ピンクリボンから広がるリボン運動

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リボン運動を知っていますか?


乳ガンの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるシンボルマーク、ピンクリボン。毎年、10月にはピンクリボンキャンペーンが展開され、東京タワーがピンクでライトアップされるなど、さまざまなイベントなどが行われているので、目にした方も多いのではないでしょうか?2017年に乳がんでこの世を去った小林麻央さんに関するニュースで、改めてピンクリボンを知ったという方も多いかもしれませんね。
 

リボンの総称は「アウェアネスリボン(Awareness ribbon)」

啓発活動や支援の意志を示すために身に付けるリボンを「アウェアネスリボン(Awareness ribbon)」と呼びます。直訳すると「気づきのリボン」「認識のリボン」といったところでしょうか。リボンを輪にして折り、ピンで留めるのが基本スタイル。訴える課題によってリボンの色が変わり、それぞれにメッセージがあります。

そして、これらのリボンを身につけたり、ブログやSNSで発信することを、「リボン運動」と呼びます。ピンクのほかにも、エイズの啓発ならレッドリボン。子どもの虐待防止はオレンジリボンなど、リボン運動は多様な広がりを見せています。

ボランティアというと、実際の行動をイメージされる方も多いことでしょう。でもボランティアで大切なことは、まずは正しく知ること。そして、それを周囲の人に伝えることも、大切な「ボランティア活動」なのです。ピンクリボンのように大きなムーブメントになっているものもあれば、「それは何を訴えるリボン?」と聞かないとわからないものも。リボンの色別に代表的なものをまとめ、色に託された意味とあわせて解説します。

【目次】  

ピンクリボン:女性ならば人ごとではない

乳ガンの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるシンボルマークとして知られるピンクリボン。元々は1980年代のアメリカで、乳ガンで家族を失った人たちが「このような悲劇が繰り返されないように」との願いを込めて作ったリボンからスタートしました。

1991年の秋には、カリフォルニア州で乳ガン撲滅に取り組むスーザン・G・コーメン乳ガン基金(Susan G. Komen Breast Cancer Foundation)が、5kmのマラソン&ウォーク「レースフォーザキュア」を開催。参加者にピンク色のリボンを配り、これがピンクリボン運動としての最初の活動とされています。

このとき参考にしたのは、当時NYのアーティストたちが付け始めたエイズの「レッドリボン」でした。ピンクは女性らしい色の代表。女性なら誰にとっても人ごとではない病気だから、女性のシンボルとしてのピンクが選ばれたそうです。

長年、企業やマスコミ、NPOが連携して大々的なキャンペーンを繰り広げていることもあり、「ピンクリボンといえば乳ガンの啓発活動」として広く知られるようになりました。その背景には、日本の乳ガン患者が年々増加していることがあります。乳ガンと診断された人の数は2005年に約5万人だったのが、2012年には約7.4万人となっています。日本女性の12人に1人という確率です。欧米に比べ、子育て中や働き盛りの50歳以下の比率が高いという特徴もあります。

ガンは不治の病ではありません。早期に発見し、治療をすれば生存率が上がり、治癒することもできます。ピンクリボン運動は乳ガン患者を理解・支援するためだけではなく、乳ガンを知り、きちんと検査をし、早期発見し、適切な治療を受けることの大切さをより多くの人に知ってもらうための活動なのです。
 

レッドリボン:エイズで命を落とした仲間たちへの追悼

レッドリボンは、エイズ患者を差別せず、共に生き、応援していく意志を表しています。リボン運動では最も歴史があり、先駆けともいえる存在です。もともとヨーロッパでは病気や事故で若くして亡くなった人たちへの哀悼を表す意味でレッドリボンを付ける古い風習があったそうです。それが、1980年代の終わり頃からNYでエイズに倒れるアーティストたちが増え、社会問題となりました。

そのことを悼んだ志を同じくするアーティストたちが、道半ばにして倒れた仲間たちへの追悼の気持ちとエイズに苦しむ人々への理解と支援の意志を示すために赤いリボンを付けるようになったことが運動のきっかけです。その考えに共感した人たちの輪が広がり、レッドリボンをシンボルとした世界的な運動として定着していきました。

レッドリボンについては、別記事『レッドリボン運動とは?エイズ(HIV)への理解と支援』でも詳しく紹介しています。
 

オレンジリボン:不幸な事件をきっかけに生まれた

オレンジリボンは、子どもの虐待防止の情報と気持ちを分かち合うことのシンボルです。きっかけは2004年9月、栃木県小山市で2人の幼い兄弟が虐待の末、橋の上から川に投げ入れられて亡くなった事件でした。この事件を受けて、小山市内のNPOが2005年からオレンジリボンキャンペーンをはじめ、それに各地のNPOや厚生労働省が賛同し、運動が広がりました

2006年からは「児童虐待防止全国ネットワーク」がオレンジリボン運動の窓口となり、様々な啓発活動を行っています。このオレンジリボンを身につけることで、虐待防止を広くアピールし、子どもが虐待されることのない社会を目指す意志を表します。同時に、虐待を受けている疑いのある子がいたら、関係機関に連絡する役割も期待されています。オレンジリボンの詳細は、別記事記事『子育てをあたたかく見守るオレンジリボン』をご覧ください。
 

