円空さんと木喰さん

このごろ仏像鑑賞がブームと言われ、仏像を見に行く旅をする人も増えてきました。人気の仏像はいろいろありますが、中でもディープな仏像マニアに支持されるのが円空仏と木喰仏です。

円空さんと木喰さん。
この二人には、いろいろと共通点があります。

どちらも江戸時代に全国を渡り歩き、行く先々で仏像を彫った修行僧です。
ただし、円空さんは1632年~95年、木喰さんは1718年~1810年と、生きた時代は少し違います。
どちらの作品も、「一木造り」と呼ばれる一本の木から彫り出す仏像で、手作り感のある素朴な風合いが魅力です。

しかし、二人の作風は似ておらず、それぞれに、一目で円空さんの作品、木喰さんの作品とわかる特徴があります。円空さんの仏像は、現代彫刻を思わせる芸術性、木喰さんの仏像は、どこかユーモラスでほっとするような微笑が魅力です。

円空さんの謎に満ちた生涯

「円空を旅する」(産経新聞社)円空入門にお勧めの本です
わたしは、円空さんの生まれ故郷である岐阜県出身のため、幼少のころから「円空さん」の名前をよく聞き、作品を目にする機会もよくありました。しかし、大人になってから円空さんの作品をはじめて見る人は、「えっ、これは江戸時代の日本の作品なの?」とか「アフリカの民芸品か現代の彫刻家が造ったものじゃないの?」と思うかも知れません。円空さんの仏像は、それほど斬新でユニークな形をしており、いわゆる「仏像」というもののイメージとはかなり違っているのです。

円空さんは、その作品数が多いことでも有名で、生涯に12万体の仏像を彫ったというのが通説になっています。何歳から仏像を彫り始めたのかはわかりませんが、円空さんは64歳まで生きたので、単純計算しても1年に1800体。とりつかれたように毎日何体もの仏像を彫り、一宿一飯のお礼として寺に奉納していたようです。

現存する作品数は5000体ほどで、出身地の岐阜県、その隣の愛知県に数多くあります。それ以外にも、北海道から九州まで分布しています。が、奈良県より西方面にある円空仏はほかから移されたもので、円空がそこに行って彫ったというわけではないようです。
※円空学会による調査です。

「円空を旅する」(産経新聞社)は、円空さんに魅せられ、謎に満ちた生涯の足跡を追って取材した新聞記者の方が書かれた本です。各地に残る円空の仏像とそのエピソードの数々が綴られ、円空入門書として最適です。ただし、円空さんの人生には謎の部分が多く、あくまで地元の方の推測として書かれた部分もあります。それほどに円空さんとその人生はミステリアスで、人の想像をかきたてるのですね。

●出身地岐阜県の円空さんに関する情報

●次のページは、円空仏は意外に埼玉県に多いというお話です。