神戸の摩耶山で坐禅とイタリアン精進料理(5ページ目)

摩耶とは、
お釈迦様のお母さんの名前です

この方が法道仙人。インド人には見えないが・・・

摩耶山天上寺の歴史はたいへんに古く、創建は、７世紀の前半に遡ります。インド人の僧、法道仙人という方が建立されたといわれます。ご本尊は十一面観音で、その後、弘法大師空海が、当時中国で女人守護の仏様として信仰されていた摩耶夫人（まやぶにん、お釈迦様のお母さん）の像を祀りました。仏像としての摩耶夫人像が祀られている寺は、全国的にも珍しいものです。

摩耶夫人と、女性的なイメージのある十一面観音を祀るところから、この寺は、女人守護の本山として、広く女性の信仰を集めました。また、安産祈願の腹帯発祥の霊場としても知られているそうです。

観音様の七変化

阿字観の指導も行われる金堂には、ご本尊の十一面観音（秘仏）以外にも、たくさんの仏様が祀られています。中でも驚いたのは、観音様の七変化が勢ぞろいしていたこと。観音菩薩は、いろいろに姿を変えて人を救う役目をになう仏様で、その代表的な姿は七つあります。しかし、それがすべてそろって並んでいるお寺は、他ではあまり見たことがありません。

こちらのお寺は大きな火事に見舞われたため、これらの仏像は新しいものです。しかし、彩色も美しく、細部の細工や手のポーズもきわめてわかりやすいので、仏像の見方を勉強するのに最適。マニアの方も、初心者の方も、仏像好きなら、ぜひ一度ご拝観ください。

眺望絶佳
星や月も手に取るように見える

気さくな副住職の伊藤さん。仏像や歴史を語りだすと止まらない

天上寺という名前はダテじゃない。境内からの眺めも、本当に天上から下界を見下ろすかのようです。神戸の街だけでなく、淡路島も明石大橋も一望。風もそよそよ吹きわたり、あまりにも気持ちよすぎて、ずっとここにいたくなってしまうほどです。わたしのようにたくさんのお寺に行っている者でも、ここほど眺望と居心地のよい寺は、他に知りません。

「夜になれば、月や星の動きも手に取るように見えるんです」と、副住職の伊藤浄眞さんはおっしゃいます。８月の「四万六千日大祭」には、摩耶山に星が降ると言われているそうです。

観音様と星のご利益を
いただきに出かけよう

8月8日～9日にかけての深夜には、摩耶山山頂に星が降ると言われています。写真は、青く光る石が敷き詰められた、きらきら小径（写真提供/神戸市国際文化観光局観光交流課)

お寺や仏教に詳しい方なら、ここで、「あれ、四万六千日は７月なのでは？」と思われることでしょう。四万六千日とは、この日に観音様にお参りすると四万六千日分のご利益があると言われる特定日のことで、浅草寺などでは、その日に合わせてほおづき市などが行われます。それは7月９～１０日。東京では新暦が使われるため、四万六千日やお盆などの仏教行事が、旧暦を使う地方よりも一ヶ月ほど早くなるのです。

摩耶山では、旧暦に従って８月８～9日に四万六千日の供養が行われます。8日と9日の境目の時刻、つまり9日の午前零時には、ご本尊の観音様に向けて、天から除災招福の星がくだると言い伝えられています。つまり、この日、この夜に摩耶山に出かければ、四万六千日分の観音様の功徳に加え、招福の星のご利益までいただけるということ。

観音様に向けて星が降る夜に、あなたも摩耶山に出かけてみませんか？

お勧めのお土産は、若返りのご利益がある「若ガエル」と、きらきら小径に敷き詰められた石のお守り

●摩耶山天上寺のホームページ

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