気になる退職金額、平均データを見てみよう

退職金って一体いくらもらえるのでしょうか。厚生労働省や日本経団連などの調査データから、退職金額の平均相場をご紹介します。企業の規模や最終学歴、職種だけでなく、退職金の給付方法によっても格差があるようです。

気になる退職金の平均データ

気になる退職金の平均データ



>>厚生労働省の調査による退職金相場
>>日本経済団体連合会の調査による退職金相場
>>中小企業の退職金相場

4社に1社は定年退職金が出ない!?

定年退職すると必ず退職金が支払われる、と思っている人が大多数でしょう。ところが「平成25年就労条件総合調査結果の概況」(厚生労働省※)によると、退職給付制度がある企業は75.5%。4社に1社は退職給付制度がないのです。

※調査は5年ごとに行われる

全企業に占める、退職給付制度がある企業の割合は、平成5年をピークに低下し続けています。

平成元年:88.9%
平成5年:92.0%
平成9年:88.9%
平成15年:86.7%
平成20年:85.3%
平成25年:75.5%

企業規模別にみると、退職給付制度を導入しているのは、常用労働者30~99人の企業だと72.0%(平成20年は81.7%)。一方、1000人以上の企業では93.6%(同95.2%)。企業規模が大きくなるにしたがって、退職給付制度導入の割合は高くなっています。

退職給付制度は2種類ある

前出の「平成25年就労条件総合調査結果の概況」では、退職給付制度を「任意退職、定年、解雇、死亡等の事由で雇用関係が消滅することによって、事業主又はその委託機関等から当該労働者(又は当該労働者と特定の関係にある者)に対して、一定の金額を支給する制度をいう」と定義しています。

すなわち退職給付制度とは、一定の事由で退職する人やその親族等に対して一定の金額を支払う制度のことです。その給付方法には次の2種類があります。

●退職一時金制度
退職時に一括して一時金(退職給付手当、退職慰労金、退職功労報奨金等)を支給する制度

●退職年金制度
労働者の退職後、一定期間又は生涯にわたって一定の金額を年金として支給する制度

※以上、「平成25年就労条件総合調査結果の概況」(厚生労働省)の用語の定義より

7割以上の企業が退職一時金制度と退職年金制度を併用

「2016年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」(2017年4月、日本経済団体連合会)によると、2014年に比べて「退職年金制度のみ」を採用している企業は4ポイント減少し、「退職一時金制度のみ」が0.5ポイント増加しました。

「退職一時金制度と退職年金制度の併用」は約5ポイント増加し、約72%の企業が退職一時金制度と退職年金制度を併用しています。

退職一時金制度のみ:13.4%(12.9%)
退職一時金制度と退職年金制度の併用:71.7%(66.3%)
退職年金制度のみ:11.7%(15.7%)

※( )内は前回調査(2014年9月度)のデータ

退職年金制度は「確定拠出年金」「確定給付企業年金」が多い

退職年金制度をもっている企業についてその種類を詳しく見ると、「確定拠出年金(企業型)」と「中小企業退職金共済」が増加し、「確定給付企業年金(基金型)」「確定給付企業年金(規約型)」「厚生年金基金」は減少しています。原則廃止が決まっている「厚生年金基金」が減少しているのは当然といえば当然ですが……。

また、確定拠出企業年金制度と確定給付企業年金制度を組み合わせた制度「キャッシュバランスプラン」を導入している企業は、2008年~2012年まで順調に増加し40%を超えましたが、2014年から減少に転じ2016年は33.9%になりました。

確定拠出年金(企業型):57.4%(54.0%)
確定給付企業年金(規約型):50.2%(51.3%)
確定給付企業年金(基金型):26.7%(31.7%)
厚生年金基金:6.0%(6.7%)   
中小企業退職金共済:0.8%(0.0%)
キャッシュバランスプラン:33.9%(37.9%)  
自社年金:0.4%(0.9%)

※複数回答
※( )内は前回調査(2014年9月度)のデータ

個人型DCとマッチング拠出は併用できない

「確定拠出年金(企業型)」を導入している企業では、マッチング拠出の導入が進んでいます。マッチング拠出とは、確定拠出年金(企業型)を導入している企業の従業員が、自分で企業の拠出金額を上回らない範囲で掛金を拠出できる制度です。導入済みの企業は、2012年が6.6%、2014年は30.2%、2016年には35.8%と急増し、導入を検討中の企業を合わせると約50%に上ります。

2017年1月に導入された個人型DC(iDeCo)は、マッチング拠出と併用することができません。そのためマッチング拠出を廃止して個人型DCを導入する企業が現れる可能性もあります。個人型DCやマッチング拠出の制度改正は老後資金の準備に大きく影響しますので、今後の動向が気になります。

では、定年退職金の平均相場を、学歴別、企業規模別、制度別に見ていきましょう。

大学卒の定年退職金は2156万円(厚生労働省)

厚生労働省が平成25年1月1日現在の状況を調査した「平成25年就労条件総合調査結果の概況」によると、平成24年1年間における勤続35年以上の定年退職者の学歴・職種別退職金は次の通り。給与の42カ月程度が支給されています。

大学卒(管理・事務・技術職):2156万円(2335万円)
高校卒(管理・事務・技術職):1965万円(2001万円)
高校卒(現業職):1484万円(1693万円)

※( )内は平成20年の金額

学歴別・退職給付制度の形態別に見ると、かなりの差が!

