ボランティア/ボランティア関連情報

小田和正が21世紀にリスペクトされる理由(3ページ目)

「小田和正?ああ、オフコース?」と少し引いたあなたはきっとバブル世代。今や小田さんといえば難民支援やHIV感染とエイズの啓発に楽曲が使われるリスペクトな存在。それはなぜ?をボランティア的に考察してみます!

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

ボランティアガイド

今を憂いながらも、明日を信じる

佐藤竹善
様々なアーティストにカバーされ、リスペクトされている名曲「生まれ来る子供たちのために」。こちらは佐藤竹善さんバージョンです。
「生まれ来る子供たちのために」は、1979年のアルバムの中の1曲として発表され、「さよなら」が大ヒットした後にシングルカットされました。

今を憂い、国を憂うこの歌は、それまでのオフコースの歌とはちょっと違っていました。憂うだけではなく「僕の過去を受け入れてくれた人がいたように、明日を信じ、船を漕いでいこう」といった内容を静かに歌います。そして、祈りのような言葉へと続いていきます。

あの声で歌われるとラブソングかと錯覚しそうになりますが、とてもストレートなメッセージソングです。

飽きっぽいことを常に意識すべき

この歌に込めた思いを、小田さんは、当時こう発言しています。

「これはオフコースのテーマというか、僕自身のテーマなんだよね。『日本はどうなっちゃうのだろう』という危機感って前からあるでしょう? でも、公害がどうのこうのっていっても、そんな騒ぎはすぐ下火になっちゃう。日本人って、そういう部分で飽きちゃうんだ。それを自分自身でも意識しているべきだと思う。そんな意味で出したかった」(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

深刻な社会問題ですら旬のニュースとして消費されていく現代。「どうにかしないと」と嘆きながらも、数日後には別のことに関心が移っていってしまいがちです。「生まれ来る子供たちのために」には、そんな飽きっぽい私たちへの戒めが込められていたのですね。

ボランティア的ツボは“船”

もう1つ、この曲が今もって輝いている理由に「船を漕ぐ」にあると思います。大きな課題に何をしていいかわからないけれど、まずは勇気と力を持って行動をしていこう。誰のためでもない、次世代の子供たちのために。そんなメッセージとして伝わってきます。

この言葉、もしかしたら、30年前より、リアルに多くの人の心に届いているのではないでしょうか。温暖化などの環境問題しかり、不穏な事件ばかり起きる日本の社会状況しかり、紛争の絶えない国際情勢しかり。でもだからこそ、1人ひとりがあきらめずに行動していこう。「船を漕ぐ」は、21世紀の今だからこそ、そんな静かで強いメッセージとして伝わってきます。それがあの美しい声で歌われれば、琴線に触れないはずはありませんよね。

それにしても30年近く前の曲が今も歌い継がれ、多くの人の心のひだに触れ、若いミュージシャンをも触発させてしまうなんて、小田さんの言葉の持つ力強さを思わずにはいられません。

UNHCRの1999 年当時のTVCMはベストアルバム「自己ベスト2」の発売を受けて、全国の主なCDショップ約2000 店で放映される予定です。また、日本UNHCR 協会のサイトでも12月1日から放映されます。

【関連記事】
「ロハス度診断」……あなたはロハスな生活をしている?
「世界が尊敬する日本人、山田耕平さん登場」……HIV撲滅のために歌う元青年海外協力隊員のシンガーです。
「ホテル・ルワンダを応援する会 水木雄太さん」……ルワンダの大虐殺を描いた映画を公開するための活動をした水木さんへのインタビュー。
「ハリウッドセレブに学ぶ輝き続ける生き方」……UNHCRの親善大使、アンジェリーナジョリーの活動をご紹介
「いま、静かなブーム!ハチドリのひとしずく」……あなたにできるひとしずくは?
「企業や行政を動かすそらべあの涙」……そらべあの涙に共感の輪が広がるのはなぜ?
「かなりヤバイ温暖化?地球を冷やす5つの習慣」……環境にやさしい生活のヒント

【ガイドから】
・ボランティアガイドのメルマガのご登録はお済みですか?こちらからご登録してくださいね。
・前回記事は「知っていますか?児童養護施設の“今”」です!
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます