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ピパピパ(ヒラタコモリガエル)の飼育方法とは?

今回は、ピパピパの飼育方法や基本情報をご紹介いたします。ピパピパは非常に有名な南米の水生ガエルです。体型は扁平で非常に薄く、上から見ると吻端が尖っているため、五角形に見えます。繁殖生態が特徴的で、非常に有名。ぜひチェックしてみましょう!

執筆者:星野 一三雄

ピパピパとは? 基本情報や飼育方法

ピパピパ
ピパピパ
学 名Pipa pipa別 名:ヒラタコモリガエル、ヒラタピパ、ピパ、ピパガエル英 名:Surinam Toad, Pipa Toad分 布:南米北部から中部(ブラジル、ペルー、ガイアナ、スリナムのアマゾン川流域)全 長:メス105-171mm オス106-154mm 最大180mm

私がここに紹介するまでもなく、非常に有名な南米の水生ガエルです。

体型は扁平で非常に薄く、上から見ると吻端が尖っているため、五角形に見えます。水生生活に適応しており、特に後肢の水かきは非常に大きく発達しています。目は小さくどこにあるかわかりにくく、視力はあまり発達していません。そのため、前肢の指先に星の形をした感覚器官があり、これで餌などの情報を認識しています。

体色は写真の個体のように明褐色地に不規則な黒色の斑紋が散在しています。これは幼体もそれ程変わりません。繁殖期になるとオスの総排泄孔にリング状の突起が生じ、雌雄の判別ができますが、それ以外では性差はほとんどありません。

比較的濁っていてゆっくりした流れの運河や池などで生活していて、特に底床が泥の場所を好むようです。

餌は主に底生の小動物ですが、小魚を食べることもあります。

繁殖生態が特徴的で、非常に有名ですが、ご存じない方もいらっしゃると思うので簡単に紹介しましょう。

本種はコモリガエル科のカエルです。コモリガエルの仲間は基本的にメスが自分の背中の皮膚の中で卵を保護します。つまり、メスが産んだ卵を、オスが精子で受精させた後、オスは腹部や前肢を使ってメスの背中に卵を押しつけます。この時にメスの背中の皮膚はスポンジ状に軟らかくなっていて押しつけられた卵はメスの背中の皮膚に付着します。

卵は次第にメスの背中の皮膚の中に埋没していき最終的には完全に皮膚の中に埋もれてしまいます。卵はメスの皮膚の中で発生を続け、孵化してオタマジャクシの時代も皮膚の中で成長をします。

変態をして仔ガエルになると、メスの背中の皮膚を破って外の世界に散っていきます。他のコモリガエルの仲間はオタマジャクシになると外に出てきますので、変態が終わるまで背中で保護をするのは本種だけと思われています。

メスは1回で直径6.4-6.6mmほどの卵を60-100個ほど産み、メスの背中の中で12-20週間ほどかけて孵化、成長、変態に至ります。メスの背中から出てきた仔ガエルは体長が2cmほどで、親とほぼ同じ形をしています。仔ガエルたちは共食いも行いながら成長をしていきます。

もう、一般の方にもお馴染みだと思いますが、どうなんでしょう?本当に自然の驚異としか思えない存在の生き物です。

確か、私がピパの繁殖生態を知ったのは小学生の頃だったと思います。図鑑とかではなく筒井康隆さんの小説『私説博物誌』で読んだのが最初でした。その時に「背中の皮を破って...」というのを読んで、大変なショックを受けたのを今でも覚えています。あと、メスの背中に卵が埋没する直前の写真を見たときもショッキングでした。黄色いツブツブが...うへぇ

何にしても、こんなに興味深い生き物ですが、意外に両爬飼育者では飼育している方を見かけません。比較的飼育もしやすいようですので、いつかは飼育してみたい生き物です。

なお、標準的な名前は「ヒラタコモリガエル」ですが、検索エンジンにひっかかりやすいかと思って、ここではあえて「ピパピパ」で紹介しました。

赤っ恥をかかない程度の知識
  • 南アメリカ原産
  • 指先に星状の感覚器官あり
  • 結構、デカイ
  • 完全水生
  • メスの背中の中に卵が埋没して仔ガエルが皮膚を破って出てくる
 

ピパピパの飼育方法 

飼育容器
60cm程度のガラス水槽。ガラス蓋をする

温度
観賞魚用のヒーターで25-28℃に保温する。特に冬は保温が必要

照明
観賞と水草育成のために熱帯魚用の蛍光灯を設置すればよい

床材
必要ないが、好みで観賞魚用の砂など。角がなくなめらかな素材を使う

容器内レイアウト
観賞魚用の水中フィルターを設置する方がよい。シェルターがある方が落ち着く。水草は植えても良いが暴れて引き抜かれないようにする


イトミミズ、冷凍のアカムシ、エビ、水生昆虫、ハツやレバーなどの肉片など。配合飼料は普通は食べない

基本的な世話
水生カエルの飼育

  • 観賞魚のように飼えばよい
  • 水質の悪化に注意する
  • ときどき水換えをする
  • 給餌はほどほどに。太らせすぎに注意する
  • 低温の処理で繁殖が誘発できることもある
  • オス同士は闘争を行う
※「飼育の基本情報」は「ビジュアルガイド カエル2(誠文堂新光社)」および海外サイトを参考にしました。

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