定年・退職のお金

貯蓄ゼロがこんなにもいる!? 高齢者の平均貯蓄額【最新・2022年版】

「老後資金2000万円」必要といわれていますが、実際の高齢者世帯の貯蓄状況はどのようになっているのでしょうか? 高齢者平均貯蓄は2000万円を超えていますが貯蓄ゼロは18%もいるとか。高齢者の貯蓄事情をご紹介します。

福一 由紀

執筆者:福一 由紀

ファイナンシャルプランナー / 仕事・給与ガイド

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高齢者の平均貯蓄額は2209万円、貯蓄ゼロは18%

老後のお金については、今や世代を超えた心配事になりました。老後に2000万円が必要といわれたこともありました。それぞれの生活や受け取る公的年金額によって、老後に必要なお金は人それぞれ。しかし、リタイア後にいくら貯金があるかは一番の関心事でしょう。
 
では、高齢者世帯は実際にどれくらいお金を貯めているのでしょうか? 金融広報中央委員会が調査した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査][単身世帯調査](2021年)」のデータからみてみましょう。
二人以上世帯での世帯主の年齢が70歳代年収別の金融資産の有無、平均値、中央値。金融資産非保有(貯蓄ゼロ)は18.3%となっている(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査2021年)」)

二人以上世帯での世帯主の年齢が70歳代年収別の金融資産の有無、平均値、中央値。金融資産非保有(貯蓄ゼロ)は18.3%となっている(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査2021年)」)


表は二人以上世帯で世帯主の年齢が70歳代の金融資産保有状況を年収別に調査したものです。ここでいう金融資産は、運用のためまたは将来に備えて蓄えている部分で、現金や預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除いたものです。
 
全体では金融資産非保有、つまり貯蓄ゼロが18%というのは、かなり心配ですね。また、貯蓄の平均は2209万円、中央値(*)は1000万円でした。
 
*中央値:金額順に並べた時の真ん中になる値
 

収入なし世帯:平均貯蓄577万円、中央値0円!

年間収入別にみてみると、収入なし世帯のうち55.2%が貯蓄ゼロ。周りからの支援を受けて生活しているのでしょうが、なんとも心もとない状態です。貯蓄の平均は577万円ですが、中央値が0円。5割以上の人が貯蓄ゼロなので、中央値は0円になるのは当然なのですが、実際に0円となると、かなり厳しい状況がみてとれます。まずは、リタイア後に収入なしの状態を作らないことが大切です。
 
年収が増えていくと、平均貯蓄、中央値ともに増加しています。平均額では、年収300万円未満で貯蓄1065万円と1000万円を超え、年収300万円から500万円で貯蓄1950万円と2000万円手前、年収500万円から750万円では貯蓄2716万円、さらに年収1000万円を超えると貯蓄は6000万円近くまで増えています。中央値でも、収入が増えるにつれ順調に貯蓄額は伸びています。70歳代の収入の多くは年金でしょうが、少しでも働いて収入を得ると貯蓄状況も良くなりそうです。
 

シングル70歳代:平均貯蓄1786万円。無収入の6割が貯蓄ゼロ

単身世帯での世帯主70歳代の金融資産保有有無と平均値と中央値(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査2021年)」)

単身世帯での世帯主70歳代の金融資産保有有無と平均値と中央値(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査2021年)」)



単身者70歳代の貯蓄状況もみておきましょう。全体の平均貯蓄は1786万円、中央値は800万円と、二人以上世帯70歳代より少し低い金額となっていますが、1人の貯蓄と考えると、比較的多いと考えられます。ただし、懸念されるのは、収入なし世帯で貯蓄ゼロが64.3%とかなり高い割合となっているところ。70歳代も体の許す限りは、就労などで収入を得ると状況は変わってくるのでしょう。
 

高齢者世帯:年収300万円以上の貯蓄は3000万円超え

二人以上世帯での世帯主の年齢が70歳代年収別の金融資産の分布 出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査] (2021年)

二人以上世帯での世帯主の年齢が70歳代年収別の金融資産の分布(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査2021年)」)


表は、高齢者世帯のうち、貯蓄分布を年収別にみたものです。一番分布が多い層には色を付けています。
 
貯蓄の分布で一番多い層をみてみると、収入ありの層で年収300万円未満で貯蓄2000万~3000万円未満ですが、それ以上では貯蓄3000万円以上となっています。年収750万円を超えると、なんと半数以上が貯蓄3000万円以上となっています。
 
貯蓄ゼロが2割いる中で、貯蓄3000万円以上も一定数あり、U字型の分布となっています。高齢者の貯蓄も格差が広がっています。少なくとも、貯蓄ゼロを回避し、安心して老後生活を送れるようにしたいものです。

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