スペシャルオリンピックスとの出会い


長坂:スペシャルオリンピックスにはどのようなきっかけで関わるようになられたのですか?

美しい生きる姿勢
細川さん:14年前、1991年の夏でした。熊本の新聞でダウン症の女の子がスペシャルオリンピックスの世界大会で銀メダルを取ったという記事を読みました。自分のボランティアグループの講演会で1名予定していた人が来られなくなってしまったので、そのダウン症の女の子のコーチに講演にきてもらうことにしました。

その講演で、コーチはある神父さんの下記のような言葉を紹介しました。


どんなに医学が進歩しても人口の2%前後は知的障害のある子供が産まれてくる。それはなぜかというと、その子の周りにいる人たちに優しさや思いやりを教えるために、神様が私たちに与えてくださった贈り物なんです。

この子たちはいろいろな可能性を持って産まれてきたけれど、自分だけの力でそれを伝えたり発表したりすることが不自由なだけなのです。

周りにいる人たちがその違いを理解し、サポートしてあげれば、本来の能力を発揮して、社会の役に立つ人間に成長するのです。

この講演を聴き、それまでいかに自分が健常者として傲慢だったかを知りました。障害のある子供に対して「かわいそう」というような同情の気持ちしかなく、上記の牧師さんのような視点でものを見ることができなかったのです。その時、いかに自分が世の中を凝り固まった視点でしか見ていないかを思い知り、衝撃をうけました。

また同時に、ないものばかりに不満を言って、あるものには感謝をしない。正に自分がそういう人間であることにも気がつきました。正に、人生観が一変したというかんじです。

そして、こういう気付きを与えてもらったことへの感謝と「もっと神父さんの言葉が分かる人間になりたい!」という気持ちからスペシャルオリンピックスに本格的に関わるようになり、現在に至るというわけです。


全ての人間は1人では生きていけない

長坂:それから14年ずっとスペシャルオリンピックスに関わってきて、ご自身に何か変化はありましたか? 

美しい生きる姿勢
細川さん:まず心が深まり、人生がより素敵で充実したものになりました。あらゆるものに対して感謝の気持ちが芽生えたことも大きな変化の一つです。

そして、「生きる」ということがどういうことなのか分かりました。

14年間知的障害のある子供達と接してきてつくづく思うことが、以下の点です。

・健常者も障害のある人も、全ての人間は1人だけでは生きていけない。
・本当に自分が幸せになるためには、他人を幸せにして、それを喜べる人間になることが必要。

「人間」という言葉は、「人」と「間」と書きますが、正に文字通り、人間は「人」の「間」で生きていく動物なのだと思います。14年経った今は、上記の神父さんの言葉に心から共感できるようになりました。

長坂:本当に素晴らしい「気づき」をいくつもなさったのですね。知的障害のある人たちは、正に神父様がおっしゃったとおり「神様が与えてくださった贈り物」という表現どおりなのだと思いました。 


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