65歳までフルタイムで働いていたM子さん(67歳)は、今は週3回のパートに切り替え、時間には余裕があります。ただ、時間があるからといって、毎日「今日は何をしよう」と考えるのも、それはそれで疲れるもの。そんなM子さんにとって、変わらぬ楽しみが毎朝のNHK連続テレビ小説でした。
見終われば、あとはお昼ごはんを食べてテレビを見るだけ、という日々を過ごしていましたが、あるとき小さな習慣が加わりました。今回は、M子さんがたまたま始めた「朝ドラを見たあと、気になったことを少しだけ調べる」という習慣をご紹介します。

朝ドラを見た後、気になったことを「1つだけ」調べる習慣
きっかけは、2026年度前期の『風、薫る』でした。明治時代を舞台にした作品だったこともあり、見ているうちに当時の時代背景が気になり、スマートフォンで調べてみたのが始まりです。それ以来、鹿鳴館が出てくる場面があれば「どんな場所だったんだろう」、主人公に影響を与える女性である大山捨松が気になれば「どんな人生を送ったんだろう」と、その日に引っかかったことを1つだけ調べるのが習慣になりました。まずはスマートフォンで15分ほど。気づけば20分ほどたっていることもあるといいます。
もう少し詳しく知りたいときは、図書館に足を運ぶこともあります。以前は、たくさんの本を前にすると、どれを読めばいいのか分からず選びきれずにいたM子さんですが、朝ドラという軸があると、何を調べればいいかで迷わずに済みます。
関連する本の中から、気になる部分だけをつまむように読む。それだけでも、ドラマの続きを追うような感覚で読書を楽しめるそうです。
2026年9月28日からは、連続テレビ小説第115作『ブラッサム』がスタートします。明治・大正・昭和を生きた作家・宇野千代をモデルにした、主人公・葉野珠の物語を描く作品です。名前だけは知っていても、詳しくは知らなかった宇野千代という人物に、M子さんは早くも興味が湧いています。次の作品でも、この「1つだけ調べる」習慣は続けていくつもりとのことです。
調べるようになって、朝ドラの見方も変わった
以前は、ストーリーの展開そのものを楽しむのが朝ドラの見方の中心でした。ところが、調べる習慣がついてからは、登場人物の言葉や場面を見て、当時の暮らしと重ねて考えることが増えてきたといいます。史実とドラマの内容を厳密に照らし合わせているわけではなく、「ここはドラマならではの演出だろうな」という程度の見方ではあるものの、前日に調べたことが翌日のドラマに登場すると、ちょっとした発見のようなうれしさがあるそうです。ただ見て終わっていた朝ドラに、もう1つ別の楽しみ方が加わりました。
友人との会話も広がった
変化があったのは、朝ドラの見方だけではありません。友人とお茶をする際の「今日の朝ドラ見た?」という何気ない会話にも、最近調べたことが自然に加わるようになりました。以前なら「見た。面白かったね」で終わっていたやりとりが、当時の時代背景などを交えながら、少し長く話すこともあります。
歴史に詳しくなろうとしているわけではなく、あくまで朝ドラをきっかけに調べた範囲の話。それでも、友人と話せる話題が1つ増えたことは、M子さんにとってうれしい変化でした。
定年後、「何か趣味を持たなくては」と意気込むと、かえっておっくうになることもあります。M子さんの場合は、新しい趣味をイチから始めたわけではありません。もともと楽しんでいた朝ドラに、「気になったことを1つ調べる」を加えただけです。お金もほとんどかかっていません。
それでも以前のように、「今日は何をしよう」と悩むことは少なくなりました。「今日は何を調べようかな」と、朝ドラの後の時間を楽しみにするようになったからです。
いつもの習慣に小さな「知りたい」を加えるだけでも、毎日の楽しみは少し広がります。そんな「お金をかけない暇つぶし」の1つといえそうです。







