韓国には、
たくさんの泊まれるお寺があります

骨窟寺の磨崖仏は、韓国でも最大級
このごろわたしは、日本仏教の故郷のひとつである韓国のお寺を訪ね歩いています。韓国のお寺の優れた点は、テンプルスティというシステムがかなり浸透しており、多くのお寺に宿泊できることです。10月の後半に、その中の一つである、骨窟寺(コルグクサ)に泊まって、韓国の仏教文化を体験してきました。骨窟、という名前から、骸骨がたくさんある恐ろしげなお寺を想像していましたが、行ってみると、山の斜面を利用して美しい建物が点在する、とても雰囲気がよいお寺でした。

場所は、韓国南部の古都、慶州から、少し海側に向かったところです。山を登りきったところに、4mもの立派な磨崖仏がありますが、ここに登る道はかなり急で、高所恐怖症のわたしは、どうにも登りきることができませんでした。下からの写真でよくわからないのですが、お許しください。

お寺独特の武道を習えます

山の斜面に沿って、美しい建物が点在する
ご住職のお話では、こちらのお寺は、テンプルスティのシステムが充実した韓国の中でも、もっとも宿泊者数が多いということです。なんでも、日本の代表的宿坊密集地である高野山の中で、一番宿泊者数が多いお寺よりも、さらに多くの人が泊まっているらしい。その理由のひとつは、こちらが、禅武道という独特の武道の道場になっており、その修行のために長期滞在する人が多いからです。

禅武道は、韓国人だけでなく、ヨーロッパなど、海外の人にもよく知られており、長期滞在の外国人の姿もよく見かけます。禅武道は、僧侶たちの護国武術であったものですが、現在は闘いのためではなく、精神修養のためのもの。お寺でする修行としては坐禅が有名ですが、禅武道は、体を動かす坐禅のようなものと思えばよいのかも知れません。

禅武道は、新羅、百済、高句麗の三つの国があった三国時代に、朝鮮半島に伝わりました。新羅の統治を受けている地域の僧侶たちの護身術として取り入れられました。お坊さんたちは、その後の高麗時代や朝鮮王朝時代にも、禅武道の修練を行っていましたが、今世紀後半になって、消滅の危機に瀕しました。しかし、このお寺の僧侶たちが中心となって普及活動を行ってきた結果、 再び広まるようになりました。最近では、女性の修練生が多いのが特徴ということです。

●骨窟寺と禅武道については、こちらもごらんください。

お寺に泊まるのは
風に当たりたいから

一番上のお堂からの眺めが最高
しかし、このお寺に泊まるのは、禅武道を習う人ばかりではありません。韓国の言葉で言う「風に当たりに来る人も多いんですよ」と、ご住職はおっしゃいます。風に当たるとは、日本語に言い換えれば「癒しを求めて」ということでしょうか。日本でも、お寺の宿坊に泊まるのは、日常を少し離れて心を癒したいと願う人が多いです。国が違っても、人の考えることは、あまり違いがないものですね。

次のページは骨窟寺の1泊2日で体験したことの数々です。