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旅館の改革を考えよう! 旅館の裏事情講座(第3講座)(2ページ目)

旅館の歴史、旅館の内事情、旅館の悩み、旅館の勘違い。旅館の社会的背景を学んでみませんか。第3講座は「旅館が変わる」がテーマです。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

【2時限目】「泊食分離」
「泊食分離」とは、お部屋代と料理代、そして入浴料、それぞれの料金を明確にし、その合計額を「1泊2食の宿泊料金」とする料金の考え方。単に「食事を部屋ではなく食事処で食べるスタイル」を泊食分離と呼ぶ人もおり、その概念が少し曖昧なまま使われている業界用語です。ただ、料金上分離されていないと意味を成さないと思います。
国民宿舎など公営施設は、昔から泊食分離の料金制度を敷いてきました。
そのため、素泊まりもできれば、B&Bも可能。
部屋タイプを選ぶこともできるし、人それぞれに料理ランクを変えることも。
旅館は国民宿舎と違って、サービスもより多様で複雑ですので、こうした料金がより必要かと思います。
さらに、より厳密に「一室いくら」の「室料制」にすれば、「一部屋いくら」になるので、一人旅や子連れの場合でも計算しやすいと思います。
しかーし。
泊食分離料金は人気がありません。
「部屋代と食事代と入浴代をいちいち足すなんて面倒くさい!」
「慣れ親しんだ1泊2食のほうが、わかりやすい!」
という声が多いということなのですが・・・
そういう方に申し上げたいのは、
「それで安くして内容落ちても文句言わないでね」ということ。
ただ、そういう声は年配の方に多いようですけれどね。
でもこれから、より合理的な発想を持つ戦後世代が主要顧客になっていく時代、料金に応じた内容の違いをしっかり確認できるように、こうした泊食分離料金制度を、私たちからも業界に求めていく必要があると思うのです。
岩室温泉のゆめやさんは、泊食分離料金にされています。お客様に内容をしっかり伝えること。それは旅館の説明責任だと思います。例えば、
「部屋代」は部屋タイプだけでなく、シーズンや曜日によって変わります。
「食事代」は、内容によってだけ変わります。子供は子供料理料金です。
それを、1泊2食でごっちゃにして、安いプランを作って、高い内容が出るのかと期待させておきながら内容を下げるのは、実に現代風ではありません。
戦前世代の気のいいおじいちゃん、おばあちゃんなら文句も言わないでしょう。
戦後世代はクレームが多いと思われていますが、業界も説明責任を果たしていない限り、それは仕方ない時代の変化だと思うのですが・・・。
旅館は説明責任を果たす。利用者は自己責任で買う。
当たり前のことをできるようになることが、再生への条件のような気がします。
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