定年・退職のお金

おひとり様の老後にはいくらかかる? 現役時代に取れる対策とは?【2023年】

総務省の家計調査によると65歳以上単身世帯の家計の支出は月約15.5万円となっています。今回は老後を一人で暮らすにはいくら必要なのか、老後を豊かに暮らすために現役時代から取れる対策を考えてみます。

川手 康義

執筆者:川手 康義

ファイナンシャルプランナー / サラリーマン家庭を守るお金術ガイド

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<目次>
今回は老後を一人で暮らすにはいくら必要なのか、老後を豊かに暮らすために現役時代から取れる対策を考えてみます。

おひとり様の老後は月約15.5万円が必要です

最新の総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上単身世帯の月の支出は消費支出が14.3万円、非消費支出が1.2万円、あわせて約15.5万円と報告されています。

消費支出14.3万円の内訳をみると食料が約3.7万円(26.2%)、交際費が約1.8万円(12.5%)、光熱・水道が約1.5万円(10.3%)、交通・通信が約1.5万円(10.2%)、教養娯楽が約1.4万円(10.1%)となっています。
総務省統計局,家計調査報告.2022,家計収支編

総務省統計局 家計調査報告より

おひとり様の収入は月約13.5万円、月の不足は約2万円です

一方、収入は月に約13.5万円と同調査で報告されており、内訳は社会保障給付が約12万円(90.1%)とその大半を占めています。

支出は消費支出の14.3万円に非消費支出1.2万円を合わせた約15.5万円ですので、65歳以上単身世帯は月に約2万円が不足することになります。

65歳単身世帯の収支月額:(収入)13.5万円-(支出)15.5万円=-2万円

生涯不足額は男性約395万円、女性約542万円です

最新の厚生労働省「令和3年簡易生命表」によると、平均寿命は男性81.47歳、女性が87.57歳となっています。

仮に現在65歳の方が平均寿命まで生きた場合、男性約395万円、女性約542万円が不足することになります。

生涯不足額(男性):2万円×12カ月×(81.47歳-65歳)≒395万円
生涯不足額(女性):2万円×12カ月×(87.57歳-65歳)≒542万円

不足額を補うには働く? 貯蓄?

老後、生活していくためには毎月約2万円の不足を何らかの方法で補う必要があります。一つの選択肢としては、65歳以降も働き月2万円の収入を得ることです。特に一人暮らしの場合、社会的に孤立することも多く、働くことは収入を得る以外にも社会とのコミュニケーションをとる意味で有効です。

働く以外の選択肢としては現役時代から一定額の資産を築いておく方法があります。資産形成と聞くとまず思い浮かぶのが「貯蓄」だと思いますが、現在は定期預金でも0.002%(メガバンク)~0.4%(SBI新生銀行:パワーダイレクト円定期5年物)など、それほど金利は高くありません。一方で物価は上昇傾向にあり直近4月の上昇率は3.4%と、預金だけでは実質的には目減りとなります。

資産形成にはiDeCo(イデコ)やつみたてNISAの活用も

貯蓄で資産を増やせないのであれば、長期積み立てによる資産形成を目的とした「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」を活用してみてはいかがでしょうか。

どちらも税制面の優遇措置がとられている国の制度ですが、「iDeCo(イデコ)」は税制面での優遇が多い一方で原則60歳までは引き出せないのに対し、「つみたてNISA」は税制優遇でやや劣るもののいつでも引き出せるなど、それぞれにメリット、デメリットがあります。
iDeCo,つみたてNISA,資産形成

長期の資産形成にはiDeCOやつみたてNISAが有効です

なお現行の「つみたてNISA」は年間40万円までしか投資できませんが、2024年からは新NISA制度が始まります。新NISA制度では「つみたて投資枠」となり年間120万円が上限です。より多額の投資が可能となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、おひとり様が老後を過ごすための金額や月の不足額がいくらなのか、また老後に向けて現役時代から取れる対策について考えてみました。一人で暮らすことを想定し早めに対策を取っておけば、老後も豊かに暮らせるかと思います。「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」は、国が定めた税金優遇制度ですので使わない理由はありません。上手に活用し、将来に向けた資産形成をしておくことをお勧めいたします。

〈参考〉
iDeCo公式サイト
金融庁 NISA特設サイト
金融審議会 市場ワーキング・グループ資料
厚生労働省 令和3年簡易生命表
総務省統計局

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