地方によって味付けがまったく違う中国
広い国土を持つ中国は、地域ごとに多彩な食文化が育まれてきた |
中国には地域ごとの味の違いを表す言葉として、「南淡北鹹、東酸西辣」(ナンタン・ペイシェン、トンスアン・シーラー)があります。これは読んで字のごとく、「南はあっさり味で、北は塩気が強く、東はすっぱく、西は辛い」という意味。今回紹介する四川料理はこのうち「西辣」にあたります。また「食在広州、味在四川」(食は広州にあり、味は四川にあり)という言葉もあるように、四川の味付けのレベルの高さは中国人も認めるところです。
7つの味が織りなす四川料理
四川料理の味の決め手、四川唐辛子(朝天椒/左)と花椒(中国山椒/右) |
四川料理は7つの味で決まるといわれています。とくに有名なのは「麻」(マー)と「辣」(ラー)。味付けに欠かせない食材の筆頭は唐辛子で、四川唐辛子と呼ばれる辛みの強いものがよく使われ、この辛さを「辣」と呼びます。また「麻」とは、花椒(ホワジャオ)と呼ばれる中国山椒の舌がピリピリしびれる刺激のこと。どちらもかなり強烈ではあるのですが、慣れるとクセになる濃厚な刺激です。ほかにも「酢」(すっぱい)、「苦」(苦い)、「香」(香ばしい)、「鹹」(塩辛い)、「甜」(甘い)など7つの味覚が見事に絡み合い、複雑な味わいを生み出しています。
次のページでは、まずはこれからトライ! 四川料理の代表選手。