郷土の偉人の名前が付いた大仏様

岐阜県羽島市の中心街、竹鼻町の一角に一体の大仏様が町を見守るようにして鎮座しています。その名は『佐吉大仏』。

羽島市ゆかりの偉人、永田佐吉翁に由来するもので、全国各地に「○○大仏」と呼ばれている大仏様は数多くいらっしゃいますが、日本で唯一の個人の名前が付いた大仏様です。
佐吉大仏

大仏様がまつられる佐吉堂は地元の人々の憩いの場。現在も佐吉翁のご子孫によって大切に守られています

羽島が生んだ聖人・永田佐吉

佐吉翁の像

佐吉翁の像

永田佐吉と聞いても現在では御存知でない方も多いかと思いますが、江戸時代にこの地で活躍した商人で、神仏を敬い、親孝行に励み、実直で清実な人柄によって一代にて富を築き、その私財を投げ打って数々の慈善活動を行いました。

戦前は尋常小学校の教科書にその事績が取り上げられ、岐阜県の名所旧跡を詠んだ『岐阜県地理唱歌』にも詠まれた、「仏の佐吉」「美濃聖人」と称えられた人物で、昭和天皇も全国御巡幸の際にその徳を慕ってお立ち寄りになりました。詩人・野口雨情や歌人・柳原白蓮も佐吉翁を称えた作品を残しています。

あえて名前を記さず

佐吉翁の架けた石橋の一部

佐吉翁の架けた石橋の一部

佐吉翁の事績をいくつか紹介してみますと、代表的な慈善活動として石橋の架橋や道標の設置があります。私財を投げ打って、人々のために行いました。その建造に際しては、自身がこうして徳を積むことができるも皆さんのおかげであるということで、決して自分の名前を記しませんでした。今もその一部が佐吉大仏の境内に残されています。

また佐吉翁の人柄を偲ばせる様々なエピソードも残されています。佐吉翁が少年時代に奉公していた商家がその後没落してしまったところ、それを知った佐吉翁は主人から若き日に受けた恩を忘れずにお見舞いを続けて生活を助けたそうです。この話は「おんをわすれるな」として尋常小学校の教科書にも取り上げられました。

また山中にて強盗に出会った時は、佐吉翁は身に付けていたものを全て与えて、これで足りなければいつでも店まで取りにくるがいいと諭し、強盗も心を打たれて改心したといいます。
佐吉翁の双六

佐吉翁の業績やエピソードをまとめた『佛佐吉双六』。希望者はお寺にていただくことができます