを使ったジュエリーをのこしています。

オパールを使った名作は、1897~98年頃に制作されたラリックのティアラ「シレーヌ」。大粒のホワイトオパール3石があしらわれており、うち2つには魚の彫刻がほどこしてあります。海の魔女シレーヌ(セイレーン)の幻想的な美しさを表現するには、虹色の光が揺らめくオパールしかないと、ラリックは確信していたのでしょう。この見事なティアラは、パリの装飾美術館で見ることができます。また、ニューヨークのメトロポリタン美術館にも、1904年に制作されたルイス・コンフォート・ティファニーのアール・ヌーヴォー様式のオパールネックレスが所蔵されています。

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電話03-5550-5678
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女王や芸術家たちが好んだ乳白色のホワイトオパールのほか、ブラックオパール、オレンジ色のファイヤーオパール、透明度の高いウォーターオパールなど、種類はさまざま。一般的に、ブラックオパールが最も価値が高く、水のように色のないものは価値が低いといわれます。石のなかで虹色にきらめく光は、遊色(プレイ・オブ・カラー)と呼ばれ、この輝きが豊かなほど価値は高まります。

魅惑的な遊色効果に一役かっているのが、石の中にわずかに含まれている水分です。これがすっかり乾燥すると、オパールは割れたりヒビが入ったりしてしまうのです。硬度も5.5~6.5と低く、無機質な鉱物なのにどこか植物的。世紀末の芸術家も、取り扱い注意のオパールの脆さを愛したのかも知れません。この時代、はかなげな美女が男たちの理想でもあったのですから。

 

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