早期退職は2種類ある

2016年12月12日、ニコンとウシオ電機が希望退職募集を行いそれぞれ募集を上回る1143名、109名が応募しました。

早期退職制度には2種類あります。ひとつは、経営再建や事業の再構築、構造改革のために期間と人数を限定して退職者を募集し早期退職してもらう早期退職優遇制度です。一般に「早期希望退職制度」あるいは「希望退職制度」と言われるもので、整理解雇を回避するために行われます(=以降「早期希望退職」とする)。多くの場合、退職金の割り増し加算や再就職の斡旋などが行われます。

2016年には、岩崎通信や東芝、日立建機、田辺三菱製薬、大日本住友製薬、アステラス製薬、ケーヒン、そごう・西武、サニックスなどが実施しました。2017年の3月期までにウシオ電機やニコン、ジャパンディスプレーが実施します。では、ウシオ電機の早期退職者募集要項を見てみましょう。

  • 募集人数:100名
  • 募集期間:2月13日~24日
  • 退職日:3月31日(予定)
  • 対象者:45歳以上の管理職と42歳以上の一般社員(契約社員を含む)
  • 退職時に通常の退職金に加えて特別優遇加算金を支給
  • 希望者には人材紹介会社による再就職支援を行う

もう一つの早期退職は、企業が人事制度として設けているもので、定年年齢に達する前に退職を選択できることから「選択定年制」とも呼ばれています。先ず、早期退職優遇制度(=以降「選択定年制」とする)とはどのようなものかを解説します。

選択定年制は自己都合退職や定年退職扱い

業績に関係なく、従業員の世代間の人員バランスの均衡や定年前に転職や独立を考える従業員の支援などを目的として、人数を限定することなく随時募集する選択定年制は、退職制度のひとつとして常設されています。

中央労働委員会の「平成27年退職金、年金及び定年制事情調査」によると、早期退職優遇制度を導入している企業は216社中111社(約51%)です。企業独自が適用要件、例えば勤続年数や適用開始年齢など、を定めています。優遇措置には、 退職一時金の優遇(支給率を加算して定年退職扱いにする、実勤務年数に定年までの年数を加算する、など)や退職年金の優遇などがあります。

「平成27年退職金、年金及び定年制事情調査」から選択定年制を導入している111社の適用状況等をご紹介します。

●選択定年制の適用状況
  • 勤続年数の要件:あり…92社(約83%)、所要年数の平均は14.2年
  • 適用開始年齢:「50歳」から適用が最も多く43社(約39%)
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●早期退職者に対する優遇措置(複数回答)
  • 退職一時金の優遇措置あり:104社(支給率を加算し定年退職と同等に扱う……47社、勤続年数の加算…15社、退職時の年齢に応じて支給額を加算…48社、その他…23社)
  • 退職年金の優遇あり:13社
  • その他の優遇あり:12社  
選択定年制による退職は「自己都合退職」扱いですが、会社によっては「定年退職」扱いとすることもあります。自己都合退職扱いの場合、雇用保険の基本手当は3ヵ 月の給付制限がありますが、定年退職扱いの場合には給付制限はありません。給付日数は自己都合退職も定年退職も同じで、雇用保険の被保険者期間と年齢等によって決まります。

 

早期希望退職は会社都合退職

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わが社が希望退職募集をするとは……

ウシオ電機のように、使用者側が割り増し退職金のような優遇措置を提示して退職してもらう早期希望退職は「解雇等の理由による退職」にあたるので、会社都合退職(=特定受給資格者)となります。雇用保険の基本手当の給付制限はありません。

早期希望退職に応募し、退職金は割り増し加算されたが退職後にもらった離職票の退職理由が「自己(本人)都合」になっていた、というトラブルも発生しています。「自己都合退職」と「会社都合退職」では雇用保険の基本手当の給付に大きな差がありますので、退職前に退職理由が「会社都合」か「自己都合」なのか念のために確認することをおすすめします。

>>>早期希望退職金の割り増し退職金はいくら位でしょう。次ページでご紹介します。