信貴山は聖徳太子の山

朝護孫子寺の本堂は山上にそびえています
信貴山は、法隆寺にほど近い、奈良県と大阪府の県境あたりにある山です。関西に宿坊は数々あれど、わたしが特に気に入っているのは、ここ、信貴山の朝護孫子寺の宿坊です。

何がよいって、まず山の佇まい。日本では古代から山には神仏が棲んでいるとされ、信仰の対象となっていました。とりわけ関西には神聖な山が多く、信貴山もそのひとつ。しかもここは、聖徳太子が毘沙門天をご感得なさったという、きわめて由緒深い場所なのです。つまり、聖徳太子の前に毘沙門天様が降臨し、たいへんなご利益を得たということです。

宿坊、玉蔵院にある聖徳太子の障壁画。若い太子(左端)の前に毘沙門天が降臨します。右の方は聖徳太子のお父さん、真ん中はお母さんです


儲かりまっかのお寺

聖徳太子の前に毘沙門天が出現したのは、寅の年、寅の日、寅の刻でした。そのため、信貴山のあちこちには、たくさんの寅の像があります。とりわけ、赤門前で本堂を見上げる巨大な寅は、「世界一の福寅」とされ、ご利益がすごいそうです。
世界一の福寅は、信貴山のアイドルです


一億円札を咥える寅は、実際にこちらに祈願して儲かった方が奉納されたとか
毘沙門天は商売繁盛の神様とも言われます。特にここは奈良県のお寺の中でも大阪に近いせいか、聖地でありながらも、どこか現世的で庶民的な雰囲気があります。同じ山上の聖地でも、比叡山や高野山は神聖感が強いですが、信貴山は、現世利益をお願いしても受け入れてもらえそうな親しみやすさがあるのです。

わたしはひそかにここを、「儲かりまっかのお寺」と呼んでおります。山のあちこちにあるご利益スポットにお参りしているうちに何だか元気が出て、近いうちにお金持ちになれそうな気がしてくるからです。実際にすごいお金持ちになれずとも、日々、楽しく暮らして行ければ、それもいいかな、なんて思いながら信貴山を歩くのが、わたしは好き。

尼僧体験、僧体験もできます

老舗旅館のような佇まいの玉蔵院
信貴山朝護孫子寺の境内には、玉蔵院、成福院、千住院の三つの宿坊があります。未体験の方は、宿坊と聞くと、質素な建物を想像されることが多いようですが、こちらの宿坊はどれも立派な建物で、内部も、ちょっとした老舗旅館を思わせる雰囲気です。冷暖房などももちろん完備され、普通に宿泊したい方も安心です。とりわけ玉蔵院には、鉄筋の富貴閣と木造の客殿があって、どの部屋も快適そのもの。今回は、その玉蔵院の客殿に一泊し、尼僧体験にチャレンジしてみました。

三人の妙齢の美女が尼僧体験に挑戦します
と言っても、わたしは、尼僧修行は他の寺でも経験済みなので、今回は撮影担当に徹しました。参加者は、むろんすべて女性で40代~60代までの3名。実年齢的にはすごく若いとは言えませんが、美貌と好奇心はそこらの小娘には負けない方々ばかり。暑い中での尼僧コスプレや体力勝負の修行も余裕でこなし、皆、信貴山が大好きになったのでした。

ちなみに、こちらの寺では、尼僧体験だけでなく僧体験もできますので、男性の方も、お気軽にご参加ください。

次のページはわたしたちが体験した尼僧の1日をレポートします。