Q. 毒蛇は頭の形が三角形であるかどうかで見分けられますか?
毒蛇は頭の形が三角って本当?
そういうわけで、今回は一般によく言われる「頭が三角形のヘビは毒ヘビ」という考え方に注目をしてみました。
A. 例外もあるが日本なら大体頭が三角の蛇が毒蛇という認識でok
また、えらいあやふやでハッキリとしない答えですが、そうだから仕方ないです。確かに、毒ヘビというのは頭が上から見ると三角形になっている場合が多いと言えます。
頭が三角形の毒ヘビ・トカラハブ |
そもそも毒ヘビには、唾液腺が変化した「毒腺」を持っていて、そこに毒をためています。この毒腺ですが、普通は上顎の毒牙につながっていますから、イメージ的には上顎からほっぺたの部分にあると考えればいいでしょう。
ということは、その毒腺のある部分は膨らんでいると考えても不思議はありません。したがって、毒ヘビの頭を上から見ると、吻端から頬にかけて膨らんでいきますから三角形になる、と。
無毒ヘビは三角形にならない場合が多い・ジムグリ |
特に、毒ヘビの仲間の二大勢力の一つであるクサリヘビ科のヘビたちには顕著であり、日本のハブの仲間やアフリカのアフリカアダーの仲間などは、いかにも毒ヘビ、という感じの三角形の頭部をしています。
では、三角形でない頭部のヘビは無毒か、あるいは三角形ならば必ず毒ヘビか、と言えば、それは決して正しくありません。
例えば、日本のヤマカガシは、万一、皮膚の薄い場所などに深く、時間をかけて咬まれた場合は命を落とす危険もある毒ヘビですが、全然三角形ではありません。
マムシの頭の形 |
また、毒ヘビの二大勢力のもう一つであるコブラ科のヘビたちは、基本的に三角形の頭はしていません。世界最強の毒を持つタイパンでさえ、普通のヘビと何ら変わらない形をしています。
それに、そもそも三角形の頭なんていうのは、イメージの話であって、見る人の主観によるところが強いでしょう。
例えば、日本の本土で一番気をつけなくてはいけない毒ヘビであるマムシの頭部は見る人が見れば三角形だろうし、どこが三角形か?と感じる人もいるでしょう。ま、だいたいは菱形と言えば納得してもらえるような形です。
また逆に、中国に生息するハブモドキのようにいかにも毒ヘビらしい三角形の頭をしていながら無毒、というヘビもいます。もしかすると毒ヘビに擬態しているのかもしれませんが。
頭が三角形の無毒ヘビ・ハブモドキ 画像:Endless Zone |
ですから、三角形かどうかで危険か安全かを見分けるのは難しいのです。
じゃ、どうすればいいのかというと、やはり正確な知識を持つことです。マムシやハブが多い地方の方ならば、子供の頃から写真や図鑑を見ることで、安全なヘビであるかどうかを見分ける知識をつけさせるのは、大人の責任でしょう。
それができないのなら、残念ですが、子供の頃から「ヘビには近づくな」と習慣づけるしかありません。本当に残念ですが。
そういうわけで、日本ならばマムシやハブは確かに三角形と言えるような形をしているが、ヤマカガシがそうであるように、世界中を見れば「毒ヘビ=三角形の頭」という公式は成り立たない、ということです。
毒ヘビと三角形の頭の関係
毒ヘビと三角形の頭って、どんな関係なんでしょう?先述したように、頬に毒をもつから頭が三角、というのは必ずしも正しくないわけです。
コブラ科のヘビを見ればわかるように。
ところが、オーストラリアのデスアダーの仲間のように、クサリヘビ科のヘビがいない場所には、収斂現象のように頭が三角形のコブラ科のヘビが存在するわけです。
たぶん、毒の強さとか、その種類がどれくらい毒に頼った生活をしているのか、その辺りで毒腺の大きさが決まって、頭部の形状に影響を及ぼすのでしょうけど。
何か、生態系の中で、私たちがまだ知らない、何らかの理由が毒ヘビの頭の形を三角形にしている、そんな気がしてなりません。
「毒ヘビの頭は三角」
こんな一般的な知識の中にも、まだまだ知りたいことがたくさん残っている両爬の世界はやはり本当におもしろい!!
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