世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

ヨーロッパ西部の世界遺産(4ページ目)

古代ローマからルネサンス、大航海時代から産業革命と、現代文明に大きな影響を与えたヨーロッパ西部。ここではオランダ、ドイツ、オーストリア、イタリアから西に位置する国々の世界遺産を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド


モンサンミッシェルとその湾

モンサンミッシェル

モンサンミッシェル。周囲の湿地や干潟はラムサール条約登録地でもある

フランス、1979年、2007年拡大、文化遺産(i)(iii)(vi)
ケルト人に聖地として崇められていたサン・マロ湾の孤島。708年、オベール司教の夢に大天使ミカエルが現れて「ここに私を祀る祠堂を建てよ」と命じたことからキリスト教の聖堂が誕生した。周辺の潮の流れは速く、干満の差は15mにも達し、巡礼者たちは遺言を書いて渡ったという。英仏をつなぐイギリス海峡の要衝として次第に要塞化して、19世紀には監獄として使われた。

紹介記事はこちら>>モンサンミッシェル/フランス

 


シャルトル大聖堂

シャルトル大聖堂の『美しき絵ガラスの聖母』

シャルトル大聖堂の『美しき絵ガラスの聖母』

フランス、1979年、文化遺産(i)(ii)(iv)
聖母マリアは処女ながらイエスを懐妊し、大天使ガブリエルに受胎告知を受ける。このとき着ていたのが青色の聖衣「サンクタ・カミシア」だ。876年、西フランク国王シャルル2世が聖衣をシャルトルの教会堂に送ると、巡礼者が絶えることなく集まったという。1194年に教会堂はほとんどが消失してしまうが、フランス中から寄付が集まり、ロマネスクにゴシックをあわせた現在の重厚な大聖堂として生まれ変わった。

紹介記事はこちら>>シャルトル大聖堂/フランス

 

ベルサイユの宮殿と庭園/フランス

ベルサイユ宮殿の鏡の間

ベルサイユ宮殿の鏡の間 ©牧哲雄

フランス、1979年、2007年拡大、文化遺産(i)(ii)(vi)
太陽王ルイ14世は、水なき土地に水を引き、大地を平らに削って幾何学図形で区切り、自然を征服して豪壮な宮殿と庭園を築き上げた。そして各地の王や諸侯を招待し、庭園を庶民に開放して、世界にその力を見せつけた。各地の絶対君主や啓蒙専制君主たちはベルサイユ宮殿をまねて宮殿を建て、サンスーシ宮殿、シェーンブルン宮殿、ドロットニングホルム宮殿、ペテルゴフ宮殿といった数々の世界遺産が誕生するきっかけになった。

紹介記事はこちら>>ベルサイユ宮殿/フランス

 

フォンテーヌブローの宮殿と庭園

フォンテーヌブロー宮殿の白馬の中庭

フォンテーヌブロー宮殿の白馬の中庭

フランス、1981年、文化遺産(ii)(vi)
それまで文化後進国だったフランスにルネサンスをもたらし、パリを「芸術の都」「花の都」に飛翔させるさきがけとなった宮殿が、フランソワ1世が築いたフォンテーヌブロー宮殿だ。12世紀から王の居城として代々のフランス王に愛され続けたこの宮殿は、ナポレオンに「これこそまさに王の宮殿なり」と称されて、皇帝の居城となった。

紹介記事はこちら>>フォンテーヌブローの宮殿と庭園/フランス

 

ブリュッセルのグランプラス

グランプラス

グランプラスの夜景

ベルギー、1998年、文化遺産(ii)(iv)
ブリュッセル旧市街に広がるグランプラスは、「世界でいちばん豪華な広場」「絢爛たる劇場」「小さなパリ」等の称賛を受ける美しい広場。それと同時に、中世の商人や手工業者たちがその自治と伝統を守り抜いた誇り高い街でもある。また、ブリュッセルには3つの世界遺産と1つの世界無形文化遺産があるので、その概要も紹介する。

紹介記事はこちら>>ブリュッセルのグランプラス/ベルギー

 

ブルージュ歴史地区

ファン・エイク広場周辺の船着場

ファン・エイク広場周辺の船着場

ベルギー、2000年、文化遺産(ii)(iv)(vi)
ブルージュは自由の都。もともと毛織物で栄えた街だったが、その自由さから商人たちが集まるようになり、13世紀にハンザ同盟の四大在外商館が開かれるとヨーロッパ最大規模の貿易拠点・金融センターへと成長を遂げる。同時に自由が芸術家を集め、商人たちが彼らを庇護してフランドル派と呼ばれる新潮流を生んだ。ブルージュ歴史地区内には世界遺産「フランドル地方のベギン会修道院」や「ベルギーとフランスの鐘楼群」の鐘楼も含まれている。

紹介記事はこちら>>ブルージュ歴史地区/ベルギー

 

ポルト歴史地区

ポルト歴史地区

ノッサ・セニョーラ・ド・ピラール修道院から眺めたポルト歴史地区。美しいアーチを描く鉄橋はドン・ルイス1世橋

ポルトガル、1996年、文化遺産(iv)
ローマ時代から港町ポルトゥス・カレとして栄えたポルトの町。そしてポルトゥス・カレの国=ポルトガルの歴史はこの町からはじまった。ポルトは造船業でポルトガル海軍を支えただけでなく、ポルトから出荷されるワインが大航海時代の航海士たちの喉をうるおし、海洋帝国の礎となった。大航海時代の衰退後は、ポルトで作られる酒精強化ワイン=ポートワインがポルトガルの財政を支えた。

紹介記事はこちら>>ポルト歴史地区

 

リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔

ベレンの塔

「テージョ川の貴婦人」ベレンの塔

ポルトガル、1983年、2008年拡大、文化遺産(iii)(vi)
世界の中心が地中海周辺とオリエントにあった中世、ポルトガルは辺境の小国にすぎなかった。しかし、エンリケ航海王子が未知の大海・大西洋に目を転じると、ヴァスコ・ダ・ガマらの活躍によってアフリカ航路やインド航路を開拓。そしてブラジルから日本に至る海上帝国を成立させる。そして世界中からもたらされる富を背景に、ふたりの偉業を称えてジェロニモス修道院とベレンの塔を建立する。

紹介記事はこちら>>ジェロニモス修道院とベレンの塔/ポルトガル

 

ルクセンブルク市:その古い街並みと要塞群

ルクセンブルクのグルント地区

ルクセンブルクのグルント地区

ルクセンブルク、1994年、文化遺産(iv)
渓谷を囲うように築かれた環状城壁に守られた城郭都市ルクセンブルク。森と川と城と街が見事に調和した美しい旧市街は、ローマ、フランス、ドイツ、オーストリア、スペイン、ベルギー、オランダなど数多の国の侵略を受けるが、その代償として欧州各地の文化を吸収し、強く美しい街並みを花開かせた。

紹介記事はこちら>>ルクセンブルク市/ルクセンブルク

 

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