ジュエリー/その他のジュエリー関連

価値ある“インペリアル”トパーズの由来とは……? 11月の誕生石、トパーズ

最も価値の高いトパーズが、なぜ“インペリアル”と呼ばれるようになったのか? シトリンとの違いも覚えておいて。

執筆者:本間 恵子

トパーズの語源は、紅海に浮かぶ幻の島「トパゾス」であるとも、サンスクリット語で火を意味する「タパス」という言葉であるともいわれます。和名は、黄玉。透明感のある美しい黄金色のトパーズは、古代エジプトでは太陽神ラーの加護を受けた霊験のある宝石として愛でられ、ギリシャ人やローマ人は病気の治療にトパーズを使っていたといわれます。

今、最も価値のあるトパーズとされているのは、ピンクのさしたオレンジ色でかぐわしいシェリー酒の色にも例えられる「インペリアルトパーズ」。ブルートパーズは、トパーズに放射線を照射して青い色をつけたもので、1970年代からポピュラーになりましたが、誕生石に選ばれているのはシェリーカラーやイエローです。

質量ともに優れた産出国となると、やはりブラジル。この国ではトパーズを、水滴を意味する「ピンゴ・ダコア」という名で呼ぶこともあるそうで、宝石のなかでも特に透明感のあるトパーズは、まさにこの呼び名にふさわしいように思えます。

混乱が起きたのは、19世紀末のことでした。1883年、アメシスト(紫水晶)を加熱すると黄色になることがわかり、それがゴールデントパーズの名で大量に売りさばかれたのです。このとき混乱を収めるために、ブラジルを統治していたブラガンサ家の皇帝ペドロ2世にちなんでインペリアル(皇帝)の名が使われたのだそう。高価なものには偉そうな名前をつけるというマーケティングの法則は、今も昔も変わりがないようです。

今では、加熱した黄水晶はシトリンと呼ばれ、トパーズと混同しやすい「シトリントパーズ」の誤称が使われることは少なくなりました。それでもシトリンとトパーズでは、値段がかるく1ケタ違ってしまうこともざら。ちょっとした宝石の呼び名の使い方に、ジュエリーショップの良心が見え隠れしますので、このことは覚えておいてくださいね。

 

関連記事を読む ≫
7月の誕生石、ルビー」 「8月の誕生石、ペリドット
9月の誕生石、サファイア」 「10月の誕生石、オパール
「11月の誕生石、トパーズ」 「12月の誕生石、トルコ石
1月の誕生石、ガーネット
※参考にした書籍は連載の最後でお知らせします。

リンク集「誕生石・パワーストーン」を見る ≫
トップページに戻る ≫

(Page : 1)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます