毎日の野菜・フルーツレシピ

知っておきたい! おせち料理で使う野菜の由来と豆知識

無病息災や一家の繁栄などの願いがこめられてきたおせち料理。ここでは野菜を中心に、食材や料理に込められてきた意味や由来を紹介しています。

江戸野 陽子

執筆者:江戸野 陽子

毎日の野菜・フルーツレシピガイド

おせち
おせち料理の食材1つ1つには、1年の幸せと健康を願う思いや由縁が込められています。料理に意味があるものもあれば、野菜そのものに由来があるものもあります。知っているとより楽しめる、そんな豆知識を一挙紹介します。
 
<目次>
 

黒豆

黒豆
黒豆には「健康でまめに働けますように」という願いが込められています。黒には邪気を払う意味があり、無病息災を願う思いが託されています。

【選び方】
粒が大きいほど「縁起が良い」「景気が良くなる」と重宝されている黒豆。おせち料理に使うなら、粒が大きくてそろっているものを選びましょう。またハリとツヤの良さもチェック。乾燥から実を守るため、白い粉が吹いているものもありますが、問題はありません。
 

栗(栗の甘露煮)

くり
おせち料理には欠かせない、栗の甘露煮。栗は「勝ち栗」と呼ばれ、勝負運をアップさせる縁起の良い食べ物として昔から重宝されてきました。栗きんとんの金色が小判や黄金を連想させることから金運の象徴とされており、商売繁盛の願いが込められています。

【選び方】
栗の旬は秋なので、おせち用に栗の甘露煮を購入される方が多いのではないでしょうか。粒の大きさが揃っていて、クチナシできれいな黄色に色づいたものがおすすめです。
 

里芋

さといも
筑前煮やお雑煮に利用される里芋は、正月に供えるハレの食べ物で、餅の代用として使われていたこともあります。親芋を囲むように、子芋・孫芋がたくさんつくので子孫繁栄の象徴とされ、縁起が良い食材として正月料理には欠かせません。おせちでは縁起の良い亀の甲羅に見たてた六方剥きにしたものを含め煮にします。

里芋の含め煮のレシピはこちらから>>「里芋の含め煮」

里芋は地域によっていくつか種類があります。ここでは正月におなじみの里芋を3種類紹介します。
おせち
■里芋
ころんとした楕円形の定番の芋。「白芽」と呼ばれる種類で、ねっとりとしたやわらかい食感が特徴で、子芋を食します。煮崩れしにくいため、雑煮や含め煮におすすめです。
 
■八つ頭(やつがしら)
親芋と子芋が塊状になっており、ひとつの種から芽が八方に突き出るので八つ頭と呼ばれています。末広がりの「八」が付いているのでおめでたい食材として重宝されています。また「人の上(頭)に立てるように」との意味もあります。

水分量が少なく、粉っぽいのが特徴で、煮物にするとほくほくした仕上がりになります。子芋をひとつずつ切り分け、大きい部分は食べやすい大きさに切ってから調理します。 

■えび芋
京野菜のひとつで薄茶のしま模様があり、さつまいもに似た形をしています。別名たけのこ芋。むっちりでほくほくとした食感で、煮崩れしにくいのが特徴。雑煮や煮しめに使います。

【選び方】
皮がカサカサに乾燥しているものより、ほどよく土・泥がついていて湿っているものを選びましょう。芋がしっかりと固く締まっているものがいいです。芽が出ているもの・ふかふかとした感触がするものは避けます。泥付きで袋に入れたままにしておくと、蒸れて柔らかくなってしまうので、取り出して新聞紙などに包んで保存しましょう。
 

金時にんじん

おせち
京にんじんとも呼ばれ、真っ赤な色合いと細長い姿が特徴的です。果肉は柔らかく、芯まで真っ赤なのでおせち料理の色どりに欠かせません。花の形にカットしたものをお煮しめや雑煮に入れるとぐんと華やかに。大根と合わせて紅白なますにしていただきます。

紅白なますの赤いにんじんと白い大根は、おめでたい紅白を表現しており、お祝いの水引に見立てているともいわれます。

【選び方】
キズ・シワがなく、曲がっていないものを選びましょう。葉がついていると鮮度が落ちるのが早いので、すぐに切り落としましょう。
 

ごぼう

おせちおせち
ごぼうは地中にまっすぐ根を張り力強く成長することから「延命長寿」と、家族が土地に根付いてしっかりと繁栄するようにという願いが込められています。食物繊維が豊富なので健康にも良い食材としても知られています。煮しめや、たたきごぼうにしていただきます。

【選び方】
太さが均一でまっすぐなものを選びましょう。先端が萎れたり、ひび割れているものは避けます。土がついていると乾燥しにくく、みずみずしさが保持されます。泥付きで袋に入れたままにしておくと蒸れて柔らかくなってしまうので、新聞紙などに包むといいでしょう。

