ロングステイ/ロングステイ基本情報

ロングステイの基礎知識

「ロングステイ」というライフスタイルが脚光を浴びて久しいですが果たして期間はどれくらいを指すのでしょう? ロングステイの基礎知識をまとめました。

千葉 千枝子

執筆者:千葉 千枝子

旅行ガイド

ロングステイとは2週間以上の海外滞在型余暇のこと

「ロングステイ」というライフスタイルが脚光を浴びたのは、団塊世代の大量定年がスタート(2007年)する直前、長寿大国・日本の老後不安や年金問題が噴出したころにさかのぼります。充実した「クオリティ・オブ・ライフ」を求め、人生のある一時期を海外で暮らす日本人リタイアリーたち。より低物価な国や地域を求め、経済発展著しいアジアの諸国で優雅に暮らす日本の中高年カップルを中心にスポットライトがあたりました。

イメージ
かつて旅した街を再訪し暮らすように過ごすロングステイ
そもそも「ロングステイ」とは造語で、和製英語です。経済産業省所轄の公益法人(財)ロングステイ財団が提唱する海外滞在型余暇の総称で、「生活の主たる源泉を日本に置き、海外の一ヵ所に比較的長く滞在をしながら、その国の文化や生活に触れ、現地社会での貢献を通じて国際親善に寄与する」と定義づけられています。その期間については、おおむね「2週間以上」とされており、上限はありません。

「ロングステイ」という語彙は商標登録されており汎用性が低いことから、「海外暮らし」や「海外長期滞在」、「ロングバケーション」といった類語も、近年多数みられるようになりました。また、長期滞在を経過後、移住ないしは永住するひとも現出し、明確な境界線が見出せないでいます。

80年代後半、日本経済がバブルの絶頂にある時代に、日本人高齢者の海外移住促進施策「シルバーコロンビア計画」が、当時の通商産業省より発表されました。いくつかの推奨都市が掲げられ、日本の開発業者が現地に長期滞在施設を建設するなど、強い円を背景にした海外暮らしブーム黎明期を迎えます。しかし世界経済のなかで、日本との貿易摩擦が深刻化していた時期だけに、受け入れる諸外国側から「日本は自動車ばかりでなく、老人までをも輸出するのか」と大きな反感を買いました。その後のバブル崩壊で、この計画は頓挫、霧消します。

あらたなライフスタイルとしての「ロングステイ」

近年、話題にのぼるロングステイは、こうした黎明期に海外生活をスタートした先駆者をはじめ、定年はもちろん早期退職などにより人生のセカンドステージを海外に求めたベビーブーマーや、転職リフレッシュメントを目的とした現役世代の海外暮らしなども大義に含まれるようになりました。また、海外に限らず、日本国内の地方における長期滞在も、マクロ的にロングステイと称するケースがあります。

旅と暮らし
青空市場で旬の野菜を買い込み自炊を楽しむ醍醐味がある
ロングステイは、「旅」と「暮らし」の進化形です。若いころ団体旅行で訪ねた街に再訪し、一ヵ所滞在型で美術館や公園、近隣の小村をゆっくり巡りたいと考えるひとが増えています。これは、日本人の旅行観が成熟したことを、如実に物語っています。「バカンス」や「バケーション」という概念が進む欧米では、キッチン付きの長期滞在施設に、数週間から数ヵ月の単位で滞在する旅行形態が珍しくありません。日本も成熟の時代を迎え、余暇の増大に伴いライフスタイルも多様化するなか、旅の延長線上にロングステイをとりいれるひとが増えてきたと考えられます。

ロングステイを、「人生をより豊かに」するための一手法としてライフプランニングのなかにとりいれるひとが珍しくない一方で、生活防衛を目的に、低物価の国や地域へ移り住むひとも現存します。いずれにしても、あらたなライフスタイルとして今後も広がりを増すことでしょう。

ロングステイのビザ

空港
ビザは入国審査における推薦状のようなもの
ロングステイでもっとも気をつけたいのが、ビザ(査証)です。一般に、観光や短期商用目的での滞在で、日本と相手国が査証相互免除の協定を締結している場合であれば、既定の滞在許可期間の範囲内を、無査証(ノービザ)で滞在することができます。また、観光ビザの取得が必要な国も、日本ないし現地で申請をすることで、既定の滞在許可期間の範囲内を滞在することが可能です。無査証ならびに観光ビザでの滞在許可期間は、国や地域によって異なります。

さらに長期での滞在を望む場合、「リタイアメントビザ(退職者査証)」等の一時居住用ビザを取得するのが一般的です。こうした長期滞在者向けのビザを取得したい場合、取得の条件や申請方法は、在日大使館の査証課や現地移民局(省)、在日政府観光局のホームページ、現地ビザコンサルタントやビザ専門の弁護士事務所などで情報を収集するとよいでしょう。
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