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ユニバーサルデザインとは?7原則や街中にある例を紹介

ユニバーサルデザインとは何を指すのでしょうか? 7原則や街中にある身近な例を紹介していきます。誰もが社会で生活する上で利用しやすく設計された製品に目を向けて、これまでと違った視点で物を見るきっかけを作って見ませんか?

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

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ユニバーサルデザインとは? 

ユニバーサルデザインとは? 

ユニバーサルデザインとはどんなデザインのことでしょうか? 家族で一緒に、"どんな人でも使いやすい"を追求したユニバーサルデザインを探す研究をしませんか? どこのお宅にでもある身近なユニバーサルデザインを探してレポートしてみましょう。  
<目次>

ユニバーサルデザインを探せ!

左側がシャンプー。側面にギザギザがついているのがわかりますか?
ユニバーサルデザインという言葉を聞いたことがあるでしょうか。今回、ご提案したい自由研究は、あなたの家の中でのユニバーサルデザイングッズ探し。どんな特徴があり、どんな点が誰もが使いやすいユニバーサルデザインなのかを考えるのがテーマです。

まずはお風呂場へ行ってみましょう。シャンプーとリンスのボトルがありますよね。よく見ると、シャンプーボトルの側面に細いギザギザがついています。商品によっては、ポンプの頭に線がついている物もあるでしょう。

同じギザギザはリンスにはついていますか? ついていませんよね? 

ギザギザのある方が、シャンプーの印なんです。それを知っていれば、洗髪中に目をつぶったままでも、シャンプーとリンスを間違えることはありません。もちろん、目の不自由な方がシャンプーとリンスを見分ける手がかりにすることができますし、細かい字が苦手なお年寄りや、字の読めない幼児でも「ギザギザのついている方がシャンプー」と伝えておけば、安心ですよね。

これがユニバーサルデザインです。

ユニバーサルデザインとは「特定の誰かのための特別な物」ではありません。年齢や性別、障害の有無などに関わらず、できるだけ多くの人が利用可能なデザインをいいます。ほかにも、社会には、力の強い人、弱い人、体の大きな人、小さな人、手の大きな人、小さな人、左利きの人など、様々な個性を持っている人がいますよね。どんな人でも無理なく使えるような工夫がされたデザインが、ユニバーサルデザインなのです。
 

ユニバーサルデザインとバリアフリーはどう違う?

階段とエスカレーターしかなかった地下鉄の駅に設置されたエレベーター。これがバリアフリー。
ここまで読んで「それってバリアフリーじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんね。

バリアフリーは、現在ある道路や建物の中の段差をなくしたり、階段やエスカレーターしかない場所にエレベーターを設置したりといった障壁を取り除いた状態をいいます。そして対象は、たとえば障害のある人、お年寄りといった特定の方々です。

対して「どんな人でも」使えるようなデザインが「最初からされている」のがユニバーサルデザインなのです。

ユニバーサルデザインとは何か、なんとな~くわかっていただけましたか?
 

ユニバーサルデザイン7原則

ユニバーサルデザインには、以下の7つの原則があるとされています。

原則1 公平性
簡単に手に入り、誰でもいつでもどこでも使用できること
原則2 自由度
たとえば右利きの人でも左手の人でも思い通りに使えるなど、柔軟に使用できるもの
原則3 単純性
使い方がとても簡単であるもの
原則4 明確さ
使う人の知りたいことが、わかりやすく説明されているもの
原則5 安全性
仮に使用を間違えても重大な結果にならないもの
原則6 持続性
少ない労力で効率的に、体力のない人でも楽に使える
原則7 空間性
使う人の体の大きさや姿勢に関係なく、誰にでも使える大きさ、広さがあるもの

先ほどのシャンプーボトルは、この7つの原則をきちんとクリアしていますよね。
 

家庭のユニバーサルデザイングッズ

ガイド家のユニバーサルデザイン。さて、どこがユニバーサルデザインなのかわかりますか?
シャンプーボトルのほかに、一般の家庭にはどんなユニバーサルデザインがあるのでしょうか。ガイド家を軽く見回して、見つけてきたのが右の写真の数々。どうです? 一見すると、「これのどこがユニバーサルデザイン?」と思ってしまいますよね。でも皆、それぞれに工夫がされているのです。では、個々に説明しましょう。

