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カモミールの育て方は?基本知識や種・苗からの育て方とコツ

育てる、見る、食べる、香る、癒される……。そんなハーブを暮らしに取り入れてみませんか? 今回は、リンゴのよおうな香りを持つ「カモミール」についてご紹介します。育て方についてもご紹介しているので、興味のある方はぜひ参考に育ててみてください。

畠山 潤子

執筆者:畠山 潤子

ガーデニングガイド

 

大地のりんご、カモミール

カモミールの育て方

カモミールの育て方

カモミールという名前は、ギリシャ語の「khamai(大地の意味)」と「melon(リンゴの意味)」からと言われています。「khamai melon(大地のリンゴ)」と呼ばれるように、その香りはまさに甘酸っぱいリンゴのようです。

「カモミール」とは厳密には「Matricaria recutita」、つまりティーとしてよく利用される「ジャーマンカモミール」を指します。別種に、全草が香り「香りの芝生」となる多年草「Anthemis nobilis(キク科:アンテミス属)」、通称「ローマンカモミール」があります。同じく多年草の「Anthemis tinctoria」は、通称「ダイヤーズカモミール」と呼ばれ、こちらは黄色い花を染料に用います。
カモミールのデータ

カモミールのデータ

 

カモミールは「植物のお医者さん」

ダイヤーズカモミー
こちらは染物に利用されるダイヤーズカモミール
ヨーロッパでは、紀元前2000年頃から薬用として用いられていたカモミールですが、カモミールティーなどがもたらす鎮静効果はもう既に皆さんもご存知のことでしょう。カモミールにはこの鎮静効果のほかに、不眠症の改善、発汗作用、消化促進などの効果があり、初期の風邪にも効きます。また、ジャーマンカモミールは消炎作用、便秘解消、月経痛の緩和、生理不順、美肌効果もあり、「マザーハーブ(母の薬草)」とも呼ばれています。

このカモミールは人間の健康に良いだけでなく、「植物のお医者さん」という名も持っており、コンパニオンプランツとしても有用されています。カモミールの害虫としてアブラムシが挙げられますが、例えばバラの傍にカモミールを植えておくと、アブラムシはカモミールにつき、バラへの被害が避けられます。キャベツや玉葱といった食用植物とも相性が良いようです。

また、弱った植物の傍にカモミールを植えると、その植物が元気を取り戻すとも言われていますので興味のある方は、試してみてはいかがでしょう。
 

ジャーマンとローマンの違い

カモミール
どちらもリンゴのような香りがするけど……
ジャーマンカモミールとローマンカモミール、どちらもリンゴのような芳香を持ち、ティーやハーブバス、ポプリに用いられるハーブですが、両者の違いはどこにあるのでしょう?

【違いその1.】
ジャーマンカモミール⇒一・二年草
ローマンカモミール⇒多年草
【違いその2.】
ジャーマンカモミール⇒花だけに芳香がある
ローマンカモミール⇒花だけでなく茎葉も香る
【違いその2.】
ジャーマンカモミール⇒炎症を鎮める成分「カマズレン(アズレン)」を含む
ローマンカモミール⇒「カマズレン」を含まない

以上が両者の違いとして挙げられます。
また、見た目だけでは違いがはっきりしないかもしれませんが、ローマンカモミールの方がジャーマンカモミールに比べると花がやや大きく、中心の黄色い部分(花托・かたく)が平たいのが特徴です。
 

カモミールを種からの育て方

カモミールの種
カモミールの種は非常に細かいが、こぼれ種でも芽を出す
カモミールは、秋のお彼岸あたり~10月がまき時です。発芽適温は15~20℃くらいで1~2週間で発芽します。秋蒔きのカモミールは、丈夫な苗に育ちます。発芽率も良いので、是非種まきからチャレンジしてみてください。

カモミールは種が非常に細かい(微細種子)ので、種まき用土を入れた育苗箱にばらまきします。薄く覆土をして、発芽まで半日陰で管理します。水やりの際に種を流さないよう、腰水で吸水させます。発芽後は日に当てて順次間引きしながら乾燥気味に管理し、本葉が5~6枚になったら株間を15~20センチあけて定植します。花壇などに直まきする場合は、日当たりと水はけの良い場所を選び、あらかじめ苦土石灰で土の酸度調整をしておきましょう。

秋蒔きカモミールの開花は、翌春になります。寒さには強い性質なので、庭植えの冬越しは株元をマルチングしてあげればOKです。

春に種を蒔く場合は、春彼岸~4月がまき時です。発芽適温を保てる場所で管理し、発芽後は日に当てて徒長を防ぎましょう。春まきは夏の暑さで弱ってしまうことがあるので、直射日光を避けたり、株元をマルチングして乾燥を防いであげると良いでしょう。
 

カモミールを苗からの育て方

カモミール
カモミールは踏まれても丈夫に育つ
種を蒔きそびれてしまった方は、市販のポット苗から始めてみましょう。苗を購入する際は、一般の草花同様に徒長していたり葉が黄色く変色しているようなものは避けます。

植え場所は、日当たりと水はけの良い場所が適しています。苗を地植えにする場合は、植えつけ2週間前に苦土石灰で土の酸度調整しておき、その1週間後に堆肥と元肥として化成肥料をすきこんでおきます。

梅雨から夏に、株が蒸れてしまうことがあります。枝葉が密集していると、アブラムシなどの害虫も発生しやすくなります。梅雨前に適宜枝を間引いて、風通しを良くしてあげましょう。

庭植えの場合は、極端に乾かない限り特に水やりの必要はありません。鉢植えの場合は鉢土が乾いてからたっぷり与えますが、乾燥しすぎるのも嫌いますので、特に夏の直射日光や冬場の水切れに注意しましょう。

カモミールは肥料を好みますが、与えすぎるとアブラムシの発生が多くなったり、チッソ分の多い肥料の場合は葉ばかり茂って花がつかないことがあります。葉の色が薄くなってきたら、1000倍に薄めた液肥で追肥をしてあげると良いでしょう。ただし、盛夏は施肥を避けます。
 

カモミールの殖やし方

ローマンカモミール
ローマンカモミールは地面を這うように広がる
ジャーマンカモミールは一度植えると、こぼれ種で増えていきます。開花後の花を全て摘み取ってしまうと種ができませんから、翌年のために少し残しておくようにしましょう。

ローマンカモミールは、挿し芽で殖やすことができます。ほふくする性質があるので、タイムの取り木のように、枝を固定しておくだけでも根がつきますよ。
 

カモミールを収穫しよう!

ドライハーブ
カモミールの花を乾燥させてハーブティーに
カモミールの収穫は、晴れた日の午前中に行うのがよいでしょう。開花後に花の中央部分(黄色いところ)が盛り上がってきたら、順次一つずつ花を摘み取ります。摘み取った花は、風通しの良い場所で陰干しにして乾燥させます。一度に全て収穫できるものではないので、乾燥させた花は密閉ビンなどで保存しておきます。

利用法として最もポピュラーなのは、カモミールティーですね。寝る前に飲むと、気持ちが落ち着いてぐっすり眠ることができます。味はあまりクセがなく、ミルクティーにしたり、砂糖や蜂蜜を加えるとお子さんにも飲みやすいハーブティーになります。ただし、妊娠中の方はご使用を避けてください。

このほかハーブバスやポプリに利用したり、新鮮な花はエディブルフラワー(食べられる花)にもなります。サラダの彩りや、ケーキの飾り付けにもいいですね。甘い芳香に可愛らしい花も楽しめるカモミールを、あなたのお庭にもぜひどうぞ!

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