欧米に料理をシェアする習慣は浸透せず

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アルゼンチンや周辺諸国で飲まれている「マテ茶」用のカップ。デザインはいろいろある
海外旅行おいて、グルメは大きな楽しみのひとつ。とはいえ、胃袋はひとつだけ。一回の旅行で味わえる料理の数には限りがある。しかも一人旅となればなおさら? ——いや、実はそうとも限らない。

そもそも欧米では、料理をシェアする習慣があまりない。もちろん皆無ではないし、店や地域によっても違う。なかにはスペインのパエリアのように、数人で食べることを前提に出される料理もある。でも基本的に、特にメイン料理は一人一皿。しかも量が多いから、一人あたりの品数はそれほど多くない。

最近では欧米でも日本スタイルの居酒屋が人気を集めているが、シェアする習慣がないために、それぞれが自分でオーダーした料理だけを食べるという人もいる。なんだかもったいない気がするのは筆者が日本人ゆえ?

一方アジアでは、日本のように一皿をみんなで取り分ける光景も日常茶飯事だ。たとえば韓国なら焼肉や鍋が名物だし、大勢で料理を囲んでワイワイ楽しむ食事といえば中国料理を思い出す。日本と同じ箸を使う国ということもあり、親しみやすさも感じるが、ちょっとしたマナーの違いもある。

実は韓国や中国では、料理を取り分けるのに直箸(じかばし)を使うのだ。日本でたまに見かける返し箸(上下を逆さにして使う)はマナー違反。直箸はなんとなく嫌だと感じる人もいれば、ラクでよいと思う人もいるだろう。ちなみに韓国の場合、取り箸のみならず取り皿もないことが多い。

マテ茶は家族、友人と回し飲みが基本

日本で生活していれば、取り箸の有無は別として、料理をシェアすること自体に抵抗を感じる人はそれほど多くないだろう。では飲み物は? 沖縄の宮古島には一つのグラスで酒を回し飲む「オトーリ」という風習があるが、世界には日常生活のなかで頻繁に回し飲みが行われている国もある。アルゼンチンだ。

地球の裏側にあるこの国で、もっとも普及している飲み物は「マテ茶」。イレクス・パラグアリエンシスというモチノキ科の葉からつくるお茶で、日本茶をかなり渋くしたような味。独特のマテ壺とボンビージャと呼ばれるフィルター付きのストローを使って飲む。

アルゼンチンの人たちは、みなマイ・マテ壷を持っていて、家でも職場でも愛飲している。一人で飲むこともあるが、出かける時もお湯の入ったポットと一緒に持ち歩き、家族や友人と回し飲んだりする。以前、アルゼンチンで地元のツアーに参加したら、車内でこの回し飲みが始まり、私にもマテ茶が回ってきた。最初は驚いたものの、仲間に加われたようで嬉しかったし、みんなで飲むマテ茶は単純に美味しく感じた。

料理のシェアや回し飲みに対する感覚はその国の文化によっても違うし、個人レベルでも違うだろう。でもときには「郷に入っては郷に従え」を実践すると、新しい発見や美味しさがあるかもしれない。

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