・マジックテープ付きシューズ……まだ靴ひもが結べない幼児や、細かい手先の作業が苦手なお年寄り、何らかの理由で片手が使えない方などにとって着脱がとてもラクです。誰が履いてもひもがほどける心配がないのはうれしいですよね。

・電卓……写真ではわかりにくいのですが、数字の5に凸状の盛り上がりがあります。指先を見ないで、キーを打つブラインドタッチの手がかりにすることができます。電話機の“5”、パソコンのキーボードの中心の“F は ”と“J ま ”にある凸状の盛り上がった部分も同じ役割です。

・ダイコンおろし器……面が広いことでおろすにもそれほど力がいりません。裏面にはすべり止めも付いていてケガをしにくい安全なデザインです。手の力の弱い幼児やお年寄りもラクに安全にダイコンをすり下ろすことができます。
プリペイドカードの左端の少し欠けている部分がユニバーサルデザイン。

・プリペイドカード……それぞれにほんの少し欠けている部分があります。この位置はカードによって違いますので、目の不自由な方が見分ける手がかりになります。またこの欠けている部分を左手前にすると覚えておけば、急いでいるときに、矢印を確認しなくても挿入でき、動作がスムーズにできます。

・缶ビールや缶チューハイなどの酒類……飲み口に点字が打たれています。目の不自由な方がノンアルコールの清涼飲料水と区別する手がかりにすることができます。また、子どもが間違えて飲むことの防止策にもなるものです。

・クリアファイル……クリアファイルって書類を入れにくいなと思ったことはありませんか。これは、ポケットの上部をウェーブ状にカットしてある点がユニバーサルデザイン。片手でも書類の出し入れがラクにできるすぐれものです。

ほかにも、片手で開けられる歯みがき粉のチューブやお年寄り向けに開発されたシンプルな携帯電話、操作が容易な簡単リモコンなど、家庭の中にはまだまだユニバーサルなものがあるはず。お子様と一緒に探してみてはいかがでしょうか。それをもとに、
「見つけた物のどこがユニバーサルデザインなの?」
「それが、ユニバーサルデザインだと知っていた?」
「もし、自分だったら、どんな“使いにくさ”を解消する物があったらいいと思う?」
「障害を持つ人や、お年寄りだったら、どんな“使いにくさ”を解消する物があったらいいと思う?」
などなど、発想を広げつつ、まとめていくと、充実した自由研究になると思いませんか?
 

町の中にあるユニバーサルデザイン

ノンステップバス

昇降口の段差が低いノンステップバス。誰にとっても乗りやすい。これもユニバーサルデザインです。

家の中だけではなく、町の中でもユニバーサルデザインを見つけることができます。

誰でも乗りやすいように昇降口の段差を低くしたノンステップバス、大きな荷物を持った人や車椅子を利用する人でも通り抜けしやすいように幅広く作られた駅の改札口、字の読めない小さい子や外国人でもわかる非常口やトイレの絵文字付きの案内板など、町の中の様々な場所にあるユニバーサルデザインを探してみましょう。

こういった日常で当たり前に利用しているものの中にも、誰でも使いやすいように工夫されているユニバーサルデザインを集めて、まとめてみると、様々な気づきのある自由研究とすることができるのではないでしょうか。
 

ユニバーサルデザインを探すことは、社会にやさしい視点を持つレッスン

人に優しい視点を持つには、気づくことが大切。

人に優しい視点を持つには、気づくことが大切。

    ユニバーサルデザインは、日常の中にあり、決して特別なものではないのですが、指摘されないとなかなか気づきません。

でも、こうして、意識して探し、その良さに気づき、「なるほど」と納得することで、今まで当たり前に使っていた物も
「もっと使いやすくするにはどうすればいいかな」
と、視点が広がるきっかけにすることもできます。

「キッズボランティア」なんていうと、どこかへ行って「奉仕」しないとならないと思いがちですが、そんなことはありません。むしろ、日常の中で人や社会にやさしい目を持つ機会を取り入れていくことで、人を思いやる気持ちを自然に学んでいくのではないでしょうか。

と、ややこしく考えなくても大丈夫。ちょっと時間の空いた1日に、親子で家の中や町角の「ユニバーサルデザイン探し」をゲーム感覚でしてみてはいかがでしょうか? ぜひ、トライしてみてくださいね!

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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