油断と反省
わたし、油断していたかも… |
(そうだ。帰ったときにすぐ電話がかかってきたから)と、思い出した。油断していた。しかし、日頃から建物がオートロックだということで、郵便物を取りに行ったり、ゴミを出しに行ったりするときなど、鍵をかけることはなかった。これまでにも鍵を盗まれる恐れがあったことを知って、ゾッとした。鍵を盗まれた以上は、たとえ鍵をかけてドアチェーンをかけたとしても、いつ誰がやってくるか知れない。そんな状態で眠ることも出来るわけがない。
警察官から鍵の24時間サービスがあることを教えてもらい、鍵を交換してもらうことにした。錠前そのものでなく、中の「シリンダー」と呼ばれるものだけを交換すればいいと知った。いつまでも警察官たちにいてもらうわけにもいかず、引き取ってもらった。何かあったらすぐに連絡するように言われた。その後、ドアチェーンをかけて室内でじっとしていた。その間にも、鍵を奪った誰かが家にやってくるのではないかと恐怖に脅えていた。
保奈美は、ただちょっと暑かったので、アイスクリームを食べたかったから近所のコンビニに出かけただけだったのに、とんでもないことが一度に起こったことにショックを受けていた。深夜ながら24時間やっているという鍵の業者に来てもらい、シリンダーを交換して新しい鍵を手にして、やっとホッとした。なかなか寝付けずに、保奈美はあれこれと考えをめぐらせていた。なぜ、出かけるときに上着を一枚羽織らなかったのか? なぜ、鍵をかけずに出かけてしまったのか?
考えれば考えるほど、自分の無防備さが身にしみてきた。コンビニでも、保奈美は雑誌を両手で持っていたが、むき出しの腕が胸を強調しているように見えたかもしれないと思った。そんなつもりはないのだが、酔った男の目には生身の女の素肌は刺激的だったかもしれないと、シャツかジャケットを着るべきだったと後悔した。いや、もう深夜にコンビニに出かけるのはやめようと思った。タンクトップも日中ならいざ知らず、夜間にはそのままでいるのはもうやめよう。
もしかすると、鍵を奪った誰かが、今後、夜中に鍵を開けようとするかもしれない。いや、保奈美が会社に行っている間に、誰かが家の中に入ろうとするかもしれない。そう考えると、心臓がドキドキしてとても眠れなかった……。夏は気分が開放的になる。夜遅くても近所への外出にためらいがない。あれこれと考えるほどに自分の無防備さが分かってきて、しおれるように意気消沈してしまった。ただ、いつものようにしただけなのに、涼しさを求めただけなのに、保奈美は熱帯夜にも関わらず、寒さを感じていた。
■防犯上の教訓
1.外出時は上に一枚羽織る習慣を
2.鍵は開けたらすぐ閉める
3.鍵を下足入れの上に置かない
4.イヤホンをしたまま歩かない
5.歩行中は必ず後ろを振り返って、周囲の安全確認をする
6.オートロックは油断しない
7.エレベーターに乗る前は周囲に誰もいないことを確かめる
8.エレベーターでは、安全確認後に自宅階のボタンを押す
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