インドのなかにあるチベット、ラダック。チベットよりもチベットらしいと言われるほど、チベット文化を色濃く残すインドの秘境です。自然がつくりだす景観の美しさに圧倒され、そこに住む素朴な人々に癒される——そんなラダックを旅してきました。

【Index】

ラダックって、どんなところ?

ラダック
こんな壮大な景色がそこかしこに広がるラダック(ティンモスガン)

ヒマラヤ超え
眼下に広がるヒマラヤを越えて、ラダックの中心の町・レーへ飛ぶ
「インドのなかのチベット」と呼ばれる、ラダック。思わず「ここはインド?」と聞きたくなるほど、一般的にイメージされるインドとは違う光景が広がっています。ここには灼熱の太陽や混沌とした街並みはありません。

ジャンムー・カシミール州に属するラダック地方へはデリーから飛行機で北へ1時間ほど。ヒマラヤ山脈やカラコルム山脈に挟まれた山奥にあります。標高が3,000m以上もある厳しい風土のこの地には、チベット仏教を厚く信仰する素朴な人々がおだやかに暮らしています。

ティンモスガン
山と山の間に村が広がっている
周辺には小さな村が点在し、たいていの村にはゴンパと呼ばれるチベット仏教の僧院があります。ゴンパにある美しい曼陀羅の壁画はこの地方の見所のひとつ。また、敬虔な僧の姿には、思わず背筋がシャンとのびる思いがします。そして荒涼とした大地と美しい山々の雄大な景色は、ため息モノ。

ラダックはまだ日本人にはあまり知られていない場所ですが、欧米人には人気があり、年輩の方も多く訪れています。5月~10月のシーズン中は、レーへのフライト予約が取りにくくなるほど。今回の旅の途中で、1年近く北インドを周っているというフランス人男性に会いましたが、「いろいろな場所に行ったけれど、ラダックが一番のお気に入り」と話していました。


はにかんだ笑顔の奥に光る優しさ

ラマユルの僧
ラマユルの僧。カメラを向ければ照れながらも笑顔を返してくれる
ラダックに着いて、まず目に入るのが人々の優しげな表情。ふと目が合えば、ニコッと笑顔を返してくれます。

ラダックで主に使われているのはラダック語。ヒンドゥー語で「こんにちは」といえば、「ナマステ」ですが、ここではラダック語の「ジュレー」が定番。小さな村では、道ですれ違う人たちのほとんどが、ちょっと「ジュレー」と声をかけてきてくれます。ちなみに「ジュレー」は、「おはよう」、「ありがとう」、「さようなら」など挨拶全般に使える便利な言葉です。

少しはにかんだ笑顔が印象的なラダックの人たち。ラダックは標高が高く、歩いていると、すぐに息があがってしまいます。高山病になることもあるのでムリは禁物。でもホテルのスタッフが「空気が薄いからゆっくり歩くんだよ」と一声かけてくれたり、歩き疲れて道端で足を止めていると地元の人が「水分をたくさんとらなきゃだめだよ」とアドバイスしてくれたり……。何気ない一言のなかに彼らの優しさを感じる瞬間がたくさんありました。

次のページからは、インドの秘境、ラダックを案内します。