たたきごぼうのレシピはこちらから>>「たたきごぼう」
 

れんこん

おせちおせち
複数の穴から向こうを見通せることから、将来の見通しがいいという意味が込められています。またれんこんは種が多いことから多産を象徴し「子孫繁栄」の意味も込められています。おせち料理では花の形に飾り切りにしたものを、酢ばす(酢れんこん)にしたり、煮しめにしたりします。

【選び方】
洗ってあるものは表面に大きな傷や黒ずみがなく、茶色く変色していないものを選びましょう。穴のサイズが揃っており、太く、固いものがおせち料理向きです。れんこんは傷むのが早いので早めに使うように。土付きだと長持ちするのでおすすめです。
 

たけのこ

たけのこ
たけのこは成長が早く、まっすぐ伸びていく姿から子どもたちの成長と健康を願いが託されています。上を目指して成長することから、出世への願いも込められています。おせち料理では、土佐煮や煮しめにすることが多いです。

【選び方】
たけのこの旬は春なので、水煮にされたものを選ぶことが多いのではないでしょうか。丸ごとのものもあれば、カット済みのものもあるので、用途に合わせたものを選びましょう。
 

しいたけ

しいたけ
昔は高級品として重宝されていたしいたけ。お正月には神様へのお供え物として珍重されていました。戦場で兜の代わりに被る陣笠に似ていることから「元気・壮健」という意味があります。また縁起の良い亀の甲羅に見えるよう、六角形に切って亀甲椎茸にすることも。

【選び方】
おせちには干ししいたけを使うイメージがありますが、たっぷりの水で戻すとふっくらと膨らみます。しいたけは乾燥させる過程でうまみ成分が何倍にも増すことで知られており、含め煮にすると、たっぷりの煮汁を吸って格別の味わいに。おせちには干ししいたけでなくてはいけないわけではないので、生のしいたけでも構いません。
 

くわい

おせちおせち
ピンポン玉のような丸い実の部分から大きな芽が出ているのが特徴的なくわい。オモダカ科に属する植物で、おせち料理で重宝されています。

くわいは栗に似たほのかな甘みとほろにがさがあり、エネルギーが高い野菜です。芽がにょきっと飛び出た形状から「め(芽)でたい」とかけて縁起が良いとされています。
 
【下ごしらえ】
くわいはアクがあるので下ごしらえをしてから調理します。

1. 芽を残して調理する場合は、ほどよい長さで芽を切る。盛り付けたとき安定するよう、下の部分を切り落とす。底から芽の方向に向けて皮を剥く。
2. 鍋に米のとぎ汁を沸かし15分茹でる。ざるにあけ、流水でぬめりを流し落とす。

下ごしらえしたくわいは、含め煮などにしていただきます。
 

ゆり根

ゆりね
ほのかな甘味と苦味、ほくほくした舌触りが特徴のゆり根。鱗茎(りんけい)が花びらのように重なり合っている姿から「歳を重ねる」「和合(仲が良い)」といった意味が込められています。栄養価も高く、古くから薬用として使用されてきたことから「無病息災」の願いも込められています。含み煮や甘煮の他、きんとんにしていただきます。
 
【選び方】
表皮が乾燥しており、全体的に白くてツヤがあるものを選びましょう。根が伸びすぎていないこともチェックしましょう。

【下ごしらえ】 
調理するときは鱗片(りんぺん)を外側から1枚ずつていねいにはがします。傷や黒ずみがある場合は、包丁で薄くそぎ切りに。土汚れは水で洗って落とします。ゆり根きんとん、茶碗蒸しの具材、和え物、含め煮にしていただきます。

ゆり根の下ごしらえはこちらから>>「ゆり根の下ごしらえ」
 

ちょろぎ

重箱の隅で、巻貝のような形をしているちょろぎ。シソ科で地下茎を食べる野菜で、梅酢漬けにして赤く染め、関東を中心に黒豆に添えることが多いです。ちょろぎは漢字で「長老木」「長老喜」「長老貴」「千代呂木」と書かれるように、長寿を願う意味が込められています。正月に活躍する食材のひとつです。
 

だいだい

正月飾りのしめ縄につけたり、鏡餅にのせたりします。実が熟しても落ちづらいことから、「代々」家が栄えると考えられるようになりました。香りで邪気を払うという意味も込められています。
 

きんかん

おせち
本来は金柑と書きますが、「金冠」という字があてられることから富に恵まれるようにという願いが込められています。甘露煮にすれば皮ごと食べることができ、風邪予防にもぴったりです。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※衛生面および保存状態に起因して食中毒や体調不良を引き起こす場合があります。必ず清潔な状態で、正しい方法で行い、なるべく早めにお召し上がりください。また、持ち運びの際は保存方法に注意してください。

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