違反して記録書を食べた男!
平成16年3月14日午後0時半頃、福島市内の国道バイパスを東京方面に向けて、バイクで走行中だった埼玉県在住の私立大学生(22歳)が、20キロオーバーの速度違反をしたため、交通機動隊員の取り調べを受けていました。
驚いたことに、隊員が反則切符を作成中に、突然、この大学生は約5センチの「速度測定記録書」(記事タイトルはわかりやいように「キップ」としています)を隊員から奪い取り、飲み込んでしまったのです!
「飲み込んでしまえば、違反がなくなると思った」と大学生は供述しています。しかしながら、記録データは残っていたため、反則金の請求には支障がありませんでした。
大学生は「公務執行妨害」「公用文書毀棄」の疑いで現行犯逮捕されました。スピード違反のほうは、反則金12,000円以下ですが、「公務執行妨害」は「3年以下の懲役又は禁錮」、「公用文書毀棄」は「3月以上7年以下の懲役」に問われます。
記録用紙がなくなったところで違反の事実が消えるわけでもなく、取り調べを受けている最中にいきなりそれを奪い取って口に入れてゴックン、とはよほど心理的にあせっていたのか、その行為自体が犯罪になるとは考えもしなかったのではないでしょうか。
「公務員の職務」とは、法令上の根拠に基づいて行われる適法なものであることが要件ですが、交通機動隊員の取り調べ、違反切符の作成などは当然、公務員の職務です。大学生はこの職務を妨害したことになるのです。
この大学生の行為は、「証拠さえなければ」といった考えからのものでしょうが、速度測定をされていて「事実」はあったわけですし、逃れようはなかったのです。素直に認めておけばよかったのに、余計なことをしてかえって、余計な罪を背負うことになったわけですね。実際にどのように処分されたかは情報がありませんが、「二度とこんなことはしないように」という、キツ~イお灸がすえられたことは間違いないでしょう(食べてしまった紙はちゃんと消化したそうです…)。
法律ワンポイントチェック
刑法第95条(公務執行妨害及び職務強要)[1] 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役又は禁錮に処する。
[2]公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。
刑法第258条(公用文書等毀棄)
公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。