18世紀末、ドイツから世界に広まったセルツァー・ウォーター

 
こだわり酒場のレモンサワー

こだわり酒場のレモンサワー

 前回記事の最後に、次回は19世紀後半からの話をしたいと述べたが、その前に語っておかなければいけない歴史があった。大変申し訳ない。2回目の今回は天然炭酸水について触れたい。
 前回『炭酸水とハイボールの歴史1/炭酸飲料のはじまり』のなかで、1769年にイングランドのジョゼフ・プリーストリーが炭酸ガスを人工的に水に溶かす方法を発見したことを伝えた。ここからいまにつづく炭酸水製造の幕が開けたのだが、世界にまず広まったのは天然炭酸水(採水時点ですでに天然の炭酸が含まれている水)の方である。セルツァー・ウォーターが最初の時代をつくった。
 ここ数年、アメリカではハードセルツァー(Hard Seltzer)という低アルコール飲料が人気になっている。アルコールと炭酸水に果汁または果実フレーバーを加えたものだ。
 現在、セルツァーは炭酸水一般(天然炭酸水でなくても)を示すワードとして用いられているようだが、実は18世紀にドイツから世界的に広まった天然の炭酸水、セルツァー・ウォーターに由来する。
 セルツァーの呼び名はドイツの温泉地として知られるニーダーゼルタース(Niederselters)が元になっている。ニーダーゼルタースの天然炭酸水は1787年に長徳利のようなストーンウエアに瓶詰めされて世界各国に輸出された。ゼルタースの水が英語圏でセルツァー・ウォーターとして浸透していった。
 ヨーロッパで富裕層をターゲットにしたスパ文化の原型が生まれたのは18世紀に入ってからで、自然に発生する鉱泉を中心に贅沢な宿泊施設やレストラン、娯楽施設を完備した温泉街が発展していった。医師たちは、そこで飲む天然炭酸水が消化不良、痛風、腎臓などほとんどすべての病に効果をもたらすと信じていた。前回記事で述べた人工的に炭酸水を生みだす研究がすすむ時代の流れのなか、ニーダーゼルタースの天然炭酸水はウォータービジネスにおいての先駆となったのである。
 カクテルの歴史に精通している人ならば、21世紀に入ってセルツァーという名をつけたブランドが人気となっても驚きはしないだろう。ハードセルツァーがいまさらのネーミングだとおっしゃる方がいてもおかしくない。19世紀半ば以降、アメリカではいまに通じる編集をしたカクテルブックがたくさん出版された。そのレシピの中にセルツァー・ウォーターがかなり登場している。
 セルツァーは古くからバーテンダーに愛され、それだけメジャーだったということになる。
 

日本の発泡性RTDは高品質な味わいで魅了する

 
ほろよい<白いサワー>

ほろよい<白いサワー>

 さて、日本でもハードセルツァーが登場してきているが、驚くほどの新鮮さはない。早い話、現在ではアメリカよりも日本のほうがさまざまなRTD(Ready to Drink/封を開けてそのまま飲める)を開発、誕生させつづけており、製法技術は高く、味わいにおいてもかなり高品質である。
 缶チューハイはさまざまにあるし、近年ではサワーブームを生んだ大スター「こだわり酒場のレモンサワー」(350ml・7%・¥141税別希望小売価格/以下同)は象徴的ブランドといえよう。
 低アルコールでいえばアルコール度数3%の「ほろよい」がある。このシリーズは18種(2022年4月現在)もの味わいがある。先日、「ほろよい<白いサワー>」(350ml・3%・¥141)を飲んでみたが、やさしい甘酸っぱさにこころ安らぐ爽やかな乳性飲料といった感じで、後口もいい。白桃のみずみずしさが生かされている「ほろよい<もも>」(350ml・3%・¥141)も優れた味わいといえよう。とにかく美味しいのだ。
ほろよい<もも>

ほろよい<もも>

 またウイスキーベースではこれまでの記事で度々紹介している「角ハイボール<濃いめ>缶」(350ml・9%・¥189)」といった味わい深い製品もある。
 日本の発泡性のあるRTDは多彩で高品質な味わいの世界がある。そしていま、ハイボールは日本の酒文化の主役であり、発泡性RTDも重要な地位を占めるようになってきている。
(『炭酸水とハイボールの歴史3/ソーダ・ファウンテン』はこちら)
 

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