水の都ブルージュで中世にタイムスリップ
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一周30分前後の運河クルーズ。3~11月は毎日、12~2月は週末に運航されている |
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鐘楼から眺めたブルージュの町並み。旧市街は世界遺産にも登録されている |
首都ブリュッセルから列車で約1時間。ヨーロッパ有数の古都であるブルージュは、まるで中世の時代で時計を止めてしまったかのような町です。水の都の名にふさわしく、町には運河が張り巡らされ、実に50以上の橋が架けられています。
町の中心にあるマルクト広場は、一説にはヨーロッパのベスト5に入るといわれる美しさ。広場に面して建つ高さ83メートルの鐘楼からは、15分おきにカリヨン(47個のカネで組まれた組み鐘)の音色が響きます。余力があれば、ぜひ366段の階段をのぼって塔の上へ。赤茶色の屋根が連なるブルージュの美しい町並みは一見の価値ありです。
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町を静かに見守る鐘楼 |
基本的に歩いて周れるこぢんまりした町ですが、レンタサイクルを利用して町はずれの水車を見に行ったり、運河クルーズに参加したりと楽しみ方はいろいろ。珍しいところではチョコレート博物館なる場所もあります。2,500年にも及ぶチョコレート大国ベルギーの歴史をのぞけるので、チョコレート好きにはたまらないはず。ほかには伝統工芸であるレース製品を売る店も多く、テーブルクロスからハンカチ、扇子までさまざまなアイテムがそろいます。
町全体がメルヘンの世界、アントワープ
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16世紀に建てられた市庁舎。『フランダースの犬』のなかでは、ネロが応募した絵のコンクールが開催された場所でもある |
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まさにお城な佇まいの国立海洋博物館 |
ブリュッセルから北へ45km、ブルージュから列車でおよそ1時間の地にあるアントワープは乙女心をくすぐる町。ルネサンス建築の市庁舎や元要塞の国立海洋博物館など、おとぎ話の中から飛び出してきたような建物が町のそこかしこにあり、なんともかわいらしいムードに包まれています。
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後方に見えるのがノートルダム大寺院 |
アントワープは、名作『フランダースの犬』の舞台としても有名です。ノートルダム大寺院では、物語の少年ネロも魅了されたルーベンスの「十字架昇架」と「十字架降架」、さらに「聖母被昇天」の3枚の傑作を見ることができ、町には作者ルーベンスの家も。こだわりの調度品や自画像など貴重な品々が飾られています。
アントワープは15世紀後半から毛織物などの交易で栄え、現在ではとくにダイヤモンドの取引が盛んなことで知られています。なんでも世界の約7割のダイヤモンドがこの町で取引されているのだとか。ダイヤモンドの歴史などを紹介する「ダイヤモンド州立博物館」には、ダイヤモンドで装飾を施した自転車などユニークな展示品もあるので、興味のある人はのぞいてみては。
ひとくちでヨーロッパの田舎といっても、その趣は様々。でもそこに流れるやさしく穏やかな空気は共通しています。スローな田舎でリフレッシュが完了したころには、ヨーロッパの新たな魅力に気づいていることでしょう。