「片付かない!」はほとんどの日本人の住宅問題ですが、
とりわけ深刻なのが60代以降のシニアの方々
1960年から高度大衆消費時代が始まりました。新しいモノを次々に買うことで、やりたいこと、なりたい自分、に近づくというのが、この時代の豊かな生き方とされています。三種の神器といわれた、カラーTV,クーラー、車を手に入れた現在80歳代の方々は大衆消費第一世代といわれています。この世代は、モノの乏しい時代に育ったため、片付けの躾はなされていません。したがって片付けの習慣もありません。また、もったいないからと、なるだけモノを捨てない人生を送ってきました。自分たちが若いときの趣味のレコードや本、衣類、靴、子供のおもちゃ、図画工作、写真、引き出物や記念品等々、とてつもなく大量のモノが家中にため込まれています。
最近、わが家をリフォームして心機一転すっきり暮らすために、なんと4トントラック3台分のモノを処分したシニア夫婦がいます。このように大量にモノを処分しないと、リフォームも住み替えも実現しません。
シニアの住み替えが進まないのは、「片付かない」ことが原因では?
団塊世代が定年を迎えると、都心や田舎への住み替えが増加するといわれましたが、実際のところは想定数をはるかに下回っています。また、住み替えを実践した人たちの多くは、たくさんのモノがつまった自宅を、人に貸すでも、売るでもなく、そのままにしています。私はシニアの住み替えが思ったほど進まないのは、片付かないことに大きな原因があるように思えてなりません。今の家にあるたくさんのモノを処分することができないから、住み替えができない、というシニアは案外多いのではないでしょうか。第二の人生を軽やかに進めるには、まずは、片付けからというのは、あながち的外れなことではないと思います。また、その先にある、人生の終末期に向けても、片付けは避けて通れないことです。
女優の有馬稲子さんが、私の履歴書(日経新聞)で、「『夏羽織一枚を残して死ぬ』これは、人の人生はほぼプラスマイナスゼロ、わずかに夏の羽織を一枚残す程度に終わるのが理想だという意味で、人生最後の楽章をどう過ごすか考える上での大切な指針にしています。しまい込んで1年使わなかったものは、二度と使わないもの、思い出は品物ではなく、心に刻むもの。物置にしまっていたものは、早稲田の演劇博物館に寄付するもの以外はほとんど捨てて、横浜の高齢者が多く住むマンションに引っ越しました。」と、書いておられました。潔く、清々しい生き方だと思います。
前向きに人生を送る人は、片付け上手、捨て上手な人といえるのではないでしょうか。
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