食と健康

Q.「チャーハン症候群で死亡してしまった人がいる」って本当ですか?

【大学教授が回答】「加熱したから大丈夫」は危険な思い込みかもしれません。チャーハン症候群による死亡例は実際に報告されています。うっかりしてしまう人も多い危険な行動と、予防法を解説します。(※画像:Shutterstock.com)

阿部 和穂

阿部 和穂

脳科学・医薬 ガイド

薬剤師

東京大学薬学部卒業、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員、星薬科大学講師を経て、武蔵野大学薬学部教授。薬学博士。専門は脳科学と医薬。

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Q.「チャーハン症候群で死亡してしまった人がいる」って本当ですか?

チャーハン
しっかり加熱されて作られるチャーハンでも食中毒に? ほかの料理でも起こる「チャーハン食中毒」とは

Q.「『チャーハン症候群で死亡してしまった人がいる』って本当でしょうか? チャーハンは強火でしっかり炒めるので、食中毒にはならないと思っていました。強火で加熱してもダメだとしたら、どう食中毒を予防したらいいのか分からず不安です」

A. 本当ですが、死に至るケースは極めてまれです。正しく理解しましょう

結論からいえば、「チャーハン症候群による死亡例があること」は事実です。

そもそも「チャーハン症候群」とは、セレウス菌による食中毒の俗称です。正式な病名ではありません。チャーハンだけが原因となるわけではなく、ピラフ・パスタ・焼きそばなど、穀物を使った料理全般で発生する可能性があります。主な症状は下痢と嘔吐で、命にかかわる例はごくまれです。しかし実際に死亡報告はありますので、珍しいケースとはいえリスクを軽く見るべきではないでしょう。

加熱した食品なら安全と思われそうですが、セレウス菌の最大の特徴は「芽胞」を形成することです。芽胞は植物でいう「種子」のようなものです。堅い殻を持ち、加熱・乾燥・紫外線・消毒用エタノールに強い耐性を示します。栄養細胞の状態であれば100℃で10分間の加熱で大部分が不活化しますが、芽胞の状態では100℃で30分間の加熱にも耐えられ、消毒用エタノールも効きません。強火でチャーハンを炒めても、セレウス菌が芽胞の状態であれば死滅しないのです。

調理後に室温で長時間放置されると、芽胞が発芽・増殖し、毒素を産生します。特に28~35℃は菌が最も活発になる温度帯であるため、夏場はリスクが一段と高まります。また、セレウス菌が増殖しても食材に特段の腐敗臭は生じないため、においで安全性を判断することはできません。再加熱しても芽胞があれば再び増殖するため、「温め直せば大丈夫」という考えも誤りです。

予防の基本は「セレウス菌を増殖させないこと」に尽きます。

  • 調理後はすぐに食べる
  • 作り置きは急速冷却してから保存する
  • お弁当も保冷剤や冷蔵庫で素早く冷やしてから持ち運ぶ

という3点が重要です。2023年には、国内の食品会社の弁当からセレウス菌が検出され、全国で554人が腹痛や嘔吐を発症する大規模な食中毒事故が起きています。身近な脅威として認識し、しっかりと予防していくことが大切です。

さらに詳しく知りたい方は、「『チャーハン症候群』とは? セレウス菌による食中毒の原因・症状・予防法」をあわせてご覧ください。

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