フランス語で母の日にメッセージを送ろう
<目次>
フランスの母の日ってどんな感じ?
フランスのla fête des mèresは、普通 le dernier dimanche du mois de mai(ル デルニエ ディマンシュ デュ ムワ ドゥ メ/5月の最終日曜日)に行われます。ただし、フランスには復活祭後7度目の日曜日に、Pentecôte(パントゥコット/ペンタコステ)というカトリックのお祝いがありますので、その日曜日と重なる場合には、le premier dimanche de juin(ル プルミエ ディマンシュ ドゥ ジュアン/6月の第1日曜日)に延期されます。プレゼントはカーネーションという決まりはありませんが、日頃お世話になっているママに感謝の気持ちを表すという点では、日本と何の変わりもないフランスの母の日。「パリで暮らす」ガイドによる記事『フランスの母の日』に、プレゼントの例がのっていますので、のぞいてみてくださいね。
「母」それとも「海」? フランス語の「母」と同じ発音をもつ単語
「郷愁」が収録されている三好達治の『測量船』 |
生命の誕生の源という、「母」と「海」がもつ共通点を、単なるイメージだけでなく、フランス語と日本語という2言語の共通性にかけて、詩にしてしまうというのは本当にスゴイですね。フランス人にも是非伝えてほしい一節です。
ところで、mèreのhomonyme(オモニム/同音異義語)には、この有名な「海」という単語の他にも市長・区長など、行政区の長をあらわすmaireという単語もあります。あわせて覚えておくといいですね。
mèreがくっつく様々な言葉:基本編
「おばあちゃん」という言い方もいろいろ。
まずは、grand-mère(グランメール)。「祖母」を意味するこの単語は英語と同じつくりですので覚えやすいですよね。grandとmèreの間のtrait d'union(トレデュニオン)はお忘れなく。また、形容詞の男性形と女性形で形が変わるということを学習済みの方がよくするミスは、「年長の、大きい、偉大な」などの意味をもつ形容詞grand(グラン)を女性形のgrande(グランド)としてしまうこと。mèreの前のgrandは男性形のままですので注意しましょう。
会話表現では、主に小さい子が使う「おばあちゃん」を意味するmamie(マミ)、mémé(メメ)、いわゆる高齢の女性をさしていう bonne-mère (ボヌ メール)、「おばあちゃん」という呼びかけと共に、中年の女性をさして「おばさん」というときにも使えるmémère(メメール)などという表現があります。
grand-mèreに次いで有名なのはおそらくbelle-mère(ベルメール)という言葉でしょう。「美しい」という意味をもつ形容詞belle(ベル)があまりにも有名なために、そのまま「美人のお母さん」だと思ったフランス語学習者は、かつての私だけではないと思います。belle-mèreとは、「義理の母」という意味。「義理の父」は、きちんとbelleの男性形beau(ボ)を使って、beau-père(ボ ペール)と言います。
現代の母を語るには? 時代をいろどる様々な「mère」たち
それでは、次にニュースなどでも目にする表現を、少し。mère célibataire(メール セリバテール)のcélibataireは、「独身の」という意味の形容詞ですので、「未婚の母」という意味になります。さらに、「持ち運びの」という意味の形容詞porteur(ポルトゥール)の女性形であるporteuse(ポルトゥ-ズ)をつけて、mère porteuseとすると「代理母」の意味に。
また、日常会話でよく使われる表現に、mère poule(メール プール)という言い回しもあります。pouleとは「めんどり」の意味ですが、さてどんなお母さんのことをいうでしょうか?
正解は、「過保護の母親」という意味。なるほど! という気がしますね。ちなみに、papa poule(パパ プール/マイホームパパ)という表現もありますよ。
ところで、小さい子がよく使う「ママ」という感じの表現は、フランス語では、maman(ママン)です。大人になってからもよく使います。これまででてきた表現は、mèreの部分をmamanと置き換えて使うことも多いので、覚えておいてくださいね。
世界で一番有名な「母」って誰?
それでは、フランス、いや世界中で最も有名なお母さんの一人から紹介いたしましょう。まずは、La Mere de Dieu(ラ メール ドゥ デュ)。Dieuは神のことですので、直訳すれば「神の母」。そう、Sainte Marie (サントゥ マリ/聖母マリア)のことです。一方、「男の子が無意識のうちに、母親に愛着を持ち、同性である父親に敵意を抱く」というcomplexe d'Œdipe(コンプレックス デディプ/エディプスコンプレックス)で有名な、ギリシャ神話の登場人物Œdipe(エディプ/エディプス)の妻であり、母でもあった、Jocaste(ジョカストゥ/イオカステ)。彼女も神話の世界では最も有名な「母」の一人でしょう。
息子に最も愛された母!?
Madame MèreことLetizia Bonaparteの肖像 |
ナポレオンをして、「C’est à ma mère que je dois ma fortune et tout ce que j’ai fait de bien.」(我が運命と我がなし得たすべてのことは母のおかげである。)と言わしめたMadame Mère。フランスで最初にfête des mèresを祝おうという着想をもったのも彼らしいですから、まさに「母の鏡」といった感じですね。
まだまだいるぞ! 有名な「mère」たち
母を意味するmèreというフランス語は、ただ単に「お母さん」を意味するだけではなく、上級修道女という意味ももっています。日本でも有名な、「マザーテレサ」に「マザー」とくっついていることでおわかりいただけるでしょう。つまり、「マザーテレサ」はフランス語では、Mère Teresa(メール テレザ)となるわけです。さらに、観光客にも人気のmèreを一人ご紹介いたしましょう。Mère Poulard (メール プラー)こと、Annette Poulard(アネット・プラー)さん。フランスの観光地として有名な、Mont Saint-Michel(モン サン ミッシェル)の名物ふわふわオムレツの考案者として有名な女性です。mèreという単語は、「~おばちゃん」の意味ももっていますので、Mère Poulard は、日本では「プラーおばさん」という訳で、一種のブランドになっています。「プラーおばさん」のビスケットは、お土産としても大人気。
フランスでも、日本でも「母」のイメージはやはり共通
お国は変われど「ママ」のイメージは共通。
Telle mère, telle fille.(この母にしてこの娘あり。)日本語の、「この親にして、この子あり。」という批判的なニュアンスとしての使われ方と同じです。同じ意味をもつ表現としては、Tel père tel fils.(この父にして、この息子あり。)や、Tel maître, tel chien.(この飼い主にして、この犬あり。)などというのがあります。おもしろいですね。
tel(テル)というのは、「そのような」という意味をもつ形容詞で、mèreやfille(フィーユ/娘)などの女性名詞にくっつくときは、女性形のtelle(テル)に変化します。ちなみに、père(ペール/父)、fils(フィス/息子)、maître(メートル/主人)、chien(シアン/犬)は男性名詞ですので、telのままとなります。
まあ、当然といえば、当然ですが、「母」に関するイメージは、フランスでも日本でも共通点がとっても多い!辞書に、maison mère (メゾン メール/本店)など、mèreを使ったいろいろな言い回しがのっていますので、調べてみるとおもしろい発見がありますよ。
それでは、 Bonne fête, maman!(ボヌ フェット ママン!/母の日、オメデトウ! )
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