今を憂いながらも、明日を信じる
様々なアーティストにカバーされ、リスペクトされている名曲「生まれ来る子供たちのために」。こちらは佐藤竹善さんバージョンです。 |
今を憂い、国を憂うこの歌は、それまでのオフコースの歌とはちょっと違っていました。憂うだけではなく「僕の過去を受け入れてくれた人がいたように、明日を信じ、船を漕いでいこう」といった内容を静かに歌います。そして、祈りのような言葉へと続いていきます。
あの声で歌われるとラブソングかと錯覚しそうになりますが、とてもストレートなメッセージソングです。
飽きっぽいことを常に意識すべき
この歌に込めた思いを、小田さんは、当時こう発言しています。「これはオフコースのテーマというか、僕自身のテーマなんだよね。『日本はどうなっちゃうのだろう』という危機感って前からあるでしょう? でも、公害がどうのこうのっていっても、そんな騒ぎはすぐ下火になっちゃう。日本人って、そういう部分で飽きちゃうんだ。それを自分自身でも意識しているべきだと思う。そんな意味で出したかった」(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
深刻な社会問題ですら旬のニュースとして消費されていく現代。「どうにかしないと」と嘆きながらも、数日後には別のことに関心が移っていってしまいがちです。「生まれ来る子供たちのために」には、そんな飽きっぽい私たちへの戒めが込められていたのですね。
ボランティア的ツボは“船”
もう1つ、この曲が今もって輝いている理由に「船を漕ぐ」にあると思います。大きな課題に何をしていいかわからないけれど、まずは勇気と力を持って行動をしていこう。誰のためでもない、次世代の子供たちのために。そんなメッセージとして伝わってきます。この言葉、もしかしたら、30年前より、リアルに多くの人の心に届いているのではないでしょうか。温暖化などの環境問題しかり、不穏な事件ばかり起きる日本の社会状況しかり、紛争の絶えない国際情勢しかり。でもだからこそ、1人ひとりがあきらめずに行動していこう。「船を漕ぐ」は、21世紀の今だからこそ、そんな静かで強いメッセージとして伝わってきます。それがあの美しい声で歌われれば、琴線に触れないはずはありませんよね。
それにしても30年近く前の曲が今も歌い継がれ、多くの人の心のひだに触れ、若いミュージシャンをも触発させてしまうなんて、小田さんの言葉の持つ力強さを思わずにはいられません。
UNHCRの1999 年当時のTVCMはベストアルバム「自己ベスト2」の発売を受けて、全国の主なCDショップ約2000 店で放映される予定です。また、日本UNHCR 協会のサイトでも12月1日から放映されます。
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