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国宝五城の一つ、世界遺産候補の「彦根城」には何がある? 歴史や見どころを紹介!

日本最大の湖、琵琶湖の畔にある彦根城は、国内で5つしかない国宝に指定された城の一つです。日本国内の世界遺産暫定リストに掲載済みで、映画や時代劇のロケにも多数使われている彦根城についてご紹介します。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

日本最大の湖である琵琶湖の周辺は、京都や北陸、東国への交通の要衝であり、歴史の節目となる合戦が何度も行われた天下取りに取って大変重要な場所でした。

その中で琵琶湖の東岸に位置する彦根(ひこね)は、関ヶ原の戦いで徳川家康率いる東軍が勝利した後に、井伊氏が藩主となって彦根城を造営、彦根藩の城下町として繁栄した街です。

今回は、日本国内の世界遺産暫定リストに掲載済みで、映画や時代劇のロケにも頻繁に使われている彦根城をご紹介します。
彦根城/天守(1)

江戸時代からの天守が今も残る彦根城(2024年1月撮影)

<目次>

国内に5つしかない国宝の城の一つ、彦根城

彦根城/天守(2)

国宝に指定されている貴重な城の一つ、彦根城の天守(2024年1月撮影)

江戸時代に出された一国一城令や明治維新の際に布告された廃城令により、それまでに築かれた多くの城が廃城となり、取り壊されました。

取り壊されずに残った城は全部で12(注1)。そのうち5つが国宝に指定(注2)されており、今回ご紹介する彦根城Googleマップ)も国宝に指定されています。

注1 …… 弘前城(青森)松本城(長野)、丸岡城(福井)、犬山城(愛知)、彦根城(滋賀)姫路城(兵庫)、備中松山城(岡山)、松江城(島根)、丸亀城(香川)、松山城(愛媛)、宇和島城(愛媛)、高知城(高知)
注2 …… 松本城、犬山城、彦根城、姫路城、松江城
佐和山城跡

佐和山城跡。東海道新幹線下り列車が米原を出発後すぐ、右側に看板が見えます(2023年11月撮影)

彦根城が造られたのは、関ヶ原の戦いの後。もともと彦根には、鎌倉時代に造られた佐和山城という山城がありました。交通の要衝にあることから、歴代の戦国武将も佐和山城を重要視し、織田信長は丹羽長秀を、そして豊臣秀吉は石田三成を配して彦根を治めています。

豊臣秀吉が没し、関ヶ原の戦いで石田三成が指揮を取る西軍が徳川家康率いる東軍に破れた後、佐和山城も落城。その後、彦根には関ヶ原の戦いなどで功績を挙げた徳川四天王の一人、井伊直政が着任し、佐和山城に代わる新しい城を造ることを決めます。
彦根城/天守(3)

彦根城の天守。彦根城と同じく琵琶湖の畔にあった大津城の天守を移築して造られたとのこと(2024年1月撮影)

1602年に志半ばで直政が没した後、直政の子である直継と直孝が城の造営を行い、1607年に完成したのが彦根城の天守でした。

彦根城と同じく琵琶湖の畔にあって関ヶ原の戦いの前哨戦で東軍側に付き、落城した大津城の天守を移築して造られたとの伝承があります。不思議なご縁ですね。
廊下橋と天秤櫓

天守へ上がる途中にある廊下橋と天秤櫓(2024年1月撮影)

また大手門から天守へ向かう途中にある天秤櫓も、同じく琵琶湖の畔にあった長浜城から移築したとの伝承があります。

鐘の丸から天秤櫓にかかる廊下橋は、城が攻められた時に橋を落とすことで敵方を城内へ容易に入れないようにするため、このような構造になっています。
 

とても広い彦根城の城内、天守を目指してゆっくりと上ります

中堀にかかる京橋

中堀にかかる京橋を渡り、彦根城の城内へ(2024年1月撮影)

中堀、内堀が今も残っている彦根城の城内は、大変広いです。歩きやすい靴で行きましょう。
内堀にかかる大手門橋

内堀にかかる大手門橋(2024年1月撮影)

彦根城の城内に入るには、まず中堀にかかる橋を渡ります。その後、内堀にかかる大手門橋、表門橋、黒門橋のいずれかを渡って天守へ近づきます。
大手門から天秤櫓へ向かう坂道

大手門から天秤櫓へ向かう坂道。勾配のきつい上り坂なので、ゆっくり上りましょう(2024年1月撮影)

大手門から天秤櫓までは、道幅は広いけど勾配のきつい上り坂。表門からも長い石段を登ることで天秤櫓に着きます。
太鼓門櫓

天秤櫓から石段を上り、太鼓門櫓へ到着。左手に天守が見えました(2024年1月撮影)

鐘の丸から廊下橋を渡って天秤櫓を通ると太鼓門櫓までは登りの石段です。どちらも重要文化財に指定されている天秤櫓と太鼓門櫓は内部を見学することができます。
彦根城/天守(4)

太鼓門櫓をくぐり、本丸に入ると国宝に指定された三層の天守が目の前に現れます(2024年1月撮影)

