バリエーション
よくあるのが、アサリなどの貝類を入れ、トマトも生のトマトを使うというものです。あとポロネギの代わりにタマネギのみじん切りを使ったりもします。これはこれでとてもおいしく、「豊穣な味」になりますが、悪く言えばちょっと甘ったるくてキレの足りない味です。魚が新鮮で質の良いときは、私のレシピの方が、キリリと締まった「かっこいい」味になると思います。ただし、魚の質が悪いときは、アサリのダシや生トマトの甘みで味を複雑にした方がおいしいでしょう。さらに白ワインを加えるとかなりごまかせます。
逆に魚が飛び切り新鮮でおいしいとき、なんと魚とオリーブオイルと塩と水だけで作る、ということもあるそう。ストイックですねぇ。もちろん魚だけでなく、オリーブオイルも塩も水も良質なものを使います。
おいしく作るコツ
第一は、鍋の中で油や煮汁を根気よく何度も魚にかけること。第二は、火は中火~強火のままで鍋を揺らしてソースを乳化させること。
そして第三は、魚の扱いです。
その日に獲れて痛みのない新鮮なノドグロを手に入れます。できるだけ早くウロコとはらわたを取り、さらに腹の中の膜を取り除いて、流水の中で血合いを徹底的に落とします。歯ブラシなどを使うときれいに落とせます。
そして水気をふき取り、キッチンペーパーなどをおなかに詰めて、ラップで包み、
驚きました? でもそうすると全体に脂が回って旨みも増し、格段においしくなるんですよ。「放置」と書きましたが、本当は途中で何度かおなかに詰めたキッチンペーパーを取り替えます。
これを使えばおいしさ倍増。アクア・パッツァだけでなく、刺身にしても塩焼きでも最高に美味です。
ただし鮮度の悪い魚をこんなふうに処理してもまずくなるばかりが危険です、くれぐれも飛びきり鮮度のよい魚で試して下さいね。