続発する凶悪事件
江東区潮見の事件現場マンション前。警察官が立ち、マスコミも並ぶ |
さらに5月25日には、4月18日に行方不明となっていた東京都江東区の23歳の会社員女性を暴行目的で女性の部屋に侵入したとして、住居侵入の疑いで逮捕され、殺害をほのめかす供述をしています。
江東区の事件のように自宅の二軒隣の同じマンションの居住者による犯行や、自宅のすぐ近くで被害に遭うなど、「これでは被害を防ぎようがないのでは?」と、絶望的な気持ちになってしまっている人もいるようです。しかし、いつどんなことが起きるのかは誰にも予測し得ないことではありますが、被害に遭わないようにすること、万が一被害に遭ったとしても被害を最小限にとどめるようにすることを考えて行動することはできるはずです。女性が自分の身を自分で守るために必要な「3つの力」について、お伝えします。
第1の力「情報力」
自分に関する情報は、たとえば「体型」「メイク」「髪の色」「服装」など、普段から気にしている自分自身のことがたくさんあるはずです。ファッションや美容、恋愛などに関することは若い女性の一番の関心事でしょうか。そうしたことを考えているときの集中力や熱意は大変なものです。しかし、それらの楽しいことも、自分の身が無事であってこそです。なんらかの被害を受けてしまっては、すべて吹き飛んでしまうかもしれないのです。まずは、安全な自分、無事な自分がなくてはなりません。そこで、第1に大切なのは、「情報力」です。テレビや新聞、インターネットなどでは事件に関する情報がたくさんあります。その中でも、自分と似たような年齢、職業、住居のタイプ、住んでいる地域など、類似点の多い事件に関して敏感になりましょう。似た条件の人に起きたことは、自分にも起こりうると考えて情報を得ることです。
また、最寄り駅から自宅までの帰宅経路の中にある「ひったくり多発」「痴漢多し」「空き巣狙いに気をつけましょう」といった立看板にも注意しましょう。こうした立看板は、実際に事件が多発しているからであって、無用のものではありません。見慣れた景色として見過ごさず、自分自身への注意喚起としてしっかり見ておきましょう。自分自身の住まいの周辺での情報には、報道される起きてしまった事件情報よりも身近で大切な情報なのです。さらに、集合住宅の隣人や近隣住人に関する情報も、意識して得るようにしましょう。目や耳から得られる情報はたくさんあるはずです。
最上階右端が容疑者の部屋。右から3つめが被害者の部屋 |
自分自身の危険の度合いも分からなくては、対応のしようもありません。分かりやすく言えば、「標準体重より○キロ多いから、こう食事制限して、これだけの運動をして、○キロ減量しよう」といったように、基準や目標が分かれば、具体的な対応がとれるということです。「私の帰宅経路はもっと安全な場所に住んでいる友人と比べると、街灯も少なくてかなり危険」といったように、まずは自分の状態を知ること、すなわち「情報分析」をすることが大切です。
さらに、実際に自分が帰宅する際、周囲をよく見回すことです。前方・左右・後方の自分の周囲360度に不審な車両、バイク、自転車、人物などがいないかよく観察するのです。現在進行形で自分に接近する危険がないか、目と耳から得られる情報をしっかり観察しましょう。気になるものとどれくらい離れているか、あとどれくらいで自動車がそばまで来るか、不審な人物とすれ違わなくてはならないか、といった状況をよく見るようにしましょう。
これらのことを考えると、自分自身の危険レベル、安全度が分かってくるはずです。以上のように、「情報力」とは、「情報収集力」「情報分析力」「情報管理力」の集合力ということです。情報は「集めて」「分析して」「管理する」ものです。これらによって、安全への意識を持つことが必要なのです。そして、第2の力として大切なのは、「想像力」です。次ページへ→