太鼓門櫓をくぐり抜けると本丸。三層の天守が出迎えてくれます。広い城内の割にはこぢんまりした天守ですね。内堀を渡ってから本丸までは上りが続くということもあり、20分ほどかかりました。
 

国宝の天守に登り、周囲の美しい風景を楽しむ

彦根城/天守(5)

彦根城天守の入口。天守の内部は靴を脱いで見学することができます(2024年1月撮影)

彦根城の天守は内部も公開されており、入口で靴を脱いで見学ルートに従い天守に登ることができます。
※2024年から2025年3月まで天守の耐震対策工事が行われるため、期間限定で天守内部のみ見学不可となることがあります。彦根城の公式Webサイトで見学不可時期を案内しています。
彦根城/天守内部

彦根城天守内の階段。急傾斜のため気をつけて上り下りしましょう(2024年1月撮影)

しかし再建された多くの城とは異なり、彦根城天守は築城当時の構造そのままなのでエレベーター等は全くありません。下の階と上の階をつなぐ階段も傾斜角が70度近くあるとても急な階段です。足下に注意して上り下りしましょう。
彦根城天守からの眺め(1)

彦根城天守最上階からの眺め。琵琶湖と対岸の比良山地が望めます(2024年1月撮影)

急な階段を上り詰めると天守の最上階。天守自体が彦根山の上にありますし、周囲にも高い建物がないので、琵琶湖や彦根市内が360度にわたってぐるっと眺められます。
彦根城天守からの眺め(2)

彦根城天守最上階からの眺め。下に見えるのは玄宮園。見通しが良ければ遠くに伊吹山も望めます(2024年1月撮影)

お天気に恵まれると滋賀県最高峰(標高1377メートル)の伊吹山や琵琶湖に浮かぶ多景島なども見えることがあります。
彦根城/天守(6)

西の丸から彦根城天守を望む。本丸正面とは異なる雰囲気の天守の姿が望めます(2024年1月撮影)

天守の観覧を終えて本丸に戻ってきたら、天守の左側を通り抜けて西の丸へまわってみてください。天守最上階と同様に琵琶湖が望めますし、本丸正面とは異なる角度から天守の美しい姿を見ることができます。

城の周囲にもたくさんの見どころがあります

いろは松

彦根城中堀沿いの松並木、いろは松。天守が見える場所もあります(2024年1月撮影)

城の周囲にもたくさんの見どころがある彦根城。佐和口に向かう中堀沿いには、いろは松と呼ばれる松並木があり、風情を高めてくれます。
佐和口多聞櫓/彦根市開国記念館

昭和時代に復元された佐和口多聞櫓。現在は彦根市開国記念館として使われています(2024年1月撮影)

佐和口の中堀にかかる橋から見える美しい櫓は、1960年に復元された多聞櫓。現在は彦根市開国記念館として使われており、中に入ることができます。
彦根城屋形船

彦根城の中堀を遊覧する屋形船(2024年1月撮影)

彦根城の中堀には屋形船で巡る遊覧船が運航されています。佐和口近くの乗船場から西の丸近くまで往復するコースで、船の上から彦根城のお濠沿いの風景が楽しめます。
夢京橋キャッスルロード

江戸時代の町屋風のお店が立ち並ぶ夢京橋キャッスルロード(2024年1月撮影)

また京橋側には、江戸時代の町屋風の造りにした店が並ぶ夢京橋キャッスルロードという通りがあります。彦根城を観覧した後で立ち寄って食事などの休憩を取るにはちょうどいい場所ですね。


国宝五城の一つに数えられる彦根城のご紹介、いかがでしたか? 冒頭にも書いたとおり、世界遺産暫定リストに掲載済みなので、将来は世界が認める名所となる可能性も十分にあります。かわいらしいゆるキャラ「ひこにゃん」も登場し、古き城と見所の多い彦根にぜひお出かけしてみてください。
 

彦根城へのアクセス

地図Googleマップ
観覧可能日時
年中無休 8:30~17:00
※2024年から2025年3月まで天守の耐震対策工事が行われるため、期間限定で天守内部のみ見学不可となることがあります。彦根城のWebサイトで見学不可時期を案内しています。
入城料:
大人 800円(2024年10月から1000円)
小・中学生 200円(2024年10月から300円)
小学生未満 無料
※彦根城の入場券で玄宮園にも入園できます。

アクセス:
彦根駅

彦根城への最寄り駅、彦根駅。西口には井伊直政公の銅像がある(2024年1月撮影)

<鉄道>
東海道新幹線「ひかり」「こだま」で米原下車、JR西日本 東海道線に乗り換えて彦根駅下車。
※米原に「のぞみ」は止まりません。名古屋で「ひかり」「こだま」に乗り替えとなります。
彦根駅西口から徒歩約15分
また彦根市内の観光スポットを周回する「彦根ご城下巡回バス」(観光シーズンのみ不定期で運行)も利用可能。彦根城バス停下車

<車>
名神 彦根インターチェンジから国道306号線経由で彦根市内へ。
彦根城への案内に従う。
京橋口、大手前、二の丸、桜場の各所に有料駐車場があります。

【関連記事】
《国宝五城》 《現存天守》
「関西の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで関西地方の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「日本の世界遺産」に、「名所・旧跡」ガイドで日本国内の世界遺産を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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