韓国語のイントネーションのコツとは?
アンニョンハセヨ? 韓国人の友人から、韓国語の先生から「激音や濃音の発音が違う」、「パッチムの発音が良くない」、「イントネーションが釜山方言のよう」、と言われたことはありませんか? しかし、どこをどう直したら良いのか聞いて実践してみても上手くいかず、激音や濃音の練習に至っては、「カ! カ! カ!」と何度真似をしてみても「そうじゃない」と言われてしまう……。「何が違うんだろう、どう直したら良いんだろう……」そんな風に悶々とされている方は多いでしょう。
『韓国語の発音と抑揚トレーニング』(長渡陽一著/発行:(株)HANA、発売:(株)アルク)(クリックするとアマゾンのHPにとびます) |
発音が自然だと、聞く人の耳にも言葉がスムーズに入っていきます。そこで、ちょっとした努力で、グンと発音がよくなる、発音のウラ技を皆さんに練習していただくことにしました。「平音は息を弱く、激音は息を強く、と一生懸命やってみるのに、うまくできる感じがしない……」「パッチムの発音がどうしてもできない……」と悩んでいる人も多いかも知れません。それは発音を練習するツボが間違っていたのです。
「あなたの韓国語はアクセントが強すぎる」とか、「韓国語はもっと平らに」と言われたことはありませんか? 実際には、韓国語も日本語以上に上がり下がりがあります。韓国語と日本語では上がる場所や下がる場所、つまりアクセントの場所が違うために、韓国語らしく聞こえないだけなのです。
発音やイントネーションを良くするためには、私たちの知り得なかったツボを刺激し、これとは違った視点から練習する必要がありそうです。
平音と激音・濃音の違いは、強さではなく「抑揚」!?
いくら練習してもダメ……。いいえ、大丈夫! 隠されたコツがあるのです
「가」の平音、「카」の激音、「까」の濃音、なんで3つもあるの!? と嘆きたくなりますよね。「違う」と言われ続けながら何度「カ! カ! カ!」と練習したことか。単独で発音するならまだしも、文章の中に出てくると、もうお手上げ~なんて方もいらっしゃるのでは?
しかし、もうそんな風に悩む必要はなさそうです。第1章「平音と激音・濃音の違いは抑揚だった!」を見てみましょう。
皆さんは、激音を発音しようとして息を強く出しているのに「その発音は違う」と言われることはありませんか? それは、平音と激音を分ける本当の違いは息の強さではなくて、声の高さだからなのです。息を強く出しても、声が低ければ平音として聞こえるのです。
ええっ、そうだったの!? これには目から鱗が落ちる思いです。じゃあ、「声を高く」ってどうすれば……。ご心配なく、この著書には音声CDがついていて、同じアクセントを持つ日本語の単語をまず発音し、その後同じアクセントで韓国語の単語を発音する、というトレーニングができるようになっています。例えば、「平音は「ひくたか」」という項目では、
単語の最初の文字が平音(ㄱ ㄷ ㅈ ㅂ=ガ・ダ・ジャ・バ)ならば、単語の最初を「ひくたか」の抑揚で発音します。「ひくたか」とは、1文字目は低く、2文字目を高くすることです。다리(タリ/脚・橋)は、다は低く、리を高く発音します。
という解説の後、「ひくたか」になっている(関東の)日本語の単語を、声の高さに気をつけて発音するトレーニングをします。
かみ(紙)
くに(国)
たび(旅)
これらの単語の2文字目が、1文字目より高くなっているのがお分かりでしょうか? その要領で韓国語の単語を発音してみるのです。
고기(コギ/肉)
구두(クドゥ/革靴)
다리(タリ/脚・橋)
へぇ~、韓国語の標準語は、こんなアクセントがあったのですね。学習書では、図が用いられ、これらの2文字目が上に表記されているので、さらにイメージしやすいと思います。
激音・濃音は「たかたか」で決まり!
「たかたか」って、どうするの?
