老後資金を計画的に使うことで、生活の安定だけでなく、より充実した時間を過ごせます。 今回は、老後資金を長持ちさせる3つのコツをご紹介します。
その1:年金だけで生活できるか確認する
公的年金は老後の生活の基盤となる収入ですが、それだけで十分な生活ができるとは限りません。総務省の「家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均支出は月額約25万6000円。一方、もらえる年金などの平均額は夫婦合わせて約22万5000円とされており、毎月3万1000円程度の不足が生じることになります。また、単身世帯においては、平均支出が月額約14万9000円ですが、もらえる年金などの平均額は約12万1000円です。毎月2万8000円が不足することになります。
老後の生活を安定させるには、この不足分を抑え、どのように補うかを考えることが大切です。
その2:お金に働いてもらう、または収入を増やすために働く
老後の貯蓄を無計画に使ってしまうと、予想より早く資金が底をついてしまう可能性があります。例えば、60歳時点で2000万円の貯蓄がある場合、90歳までの30年間で均等に取り崩すと、月々約5万5000円を生活費の補填(ほてん)に充てられます。しかし、老後にかかるお金は生活費だけではありません。今ある資金を長持ちさせるための工夫が必要です。以下に、老後資金を長持ちさせるための具体的な方法を紹介します。
●資産運用をする
投資にはリスクがありますが、老後の貯蓄を長持ちさせるためには、資産の一部を運用することが大切です。例えば、新NISAなどを活用して分散投資を行えば、リスクを抑えながら資産を増やせます。
また、貯蓄を全て現金で持っていると、インフレによって価値が目減りする可能性もあります。そのため、無理のない範囲で資産運用を取り入れながら、計画的にお金を使うことが老後の安定した生活につながります。
●収入を増やすために働く
老後資金を補うために、仕事を継続することも有効です。最近では、シニア向けのパートや在宅ワークなど、年齢に応じた働き方の選択肢が増えています。無理のない範囲で収入を得ることで、貯蓄の取り崩しを抑えながら、安心して生活を続けられます。
その3:「お金を使うべき分野」と「節約すべき分野」を明確にする
老後資金を上手に管理するには、お金を使うこと、節約することを明確に区分することが大切です。お金を使うべき分野として代表的なものは、健康維持や住環境改善が大切です。例えば、定期的な健康診断を受けたり、スポーツジムに通ったりすることは重要です。
また、高齢になると転倒のリスクが高まるため、バリアフリーにリフォームしたり、住み替えを検討したりするのもよいでしょう。さらに、「やりたいことリスト」を作成し、旅行や趣味、社会活動など、自分にとって本当に価値のあることにお金を使う意識を持つことも有効です。物を増やすよりも、「思い出」や「経験」にお金を使うことで、老後の充実度も高まります。
一方で、見直し次第で節約できる支出もあります。例えば、すでに十分な貯蓄がある場合は、高額な医療保険やがん保険を見直すことで、毎月の固定費を減らすことができるでしょう。
また、通信費や車の維持費も見直しましょう。具体的には、格安スマホに変更する、自家用車を手放してレンタカーを活用する、公共交通機関を活用するなどが挙げられます。さらに、なんとなくの交際費や外食費も積み重なると大きな出費になるため、予算を決めて管理しておくとよいでしょう。