ストロングトーン
ストロングトーンとは
今回のテーマ、「ストロングトーン」は、灰みを感じる、グレイッシュ(濁色、中間色)といわれるグループです。
ストロングトーンは鮮やかですが、少し灰みがかっていて、複雑なニュアンスを感じさせる色です。艶っぽく、豊潤に見えたり、力強さや野性味が感じられるのが特徴です。”ジャパンブルー”といわれる藍色も、ストロングトーンに分類される色のひとつです。
トーン(色調)とは?
記事「色の三属性とイメージ」では、色相(色み)、明度(明るさの度合い)、彩度(鮮やかさの度合い)といった色の三属性をご紹介しましたが、日常生活の中では、「明るい、暗い」、「濃い、薄い」、「鮮やかな、くすんだ」というように、色のおおまかな印象を、言葉によって表現するのが一般的です。
「明るい」という言葉には、明度の高さだけでなく、鮮やかさも含まれているのに対して、「薄い」という言葉には、明度の高さと彩度の低さ(色みの少なさ)が表現されています。
このような色の表わし方をトーン(色調)と言います。トーンは、明度と彩度が複合された、色の印象を表わす方法です。
ストロングトーンは、中明度、高彩度に分類されます
トーン分類には様々な系統がありますが、ここでは代表的な12分類をご紹介します。上の図は赤の色相を12種類のトーンに分類したものです。横軸は彩度(鮮やかさの度合い)、縦軸は明度(明るさの度合い)を表わしています。右にいくほど鮮やかに、上にいくほど明るくなります。
トーンを知ると、色の印象をおおまかにとらえることができますし、配色調和を考えたり、パーソナルカラーを活用する手がかりにもなるので、非常に便利です。今回は、ストロングトーンをテーマに、活用術をお届けします!
ストロングトーンの特徴
代表的な5色相について、ビビッドトーン(純色)、ブライトトーン、ストロングトーン、ディープトーンの順に並べてみました。どのトーンも彩度(鮮やかさ)が高いので、色みをしっかりと感じられます。ブライトトーンは、”白み”が感じられる色、ストロングトーンは”灰み”が感じられる色、ディープトーンは”黒み”が感じられる色です。
ストロングトーンは、物質感や存在感のある色。力強さが感じられるので、アスリートたちのユニフォームにも、よく使われます。
代表的な5色相(赤・黄・緑・青・紫)もトーンによってイメージが違ってきます
おすすめカラーコーディネート!パーソナルカラーとの関係は?
ストロングトーンは、とてもよく似合うタイプもなければ、とても苦手なタイプもない…というのが特徴なので、パーソナルカラーと関連付けるのは、少し難しい色です。ビビッドトーンは、似合うタイプと苦手なタイプがはっきり分かれるので、アスリートたちのユニフォームに、ストロングトーンがよく使われるのは、理にかなっているのかもしれません。今回は、ストロングトーンを使った配色を、パーソナルカラーのアドバイスを交えながら、ご紹介します。
ストロングトーンの色を使った配色例
■ダークネイビーと白に、アクセントカラーのエジプシャングリーンでスマートに
ストロングトーンの中でも、エジプシャングリーンのような寒色系の色は、シャープで行動的なイメージがあります。コントラストが知的な雰囲気を感じさせますね。この配色は、パーソナルカラーの基本タイプの中では、ウィンタータイプの方が比較的取り入れやすいでしょう。
■ビスケットとアイボリーに、アクセントカラーのピスタチオグリーンでナチュラルに
エジプシャングリーンのようなブルーグリーン系と違って、ピスタチオグリーンのようなイエローグリーン系は、おだやかなイメージを持っています。この配色は、パーソナルカラーの基本タイプの中では、スプリングタイプの方が比較的取り入れやすいでしょう。
■色みの異なるダークブラウンの組み合わせに、唐紅花(からくれない)のアクセント
ストロングトーンの中でも、唐紅花のような暖色系の色は、豊潤であでやかなイメージを持っています。ビビッドレッドよりも深みがあるので、タフで力強い雰囲気も感じられます。ブラウン系と組み合わせた配色は、オータムタイプの方が比較的取り入れやすいでしょう。
■パープリッシュグレーに、ピンク系のグラデーションでエレガントに
レッドパープル系のビザンチンは、どこかかげりのあるニュアンスのある色、ピンクやパープリッシュグレーとの組み合わせは、女性らしいイメージです。この配色は、パーソナルカラーの基本タイプの中では、サマータイプの方が比較的取り入れやすいでしょう。
日本・フランス・中国の伝統色
色を使いこなすには、たくさんの色に触れて、その色の背景にある歴史や文化を知ることも大切です。今回は、日本、フランス、中国の伝統色の中から、ストロングトーンの色を3つずつ選んでご紹介します。
歴史や文化の中で育まれてきた色は、とても表情豊か。色名や色の由来から、イマジネーションを広げていきましょう。
日本・フランス・中国の伝統色
■日本の伝統色
紅緋(べにひ)紅花と支子(くちなし)黄蘗(きはだ)鬱金(うこん)などの黄色染料との交染による華やかな色で、今にいう緋色はこれに近い。
山吹色(やまぶきいろ)
山吹の花の色からきた色名。太田道灌の“山吹の実のひとつだになきぞ悲しき”の言葉は残っているが、 今は山吹の花もあまり見られない。この名はクレヨン、パスなどの色に残っているだけである。
鶸色(ひわいろ)
鶸の羽毛からきた色名。実際に鶸の色はこれほどきれいな色ではないかもしれないが、色名は記憶されるイメージからくるものだから、 きれいな方向に強調されることもある。
■フランスの伝統色
AZALEE(アザレ) つつじの花の色アジアの植物で非常に美しい花であるが香りがないことが惜しまれている。色には種々あるが、ここにあるのはその代表的な色。
BLUE ROYAL(ブルー・ロワイヤル)
ロワイヤルは王に関するもの、或いは属するもので、フランス王政時代のブルーである。現在はフランス国旗の中にあるブルー。
MANDARINE(マンダリーヌ) みかんの色
オレンジの木と類似した灌木、みかんの木になる香りの良い甘酸っぱい果物。地中海沿岸の常緑喬木。葉は香味料となる。
■中国の伝統色
青蓮紫 (チンリェンツー) はすの紫ポリエステル織物の使用色。若い女性の衣服の色。古典京劇の世界では、老将軍の衣装の色として用いられる。
銀星海棠 (インシンハイタン)
強烈な印象を持つ、喜びと慶事を表わす艶やかな赤。民芸切り紙の色として常用される。
孔雀藍 (コンチュエラン) 孔雀の藍
絵画に使う色。広東省より産出する。藍銅鉱の色。永楽宮(ヨンルーコン)壁画、敦煌(とんこう)壁画にこの色が使用されている。色標原本には、宝石のような艶やかさがある。
※色はあくまで目安です。ブラウザやディスプレイによって、見え方が異なります。
※参考資料:DICカラーガイド
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