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ナトリウムは味方?悪者?

「塩分の摂りすぎは高血圧の原因の一つ」なんて、悪者扱いされることもあるナトリウム。でも、私達が生きていくのに欠かせない成分なのです。ナトリウムの大切な働きとは?どうして悪者扱いされるの?を解説します。

小浦 ゆきえ

執筆者:小浦 ゆきえ

ダイエット食品・サプリガイド

ナトリウムの働き

ナトリウム
 
ナトリウムという名前では身近に感じにくいかもしれませんが、実は料理に欠かせない調味料として毎日口にしているのです。それは、塩(塩化ナトリウム)。

ナトリウムは、体の中で主に陽イオンとして働いているので、ミネラルの中でも電解質に分類されます。成人の体内にあるナトリウムの量は約60g。その大半が細胞周囲の体液(細胞外液)に存在し、残りは骨や細胞内液に存在しています。ナトリウムは細胞内外の体液バランスを維持したり、酸性アルカリ性のバランスをとる、神経の情報伝達など、私たちが生きていくために欠かせない重要な働きをしているのです。

それほど生きていくのに欠かせない成分なので、「ナトリウム」の存在が認識されるずっと前から、塩は生きていくために欠かせないものとして知られていました。物流網が発達していなかった昔から、生きていくために塩を運ぶ過酷な塩の道が存在していたことからもわかります。

こんなに重要な成分なのに、最近は要注意成分になってしまっているのはどうしてでしょう?問題はナトリウムの過剰だったのです。

ナトリウム不足・過剰の症状

食事で摂ったナトリウムは、小腸で吸収されます。もし、ナトリウムが多すぎた場合、尿と一緒に体の外へ排出されます。腎臓が尿の量を調整して体内のナトリウムが増えすぎるたり、減りすぎたりすることを防いでいます。このとき、カリウムも一緒に排泄されるので、カリウムはナトリウム排泄に欠かせないミネラルと言われているのです。

■ 不足
日本で通常の食事を摂っていて、腎臓が正常に機能していれば、ナトリウム不足の心配はほとんどありません。ただ、腎臓の機能異常で過剰に排泄したり、下痢が続くことによって不足することもあります。

体内でナトリウムが不足すると、細胞内外の体液のバランスが崩れ、血液の水分量が減ってしまいます。血液量が減ることで、血圧下降によるふらつきやショック状態がおこります。この他にも、低ナトリウム血症の症状として眠気・錯乱。ひどくなるとけいれんや発作が生じ、昏睡状態に陥ってしまうこともあります。
何が原因かを特定し、適切な処置をするために、病院での診察処置が必要です。

■ 過剰
ナトリウムの過剰による症状には、2つのタイプがあります。1つ目は、急激に血液中のナトリウム濃度が上がり、すぐに明らかな症状が現れる場合。2つ目は、ナトリウムが少し多めの状態が積み重なることでゆっくり症状が現れるタイプです。

1つ目の症状の原因は、主に脱水症(一時的で激しい下痢・嘔吐、大量の汗、水分摂取不足、腎臓の機能異常、利尿剤の使用)で,急激に血中のナトリウム濃度が上がってしまうことが原因です。
高ナトリウム血症の初期症状は、のどの渇きを感じることです。症状がひどくなると、低ナトリウム血症と同様に錯乱・けいれんや発作が生じ、昏睡状態に陥ってしまうこともあります。これは、ナトリウム濃度が高すぎても低すぎても脳の働きや神経伝達が狂ってしまうということです。

2つ目は、普段の食事で塩分を摂りすぎることで、ゆっくりと起こります。慢性的に塩分過剰の状態が続くと、高血圧・胃がん・鼻咽喉がんなどのリスクが高くなるという調査結果が出ています。日本人が昔から食べている和食は、ナトリウムを多く含む食塩・醤油・味噌などを使っているます。年をとるにつれ濃い味付けを好むようになると、ナトリウムを過剰摂取してしまうことになるので、塩分の摂り過ぎを注意する指導が始まったのです。
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