トルコでは採れない宝石なのに、なぜかトルコ石。実際には、イランやエジプト、アメリカ大陸、中国などに産します。古代エジプトではオシリス神とイシス神に捧げられる石であり、古代メキシコでは火の神を「トルコ石の君主」と呼んでいたほどに、古くから人類となじみの深かった宝石です。この名がついたのは、流通の中心地がトルコだったからでしょうか、それともスルタンのハレムに住まう美女たちがこの青い石を愛したからでしょうか。


▲アリゾナ産のトルコ石をたっぷり使った、ゴージャスなボリューム感。
イタリアのジュエリーメーカー、Balocchi Preziosi のネックレス。

危険が迫ると色が変わり、持ち主に災厄を知らせるという伝説を持った宝石はいくつもありますが、トルコ石はその代表格でしょう。色変わりするだけでなく、ときには持ち主の身代わりとなって砕け散ることもあるとか。こうしたことからトルコ石は魔除けのお守りと信じられてきましたが、自分で買ったものは効果は薄く、誰かからプレゼントされたものは強力な効能を発揮したといいます。そして護符としての力をすべて使い切ると、トルコ石は緑色に褪せてしまうのです。

トルコ石の伝説によく登場するのが、16世紀頃のハプスブルク家宮廷医師、デ・プートなる人物。彼は色褪せたトルコ石を手に入れ、それを息子に与えます。息子はその石をシール(封ロウに紋章を押すための印鑑)に加工していつも身に着けているうちに、いつしかトルコ石には鮮やかなブルーが蘇ってきました。あるとき息子は、旅の途上で落馬事故に遭います。しかし本人は何もケガを負わず、代わりにトルコ石が大きく欠けていたのだそうです。

19世紀のファッションリーダー、ヴィクトリア女王もトルコ石が大好きでした。プラドの婦人アーチェリー競技会では、勝者への記念品として女王はトルコ石の蛇のブレスレットを贈ったといいます。輪になった蛇のモチーフは、途切れることのない円環のかたちをしているため“永遠”と“若返り”のシンボルとみなされ、とても縁起がよかったのです。これがきっかけで、トルコ石の蛇は一躍人気モチーフとなりました。

濃いブルーから、青みのかったグリーンまで、さまざまな色があるトルコ石。その宝石言葉は“成功”です。青さに深みのあるイラン産が人気が高いといわれますが、私の好みは、アメリカのアリゾナ州にあるスリーピング・ビューティ鉱山で採れるブルー。比較的淡くやわらかな青ですが、よく晴れた12月の空のように、じんと目にしみる色なのです。

 

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