定年・退職のお金

警察官の定年退職金の平均は?令和3年は約2197万円

危険な任務のイメージのある警察官の多くは47都道府県警に所属する地方公務員です。「令和3年地方公務員給与実態調査」より、警察職の定年退職者に支給された退職手当の平均を調べてみました。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

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警察庁、警察本部、警視庁の違い

警察官の多くは、警察本部や警視庁に所属している。

東京都には警視庁、道府県にはそれぞれ立派な警察本部がある! 検察庁は?

警察官は、国の行政機関である「警察庁」に所属する国家公務員と、47都道府県に設けられた警察機関である「警察本部」に所属する国家公務員と地方公務員がいます。
 
「警察庁」は、内閣総理大臣の所轄下にある国家公安委員会が管理し、トップは警察庁長官です。全国に7つの管区警察局と2つの警察情報通信部があり、47都道府県警察を指揮監督します。

「警察本部」は都道府県知事の所轄のもと、都道府県公安委員会が管理します。北海道警察本部は北海道警、神奈川県警察本部は神奈川県警、京都府警察本部は京都府警などの略称で呼ばれ、トップは警察本部長です。ただし、東京都の警察本部は「警視庁」、トップは警視総監です。
 

都道府県警察の職員数は警察庁の約36倍

警察庁「令和3年版 警察白書」によると、令和3年4月1日現在の警察職員の定員は警察庁が約8000人、都道府県警察は約29万人です。都道府県の警察職員数は警察庁の約36倍です。

●警察庁:8031人
(警察官2190人、皇宮護衛官940人、一般職員4901人)

●都道府県警察:28万8172人
(地方警務官630人、地方警察官25万9093人、一般職員2万8449人)

出所:警察庁「令和3年版 警察白書」
 

巡査から警視総監まで9つの階級がある

警察官になるには、国家公務員コースと地方公務員コースがあります。多くは地方公務員コースで都道府県に警察官として採用され、昇任試験を受けながら9つの階級を上っていきます。スタートは巡査、次に巡査部長→警部補→警部と進み、トップは警視総監です。

巡査から警視までは地方公務員(以降「地方警察職員」)ですが、警視正になると一般職国家公務員(以降「地方警務官」)になります。国家公務員1種・2種試験に合格した人は巡査部長や警部補からスタートしますが、階級に関係なく国家公務員扱いです。

●警察官の階級
巡査→(階級外 巡査長)→巡査部長→警部補→警部→警視→警視正→警視長→警視監→警視総監

※太字は国家公務員
※巡査長は、巡査のうち勤務成績が優秀で実務経験が豊富な人に与えられる称号で階級にはない。警察庁のトップである警察庁長官も階級外
 

都道府県の警察官の定年退職手当は平均約2197万円

令和2年の都道府県警察官の離職者数は9503人で、定年退職が5138人(退職者の54%)。次いで普通退職(例えば自己都合退職)が3734人(同40%)で、年齢別では25歳未満の離職が50%、25歳~30歳未満が20%です(総務省「令和2年度地方公務員の退職状況等調査」より)。

では、総務省「令和3年 給与・定員等の調査結果等」から、警察職で、60歳定年退職者の退職手当支給額トップ5の自治体をご紹介します。
 
  • 1位:東京都/2309.1万円(東京都/2305.9万円)
  • 2位:神奈川県/2273.2万円(神奈川県/2290.6万円)
  • 3位:滋賀県/2265.9万円(静岡県/2269.5万円)
  • 4位:静岡県/2265.0万円(佐賀県/2261.4万円)
  • 5位:愛知県/2248.2万円(長野県/2254.3万円)
※平均額は2196.6万円(2201.8万円)
※支給最低額は1975.2万円(2115.2万円)
※支給平均額を上回っているのは47都道府県中23都府県
※( )内は前年
 
出所:総務省
「令和2年度地方公務員の退職状況等調査」
「令和3年地方公務員給与実態調査」

全国の警察官約29万人の約60%が巡査~巡査部長です。警部補は約30%未満、警部は約6.0%未満、警視は約2.5%、地方警務官は約0.2%。

したがって巡査~警視まで、いわゆる「地方警察職員」が警察官の約99.8%を占めます。都道府県の警察職の定年退職手当の平均である約2197万円は、私たちの身近な警察官の平均的な額と考えていいのではないでしょうか。
 
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