第2位:社会問題に笑いでつっこみを入れる『メルシィ!人生』
『メルシィ!人生』 |
ということで、スト-リーはタイトルが暗示するように、家族にも捨てられ、リストラの憂き目にあいそうなさえない男が、自らのクビを白紙に戻すために「自分はゲイだ」と偽のカミングアウトをする話。主人公の勤務先は、なんとpréservatif(プレゼルヴァティフ/コンドーム)の会社ですから、ゲイの顧客も多く、カミングアウトした社員を簡単に解雇するわけにもいかない……。
監督は、今やフレンチ・コメディのカリスマと化したFrancis Veber(フランシス・ヴェベール)。大ヒット映画『La Cage aux Folles』(邦題:『Mr.レディ Mr.マダム』)の脚本を手掛けている彼だけに、こういうテーマはお手のものです。
リストラ・家庭崩壊・同性愛という現代社会の深刻な問題を、ほんわかとした笑いと共に提起してくれるヒューマンコメディ。主演はDaniel Auteuil(ダニエル・オートゥイユ)、脇を固めるのはその演技力が故にcaméléon(カメレオン)の異名をもつ Gérard Depardieu(ジェラ-ル・ドゥパルドュ)。この2人が演じる関係の中にもまた、男同士の「恋心」的要素をかいまみることができます。
また、先ほどの『シリアル・ラバー』で主役を演じたMichèle Laroqueもとっても魅力的な美人上司として登場。笑いに政治や社会問題がからむというのがフレンチ・コメディーの一つの特徴ですが、おそらくこのBest 5中では、一番見る人の好き嫌いが絡まない作品でしょう。フランス映画はちょっと……とおっしゃる方にもおススメの作品です。
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