もっとも大事な運用方針
商品分類には「追加型株式投資信託/国内株式型(一般型)」と書いてあります。「追加型」とはいつでも買えるという意味です。反対語は「単位型」で、買える時期が制限されています。単位型投資信託は換金時期も制限されますので注意が必要です。「一般型」というのは、日本の株式市場全体を投資対象としているという意味で、他のタイプには「大型株型」や「中小型株型」などがあります。
信託期間には、「原則無制限です」と書いてあります。期限があると投資が打ち切られてしまいますから、長期投資をする人にとっては、期間無制限が必須の条件です。「原則」と書いてあるのは、運用会社の都合により途中償還されてしまうことがあるからです。
運用報告書表紙の左側に貼ってある表を拡大しました。中段の運用方針がもっとも大事です! |
表の3段目の運用方針は、もっとも重要な投資ポリシーの記載です。長い文章で書いてありますが、業界の表現をすればグロース型のボトム・アップ・アプローチだということです。グロース投資の反対はバリュー投資、ボトムアップの反対がトップダウンです。グロース、バリューの解説は以下の記事を読んでください。
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主要運用対象には、マザーファンドが表示されています。この投資信託はベビーであり、いくつかのベビーが一人の母親(マザーファンド)にぶらさがっており、マザーを通して現実の投資活動をしているということです。公募投信の世界では、このように二重構造をとっているケースが多くあります。市場サイドの運用と客サイドのニーズ・マッチングを切り離して行うことが効率的だからです。
これらの関係を分かりやすくした以下の表が、目論見書には貼ってあります。
投資家のお金を使って、市場から銘柄株や債券を買い付ける作業はマザーファンドがやっています。 |
組入制限には、「株式への実質投資割合には制限を設けません」と書いてあります。基本的にはすべて株式に投資しますよ!という宣言です。株式組入れ比率により投資信託は4つの種類に分けることができます。
・成長型 株式投資信託 株式組入率上限なし
・安定成長型株式投資信託 株式組入率70%未満
・安定型 株式投資信託 株式組入率30%未満
・公社債投資信託 株式組入率ゼロ
しかし、一般的な外国債券ファンドでは株式組入率を10%未満としているので、債券ファンドなのに株式投資信託に分類されるという混乱が存在しています。
分配方針は、決算期に分配金があったら払うと書いてあります。これは、建前的な記載で、実際にこのファンドは再投資型であって今まで分配金を出したことがありません。それはそれで良いことですが、そこらへんの見極めはこの記述だけでは判読できません(後日、運用実績のところで触れます)。
・投資信託の運用報告書を読みこなそう<2>
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