60歳定年後も働き続ける環境は整った

国が企業に対して「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(=高年齢者雇用確保措置)で「原則、希望者全員を65歳まで雇用すること」を義務付けた「改正高年齢者雇用安定法」が2013年4月に施行されました。5年後の2018年6月、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施している企業は99.8%(「平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果」厚生労働省)となり、高年齢者が定年後も働き続ける環境が整いました。

 
60歳定年後も働き続けるには

60歳定年後も働き続けるには



「平成30年 労働力調査」(総務省)によると、60~64歳の就業率は68.8%(前年比2.6%増)、65~69歳46.6%(同2.3%増)、70~74歳30.2%(同3.0%増)、と高年齢者の就業率の増加は目を見張るものがあります。
 

賃金は定年時の6~8割程度 

定年後に正社員として継続雇用されても賃金は定年時の8割弱、非正社員では6割程度(厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」)にとどまります。しかしシニアの労働力としての重要性と労働人口不足からでしょうか60歳前半の賃金は、平成29年に比べると正社員・非正社員に係わらず2%程度上がっています。

<正社員の賃金/(非正社員の賃金)>
●男性
  • 50~54歳  440万円/(237万円)
  • 55~59歳  437万円/(240万円)
  • 60~64歳  337万円/(259万円)
  • 65~69歳  296万円/(221万円)
  • 70歳~   290万円/(212万円)  
●女性
  • 50~54歳  300万円/(187万円)
  • 55~59歳  300万円/(184万円)
  • 60~64歳  261万円/(187万円)
  • 65~69歳  246万円/(176万円)
  • 70歳~   258万円/(166万円)
政府は、2018年3月「人生100年時代構想会議」で「リカレント教育(=学び直し)の推進」に言及し、2019年5月「未来投資会議」で「人生100年時代を迎えて70歳までの就業機会の確保に向けた法改正をめざす」と表明しました。
 
リカレントに関して、第一生命経済研究所「人生100年時代の働き方に関するアンケート調査」(対象:20~59歳の男女各1000人、2018年3月実施)によると、「学び直しの経験者や実施希望者」は53.4%と半数を超えています。調査の中から「40代・50代の正社員として働く人々の学び直しの実態と意識」をピックアップしてご紹介します。
 
*この調査では、「学び直し」=自己啓発(職業に関する能力を自発的に向上させるための学習)」としています。
 

学び直しの理由トップ「現在の仕事を続けるために必要」

技術革新のスピードは激しく、長く働き続けるためには新しい技術や知識の習得が必要、と多くの人が感じています。40~59歳が「学び直し」を行う理由のトップは「現在の仕事を続けるために必要だから」、次に「長く働き続けるために必要と思うから」です。
 
●学び直しをする理由トップ3
<男性> 
1位  現在の仕事を続けるために必要だから  56.3%  (48.7%)
2位  長く働き続けるために必要と思うから  37.5%  (25.0%)
3位  自分の望む仕事につくために必要だから 35.4%  (19.7%)
 
<女性>
1位  現在の仕事を続けるために必要だから  43.6%  (38.0%)
2位  長く働き続けるために必要と思うから  34.5%  (32.4%)
3位  仕事には関係ないが、自分の幅を広げるため  23.6%  (29.6%) 
 
*( )内は50歳代の数字 
 
他には、「自分の望む仕事に就くため」「収入を増やすため」「現在の勤め先で昇進・昇格するため」などが2割程度います。
 

 学び直しの方法トップ「本などによる自学・自習」

学び直しの方法のトップは「本などによる自学・自習」です。「通信教育」、「勤め先の人材育成のための制度・組織を利用」などが続きます。
 
●学び直しの方法 トップ3
<40歳代男性>
1位 本などによる自学・自習  60.4%
2位 勤め先の人材育成のための制度・組織を利用して学習している(したことがある)  29.2%
3位 通信教育を受けている(受けたことがある)  27.1%
 
<50歳代男性>
1位 本などによる自学・自習  42.1%
2位 通信教育を受けている(受けたことがある)  34.2%
3位 勤め先の人材育成のための制度・組織を利用して学習している(したことがある)  31.6%
 
<40歳代 女性>
1位 本などによる自学・自習  50.9%  
2位 通信教育を受けている(受けたことがある)  36.4%  
3位 勤め先の人材育成のための制度・組織を利用して学習している(したことがある)  21.8%
 
<50歳代 女性>
1位 本などによる自学・自習  42.3%
2位 勤め先の人材育成のための制度・組織を利用して学習している(したことがある)  33.8%
3位 通信教育を受けている(受けたことがある)  29.6%
 
他に「専修・専門、各種学校、大学・大学院に定期的に通っている(通ったことがある)」「大学や自治体などによる公開講座に参加する(したことがある)」などを行っている人もそれぞれ1割前後います。
 
では、人材派遣会社エン・ジャパンのアンケート調査「人生100年時代の働き方」(35歳以上612名、2018年8月)から「定年後も働き続けるために必要なこと」をご紹介します。
 

トップは「人脈づくり」

回答者の83%が「定年後も何らかの形で働き続けたい」と考えています。働き方は「起業・独立」と「再雇用制度を利用し現職企業で働き続ける」が拮抗し、「定年後に別の会社へ再就職をする」が続きます。「定年後も働き続けるために必要なこと」のトップは「コネクション・人脈づくり」、次いで「健康への投資」です。
 
<働き続けることを可能にするために必要なこと>
1位 コネクション・人脈づくり  70%
2位 健康のために時間とお金と努力を投資  55%
3位 情報キャッチアップ力の強化 35%
 
他には「資格の取得」「スキル向上のために時間とお金と努力を投資」「語学の習得」「ITスキルの強化」などがあります。
 

50歳は66歳まで働いて2019年65歳の年金と同水準!

2019年8月27日公的年金制度の財政検証結果(厚生労働省)が公表されました。そこには「今50歳の人が今年(2019年)65歳で年金受給を開始する高齢者と同水準の年金をもらうためには66歳まで働き、年金開始年齢も同様に遅らせる必要がある」とあります。40歳は67歳2か月まで働く必要があります。
 
人生100年時代、50歳は文字通り折り返し点です。70歳現役が必須と分かった今、50歳前に仕事の棚卸しと人生の再設計をして、自分に必要なリカレント教育を受けてキャリアップやスキル向上を図り、併せて社会とのつながりを再構築する必要があります。60歳定年は単なる通過点でしかなく、50歳が人生後半のスタートラインと肝に銘じましょう。

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