60歳定年は1998年から。意外と最近のこと

将来、定年制そのものがなくなるかも?

将来、定年制そのものがなくなるかも?

FPとしてライフプランを作成する時、60歳を定年退職とするケースが多いのですが、30年ほど前は55歳定年だったような気がします。いつ60歳定年になったのでしょうか。

1986年「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(=以後「高年齢者雇用安定法」とする)の改正で60歳定年が努力義務に、1994年の改正で60歳未満定年制が禁止(1998年施行)されました。これが60歳定年の始まりです。

その後も「高年齢者雇用安定法」が改正され、2012年の改正「原則希望者全員の65歳までの雇用を義務化」により、働きたい人は65歳まで働くことができる環境が整いました。

●「高年齢者雇用安定法」の改正の推移
1986年 「高年齢者雇用安定法」で60歳定年を努力義務化
1990年 定年後再雇用を努力義務化
1994年 60歳未満定年制を禁止(1998年施行)
2000年 65歳までの雇用確保措置を努力義務化
2004年 65歳までの雇用確保措置の段階的義務化(2006年施行)
2012年 希望者全員の65歳までの雇用を義務化(2013年施行)

規模の小さい企業ほど定年制を定めていない割合がアップ

ここからは厚生労働省「平成27年 就労条件総合調査」(回答企業4432社)をもとに、現在の定年制と定年年齢を見てみましょう。

定年制を定めていない企業は全企業平均では7.4%です。企業規模別にみると、常用労働者が1000人以上の企業では0.3%なのに対し、30~99人の企業では9.8%に上ります。

●定年制を定めていない企業の割合
全企業平均 7.4%  
常用労働者1000人以上 0.3%
常用労働者300~999人 0.7%
常用労働者100~299人 2.3%
常用労働者30~99人 9.8%
※平成27年調査より調査対象が広がり、企業規模別の割合は時系列で比較することができない。

60歳定年は減少、65歳定年が増加

2013年の「改正高年齢者雇用安定法」の施行を受けて、企業が60歳定年退職後の雇用形態を見直した結果なのでしょうか、2014年以降は60歳定年が減少し、65歳定年が増加しています。

定年制を一律に定めている企業のうち、65歳定年を導入している企業の割合は15.2%。5年前より約2ポイント増加しました。一方、60歳定年は81.4%で約1ポイント減少しています。

●定年制を一律に定めている企業のうち65歳定年制の割合
2011年(平成23年) 13.1%
2012年(平成24年) 13.6%
2013年(平成25年) 12.5%
2014年(平成26年) 14.5%
2015年(平成27年) 15.2%
表

企業における定年制の現状。厚生労働省「平成27年就労条件総合調査」を基に2016年3月、筆者が作成

【参考】年収は半減!? 60歳定年後も働く人たちの現状

平均退職年齢は依然として60歳

65歳定年が増えているといっても、定年制を導入している企業の約8割はやはり60歳定年です。現時点の定年年齢の平均は60歳になりますが、小数点以下の数字が少しづつ上がっている状況です。

65歳定年制を採用する企業や定年制を定めない企業の増加は、企業が既に定年制の見直しに着手していることを表しています。次に、現時点での企業の対応をいくつかご紹介しましょう。

ホンダが65歳定年制や選択定年制を導入

サントリーホールディングスや大和ハウス、日亜化学工業などは65歳定年制を導入しました。65歳まで選択定年制を導入(予定)するのは富士電機やIHI、三菱電機などです。

ホンダは、65歳定年制と選択定年制(=60~65歳の間に自分で退職時期を決める)を2016年度中に導入予定。一歩踏み込んで定年制を廃止するのは、ファミリーレストランのジョイフルで、2016年4月導入予定です。

定年制という仕組みそのものがなくなるかも

平成27年10月の一億総活躍国民会議第1回では、「生涯現役社会」の実現に向けた高年齢者の就労促進(65歳以降の就労機会の確保に向けた取り組み)が謳われました。年金制度維持のために年金受給開始年齢の引き上げ(65歳を67歳に)が必須という提案も出ています。

前出の「高年齢者雇用安定法」の改正の推移を見ても、定年年齢が60歳から65歳になるのは、それほど遠いことではないのかもしれません。あるいは定年制という概念がなくなり、一生涯働く時代になるのかもしれません。これは喜ばしいことなのでしょうか……。

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