「ひくたか」のコツが分かったところで、次は激音・濃音の「たかたか」を見てみましょう。
単語の最初の文字が激音(ㅋ ㅌ ㅊ ㅍ=カ・タ・チャ・パ)か濃音(ㄲ ㄸ ㅉ ㅃ=ッカ・ッタ・ッチャ・ッパ)ならば、単語の最初を「たかたか」で発音します。(中略)ポイントが2つあります。1つは、2文字目も1文字目の高さを保つことです。日本人は1文字目を高くすると、2文字目を下げたくなるので注意しましょう。
まず次のように練習してみましょう。高い声で1文字目を発音し、同じ高さのまま2文字目以降を発音します
칼이(カリ/ナイフが)
딸기가(ッタルギガ/いちごが)
편의점이(ピョニジョミ/コンビニが)
ううっ、確かに2文字目を低くしたくなる! 私の抑揚はそうなっているのですね……。さておき、こちらも学習書では図が用いられていて、イメージしやすくなっていますし、ネイティブによる音声も付いていますので参考にしてみてください。
「激音」と「濃音」をどう区別したら良いのかについては、「激音は「ささやき」で」、「濃音は小さい「ッ」で」と、練習方法が詳しく学習書に書かれています。詳しいトレーニング法は学習書をご覧いただき、実践してみてください!
次は、気になる「パッチム」。合い言葉は「パッチムをつなげよう」。どういうこと?
パッチムは、「つなげる」ことでラクになる
パッチムは「つなげて」練習すれば良かったんだ!
「韓国語のパッチムが難しい……」多くの学習者の方がおっしゃる台詞です。なぜそう感じてしまうのでしょうか。『韓国語の発音と抑揚トレーニング』の第3章「パッチムをトレーニング1~パッチムをつなげよう」の冒頭で、長渡陽一先生はこんな風に書いています。
韓国語の勉強では、入門のときからパッチムの発音練習をすることが多いようですが、実際の韓国語の文章の中では、パッチムの発音は全体の1割ほどしかありません。一方、文字ではパッチムで書かれていても、책(本)のㄱパッチムが책이(本が)「チェギ」になるように、それを次の母音につなげなければいけないものが1割以上あって、パッチムの発音よりも多いのです。パッチムが難しいと言う日本人は「つなげる」練習が足りていないのかもしれません。
う~ん、確かに。たまに、「本が」の韓国語を「×책가」(チェックガ)と言ってしまう方がいらっしゃいますが、普段から「つなげる」練習をしていれば、発音が明瞭になるだけでなく、そういった文法間違いも防げますね。
この学習書では、実は日本語にもある「パッチムをつなげている」例を出しながら、名詞のパッチムを助詞につなげる練習、動詞・形容詞をつなげる練習など、様々な練習ができるようになっています。是非トライしてみてください!
母音トレーニング。「ㅓ」は「オ」でなくて「ア」!?
パッチムトレーニングの後は、母音のトレーニング。皆さんは、「ㅓ」と「ㅗ」の区別が難しいと思ったことがありませんか? 「ㅓ」は口を大きく開けて「オ」、「ㅗ」は、口を前に突き出してすぼめて「オ」と言われても、うまく発音の区別がつかないし、「違う」と言われてしまう……。しかし、この学習書には、そんな「ㅓ」を正しく発音するコツが書いてあります。ㅓは、元気のない、暗い「ア」です。ㅏは口を開けてはっきりと発音し、これに比べてㅓは口の開き方を若干狭くするのです。口を広く開けた「オ」よりも、暗い「ア」の方がㅓらしく発音できるようです。
元気をなくして……「ア」。なるほど、その方がラクちんです! 学習書では、以下のような練習法が紹介されています。
1.まず、元気よくはっきり「アマニ」と言います。
2.次に、表情も暗く、元気なく、口もはっきりとは動かさずに「アマニ」と言ってみてください。このときに出ている発音が、「어머니」です。
3.鏡で唇を見ながら、明るい「アマニ」、暗い「アマニ」を交互に比べてみて、口の開きが若干狭くなっていれば成功です。
4.「오모니」と言い比べて、唇の形が違うことを確認してください。
いかがでしょう。これなら私にもできそう! と思った方も多いのでは。
その他、この学習書には、抑揚(イントネーション)のトレーニング、発音変化のトレーニングと、発音と抑揚を良くするための様々なトレーニング法が紹介されています。どのトレーニング法も上記の母音「ㅓ」の発音のコツのように実践しやすく、そして分かりやすく書いてあり、著者の韓国語学習者への愛情を感じます。
「どうしたら発音がうまくなるのか」「イントネーションが綺麗になるのか」と悩んでいる方のための画期的な学習書。「そうだったのか!」と思いもすれば、「早く教えてほしかった」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。美しい発音と抑揚を身につけて、目指しましょう! 「発音・抑揚」美人!
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