では次に、学歴別および退職給付制度の形態別の差を見てみましょう。

大学卒(管理・事務・技術職)のケースでは、退職一時金制度のみは約1600万円、退職年金制度のみは約2100万円、両制度併用は約2600万円。退職一時金制度のみと、両制度併用の差は約1000万円! 老後資金の柱である定年退職金の額が、制度によりこれほどの差があるとは、ちょっと考えてしまいますね。 

●大学卒(管理・事務・技術職)
退職一時金制度のみ:1567万円
退職年金制度のみ:2110万円
両制度併用:2562万円

●高校卒(管理・事務・技術職)
退職一時金制度のみ:1470万円
退職年金制度のみ:1822万円
両制度併用:2272万円

大学卒の定年退職金は2300万円台をキープ(日本経済団体連合会)

2017年6月に日本経済団体連合会が発表した「2016年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」によると、標準的に進学し、学校卒業後ただちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した者(管理・事務・技術労働者ー総合職)が60歳で定年退職した場合の退職金は、大学卒2374.2 万円 高校卒2047.7万円です。

1992年から退職金減額の傾向は続いており、高校卒は2100万円を割ったものの2000万円台をキープしました。大学卒は下げ止まり、2300万円台をキープしました。

●60歳定年退職の平均退職金の額
1992年:大学卒2637.9万円/高校卒2301.8万円
2002年:大学卒2511.5万円/高校卒2256.1万円
2008年:大学卒2417.4万円/高校卒2302.8万円
2010年:大学卒2442.6万円/高校卒2185.4万円
2012年:大学卒2491.7万円/高校卒2125.1万円
2014年:大学卒2357.7万円/高校卒2154.9万円
2016年:大学卒2374.2 万円/高校卒2047.7万円

中小企業の定年退職金は約1100万円

東京都産業労働局労働相談情報センターが平成28年12月に発表した「中小企業の賃金・退職金事情 平成28年版」(従業員10人~300人未満の都内の中小企業が対象)によると、退職金制度がある企業は69.8%です。

「退職一時金制度のみ」を採用している企業は、前回調査とほぼ同じで70%を僅かに超え、「退職年金制度のみ」は減少して4%を切りました(退職給付制度を採用している企業を100とする)。

退職一時金制度のみ:70.4%(70.5%)
退職一時金制度と退職年金制度を併用:25.9%(24.3%)
退職年金制度のみ:3.7%(5.2%)

*( )内は前回調査(平成26年)のデータ

では、定年退職金のモデル退職金を、学歴別、企業規模別、制度別に見ていきましょう。

●60歳定年退職のモデル退職金の額
大学卒:1128.9万円(1383.9万円)
高専・短大卒:1030.5万円(1234.5万円)
高校卒:1082.9万円(1219.1万円)

●事業規模別の定年退職のモデル退職金の額
<従業員数 10~49人>
大学卒:1058.3万円(1281.7万円)  
高専・短大卒:991.7万円(1206.3万円) 
高校卒:1011.1万円(1176.8万円)  

<従業員数 50~99人>
大学卒:1171.0万円(1497.0万円)
高専・短大卒:1028.5万円(1233.9万円)  
高校卒:1119.5万円(1338.2万円)

<従業員数 100~299人 >
大学卒:1278.8万円(1718.6万円) 
高専・短大卒:1152.6万円(1484.3万円)  
高校卒:1235.6万円(1365.0万円) 

●退職給付制度別の定年退職のモデル退職金の額
<退職一時金制度のみ>
大学卒:1016.4万円(1276.6万円)
高専・短大卒:965.8万円(1184.8万円)
高校卒:1041.6万円(1148.7万円)

<退職一時金制度と退職年金制度を併用>
大学卒:1396.6万円(1553.4万円)
高専・短大卒:1235.3万円(1354.6万円)
高校卒:1218.0万円(1338.2万円)

<退職年金制度のみ>
大学卒:1052.1万円(1514.9万円)
高専・短大卒:895.5万円(1173.5万円)
高校卒:858.9万円(1402.6万円)

※( )内は平成26年の額

定年退職金額は、事業規模が大きくなるに従って多くなり、退職給付制度では「退職一時金制度と退職年金制度を併用」が最も多くなっています。今回の調査では「退職年金制度のみ」の金額が2年前と比べ大きく減少しているのが目立ちます。

以上から、定年退職金の額は、学歴や企業規模だけでなく、退職給付制度の形態によっても大きく変わることがわかります。

自社の退職給付制度をチェックしておこう

定年退職金の役割や形態、金額などは、退職金制度や定年制の見直し、厚生年金基金の廃止、個人型DCの導入や確定拠出年金制度の拠出上限額の引き上げ、など様々な要因から激変するでしょう。それは、リタイアメントプランニングだけでなく住宅ローンの組み方にも影響します。

まずは自社の退職給付制度を、次に企業年金制度、特に確定拠出年金制度の取り扱いについて確認しましょう。これらは公的年金制度の改正とリンクしていますのでこちらのチェックも必要です。

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