グリーンリボン:移植医療普及のためのシンボル

グリーンリボンは、1980年代よりアメリカから世界的に広まっている移植医療普及のためのシンボルです。ガイド記事でも紹介したように、グリーンは「成長と新しい命」を意味し、リボンはギフト・オブ・ライフ(命の贈り物)によって結ばれたドナーとレシピエントの命のつながりを表現しています。これを身につけることで、臓器移植への正しい理解とドナーとドナーの家族への敬意を表すことになります。
 

ブルーリボン:大腸ガン治療の情報発信と啓発活動

ブルーリボンは大腸ガンの啓発活動のシンボルです。濃紺のブルーリボンが使われています。ガンは、国民の2人に1人がかかる病気です。なかでも日本における大腸ガンは胃ガンに続いて2番目に患者数が多く、毎年10万人超の人が新たに診断されています。

しかし、一方で治療に関する情報は十分とはいえず、非科学的な情報に惑わされる人も少なくない、という現実もあります。そういった情報に振り回されずに、科学的根拠に基づく大腸がんの診断方法と外科的治療、薬物療法などを広める啓発活動としてブルーリボンキャンペーンが展開されています。

また、「北朝鮮による拉致被害者の生存と救出を信じて」への意思表示としても、ブルーリボンは使われています。ブルーは、北朝鮮と日本を隔てる「青い海」とつなぐ「青い空」のイメージ。支援集会などで拉致被害者家族や支援者が、日朝首脳会談で小泉純一郎元首相が付けたことで知られるようになったリボン運動です。
 

ホワイトリボン:複数のテーマがある

いくつかのテーマで重複してシンボルとされているのが、ホワイトリボンです。

■開発途上国における妊産婦の命と健康を守る
最もポピュラーなのが、開発途上国における妊産婦の命と健康を守る国際的な活動のシンボルとして使われているホワイトリボン運動です。財団法人日本助産師会や国際協力NGOであるジョイセフ(家族計画国際協力財団)が推進しています。

■男性の非暴力を呼びかける
また、男性の非暴力を呼びかけるホワイトリボンキャンペーンのシンボルともされています。こちらは、男性による男性の暴力反対活動として3人のカナダ人男性によって始められました。男性の暴力の被害者、特にドメスティックバイオレンス(DV:家庭内暴力)で命を落とした女性への追悼のと非暴力の意志を表す白いリボンを男性自身が胸につけることで、暴力反対を訴えます。

1991年にカナダで始まり、現在では世界155ヶ国の団体や個人に活動が広がっているそうです。「女性への暴力を選ばない」「対等な存在として女性を尊重する」という男性の意志を全世界に広げることを目指しています。

■他のホワイトリボン活動も
ほかにも、阪神大震災10周年を契機に始まった白いリボン運動では全国から募金を募り、地域作りやコミュニティ活動を行うNPOやNGOを支援しています。さらに、平和を呼びかける活動シンボルとしてや、同性愛など性的少数者が苦しみ自殺してしまう若者を救うための活動のシンボルとしても、ホワイトリボンが使われています。白い鳩が平和の象徴であるように、白という混じりけのない色に人はさまざまな思いを託すのですね。
 

イエローリボン:障害を持つ人の自立と幸せを願う

もうひとつ万国共通、さまざまな思いを託す色に黄色があります。イギリスでは黄色は「身を守るための色」とされていました。それがアメリカに伝わると「愛する人の幸せを願う色」として使われます。戦場での安全を願った黄色いリボンとして、ジョン・フォード監督の西部劇でも描かれました。日本でも山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』では、夫婦の愛を象徴する色として使われていますね。イエローリボンも、それらの思いを映し出したいくつかの活動の象徴として使われています。

■障害を持つ人たちの自立と社会参加を目指す
ひとつには障害を持つ人たちの自立と社会参加を目指すイエローリボン運動です。どんなに重い障害を持っていても、人としての尊厳が守られ、その人らしい自立と社会参加が保障され、住み慣れた町で幸せに暮らすことを目指しています。

一方では、イエローリボン運動には「障害者自立支援法」への警告の意味も込められています。障害者支援法は“保護から自立を”を目指して制定されましたが、自立の名の元に「自分で何とかすること」を強いられると疑問視する声もある法律です。黄色には「信号の注意」やサッカーの「イエローカード」のように「警告」の意味もあります。その法律にイエローカードを掲げる意味も込められているのです。

■他のイエローリボン活動も
このほかにも、戦争捕虜、自殺防止、膀胱ガン、脊柱の水腫、子宮内膜症といった病への理解と啓発活動など、黄色は、さまざまな運動のシンボルとされています。日本テレビの24時間テレビ「愛は地球を救う」でも黄色がシンボリックに使われていますよね。黄色は生命力を感じ、元気が出てくる色です。国を問わず、希望を抱かせる色といえるでしょう。
 

リボン以外の活動での色の使われ方

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レインボーフラッグは性的マイノリティの象徴


リボン以外の方法でも色はシンボリックに使われています。たとえば、同性愛や性同一性障害などの性的マイノリティ(少数者)への理解を広げるための「レインボーフラッグ」。6色の虹は多様性の象徴であり、世界どんな場所にもあることから、誰が見てもわかるユニバーサルデザインである、などの意味が込められているそうです。

さまざまな活動にどんな色がどう使われているかを考えることは、それに関わる人たちの思いや実現したい社会を知ることでもあるのです。

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