限度額を引き下げる
海より深く反省… |
「だから、60万円近くもヤラレちゃってるんだよな」
「ダメだなぁ。限度額は自分で連絡して引き下げておかないと。盗難とかスキミングとか色々な被害が起こりえるのだから、20万円くらいにしておけばよかったのに。日常的に何十万円も使うことはないでしょう?」
「限度額を下げるなんて考えたこともなかったよ」
「限度額を上げるのは大変だけど、下げるのは電話一本でできるのに」
「カードを2枚持っていたのはいつものことだし、1枚は使えなかった。というか、限度額を超えていたのかもしれない」
「もしくは利用限度額が少なかったのかも」
「だって、このカードではダメですと言われたら、もう1枚出すしかないよ」
「同じ財布に入れていたんでしょ? ダメだなぁ。財布の中身は他人に見られちゃダメなんだって。もう1枚は定期入れとか名刺入れに入れておけば、これしかないって逃げられたかもしれないよ」
裕二は小さくうなずいていた。
「そもそも、酔ってるときに近づいてくる女にろくな人はいないでしょ。いや、もちろんあなたがいい男だから近寄ってきたといえるかもしれないけど、悪いけど、カモだってことだよ。女はエサというか、文字通りの美人局(つつもたせ)でしょう」
「まあ、そう言われちゃうとねえ」
「英会話が出来ると思ったのもマイナスだったね」
「いや~、教室に通ってからけっこう話せるものだって思うようになって。もう一人で外国に行っても困らないからさ。イケるって思ってね。お、外国人の女だ。英語で話せるぞって」
「あ~あ。なんだか典型的なぼったくり被害だね。その女とカラオケに行くのもいいけど、最初にこれしかないって5千円くらいを見せておけばよかったのに。クレジットカードは持ってないって言って。今さら遅いけど、だったら、『あら、じゃあいいわ。また今度ね』とか言われてそれ以上の被害には遭わなかったはず。だいたい、子どもに『知らない人と話してはいけません』とか言うだろうに、大人の自分が見知らぬ他人とノコノコどこかに行くなんて。そりゃあ、『袖振り合うも多生の縁』とか言うけど」
「そうそう。そう思ってさ。いや、もう、本当にマイッタよ」
※袖振り合うも多生の縁~そでふりあうもたしょうのえん=道で人と袖を触れあうようなちょっとしたことでも、前世からの因縁によるものだ。袖すり合うも多生の縁。「多生」は、仏語で、何度も生まれ変わること。「他生の縁」とも書く。(大辞泉より)
「で、警察には届け出ないわけ? 次の被害者を出さないためにも届け出たほうがいいんだけど」
「うーん。暴力も脅迫もなかったし。もう高い勉強代だったということで」
「まあ、無理にとは言わないけど。実際、男性でぼったくり被害に遭って届け出る人は被害者のうちごくわずかだというしね。これに懲りて、二度とぼったくりに遭わないように」
「もう、しばらくは貧乏生活だよ」
「当然。こんな不景気のいまどき、そんな金額を払えるってだけでも信じられないよ。反省しなさい」
「海より深く反省しま~す」
・実録!Tokyo ぼったくり被害【前編】
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